オレクサンドル・シルスキー

オレクサンドル・シルスキー
Олександр Станіславович Сирський
生誕 (1965-07-26) 1965年7月26日(58歳)
ソビエト連邦
ロシアヴラジーミル州
所属組織 ウクライナ陸軍
ソビエト連邦軍
最終階級 上級大将(現大将[注釈 1]
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オレクサンドル・スタニスラーヴォヴィチ・シルスキーウクライナ語: Олекса́ндр Станісла́вович Си́рський 1965年7月26日 - )は、ロシアヴラジーミル州出身のウクライナ軍人。2024年2月8日からウクライナ軍総司令官[2]ウクライナ英雄[3]。2019年5月6日から8月5日までウクライナ統合軍事作戦司令官(ウクライナ語版)、2019年8月5日から2024年2月11日までウクライナ陸軍司令官を務めた[4][5][6][7]。ロシア語名はアレクサンドル・スタニスラヴァビッチ・シルスキー(Алекса́ндр Станисла́вович Сы́рский)。

経歴

キーウの戦況を視察する、シルスキー大将(左)とザルジニー総司令官(右)(2022年)

1965年にソビエト連邦ロシアヴラジーミル州に生まれる。モスクワのモスクワ高等軍事学校を卒業。1980年ウクライナに移住。1991年までソ連軍人としてチェコスロバキア、アフガニスタン、タジキスタンに駐留。

ドンバス戦争において、対テロ作戦参謀長を務めた[8]

2015年1月のドネツィク州デバルツェボの戦いでは、ブーレヒルスク(英語版)での戦闘を指揮したほか、奪還に失敗したログビノフの戦闘にも関与していた。また、デバルツェボ(英語版)撤退戦の調整を行った[9]

デバルツェボの戦いでの功績が評価され、3等ボフダーン・フメリニツキー勲章(英語版)を授与し、中将に昇進した[10][9]

2019年5月6日から8月5日までウクライナ統合軍事作戦司令官(ウクライナ語版)を務め[6][7]、8月5日から第10代ウクライナ陸軍司令官となった[4]

2020年8月23日にNATOランクでOF-9(大将級)に該当する、准大将やColonel generalとも翻訳される上級大将(Генерал-полковник)に昇任した[11]。同年10月1日に菱形4つ星の階級章を持つ上級大将の階級が廃止され、直列4つ星の階級章を持つ大将(Генерал)に改められたが、それ以前に上級大将に昇任していたシルスキーは上級大将の階級章を継続して着用する[12]。なお、NATOランクでOF-10(元帥級)に該当する廃止されたウクライナ軍の階級であったГенерал армії Україниは直訳するとウクライナ陸軍大将になりえるので混同に注意が必要である。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻ではキーウ防衛戦での功績により2等ボフダーン・フメリニツキー勲章を授与され[13]、9月の東部反攻作戦の指揮を執り、作戦を成功に導いた[14]。2023年5月30日にはロシア内務省よりヴァレリー・ザルジニー軍総司令官らとともに指名手配リストに加えられたことが発表された[15]

2024年2月8日、前任のザルジニー将軍の解任に伴い、ウクライナ軍総司令官に就任した[5][16]

家族

ロシアのウラジミール出身でロシア語を母語とするロシア系ウクライナ人。両親や親戚はロシア在住でロシア国籍を持つ。父親はロシアの退役軍人であり、また兄弟もロシアに住んでいる。2019年にロシア在住の両親はウクライナでは禁止されているゲオルギーリボンをつけて行進する等ロシア愛国者であり、親子や兄弟間で対立関係にある[17] [18]

栄典

  • ウクライナ英雄 - 2022年4月6日[3]
  • 2等ボフダーン・フメリニツキー勲章(英語版) - 2022年3月18日[19]
  • 3等ボフダーン・フメリニツキー勲章 - 2015年3月14日[20]
  • 軍事功労十字章(ウクライナ語版) - 2022年7月27日[21]

脚注

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注釈

  1. ^ 2020年10月1日に、NATOランクでOF-9(大将級)に該当する、しばしば准将やColonel generalと翻訳される、菱形4つ星の階級章を持つ上級大将(Генерал-полковник)が廃止され、直列4つ星の大将(Генерал)が新設されたが、廃止以前に上級大将に昇任していたシルスキーは上級大将の階級章を継続して着用する[1]

出典

  1. ^ “МІНІСТЕРСТВО ОБОРОНИ УКРАЇНИ НАКАЗ” (ウクライナ語). ligazakon (2020年4月11日). 2022年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月28日閲覧。
  2. ^ “Volodymyr Zelenskiy fires top Ukraine army commander”. The Guardian (2024年2月9日). 2024年2月9日閲覧。
  3. ^ a b “УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №213/2022” (ウクライナ語). Офіційне інтернет-представництво Президента України. 2022年9月11日閲覧。
  4. ^ a b “№ 578/2019 Про призначення О. Сирського командувачем Сухопутних військ Збройних Сил України” (ウクライナ語) (2019年8月5日). 2022年1月30日閲覧。
  5. ^ a b “УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №60/2024” (ウクライナ語). ウクライナ大統領府 (2024年2月8日). 2024年2月13日閲覧。
  6. ^ a b “Указ Президента України №-194/2019” (ウクライナ語). ウクライナ大統領府 (2019年5月6日). 2024年2月17日閲覧。
  7. ^ a b “Порошенко призначив новим командувачем ООС Олександра Сирського”. https://www.radiosvoboda.org/. Radio Free Europe (2019年5月6日). 2019年5月6日閲覧。
  8. ^ “Порошенко призначив Олександра Сирського новим командувачем ООС: що про нього відомо” (ウクライナ語). 24 Канал. 2021年12月6日閲覧。
  9. ^ a b “Новий командир на Донбасі: що відомо про генерала Сирського” (ウクライナ語). BBC News Україна. https://www.bbc.com/ukrainian/news-48175947 2021年12月6日閲覧。 
  10. ^ “УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №144/2015” (ウクライナ語). Офіційне інтернет-представництво Президента України. 2021年12月6日閲覧。
  11. ^ “№ 346/2020 Про присвоєння військових звань” (2020年8月23日). 2020年8月23日閲覧。
  12. ^ “Про затвердження Змін до Правил носіння військової форми одягу та знаків розрізнення військовослужбовцями Збройних Сил України, Державної спеціальної служби транспорту та ліцеїстами військових ліцеїв” (ウクライナ語). ウクライナ国防省 (2020年11月4日). 2024年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月17日閲覧。
  13. ^ “Командувач оборони Києва генерал Сирський оглянув війська” (ウクライナ語) (2022年3月17日). 2022年3月17日閲覧。
  14. ^ “Кто такой Александр Сырский, командующий украинским наступлением под Изюмом” (ウクライナ語). nashaniva.com (2022年9月12日). 2022年10月22日閲覧。
  15. ^ “ロシア、ウクライナ軍総司令官を指名手配=RIA”. ロイター. (2023年5月31日). https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-general-idJPKBN2XL137 2023年5月31日閲覧。 
  16. ^ 日本放送協会 (2024年2月9日). “ゼレンスキー大統領 ウクライナ軍の総司令官交代を発表 | NHK”. NHKニュース. 2024年2月8日閲覧。
  17. ^ “"Его называют мясником". Что станет с ВСУ после ухода Залужного=RIA” (ロシア語). RIAノーボスチ. (2024年2月9日). https://ria.ru/20240209/vsu-1926284541.html 2024年2月13日閲覧。 
  18. ^ “Сырский пробовал перевестись в Российскую армию. Но испугался воевать в ЧечнеЧитайте на WWW.KP.RU: https://www.kp.ru/daily/27565.5/4889632/” (ロシア語). コムソモリスカヤ・プラウダ. (2024年2月9日). https://www.kp.ru/daily/27565.5/4889632/ 2024年2月13日閲覧。 
  19. ^ “УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №145/2022” (ウクライナ語). ウクライナ国防省. 2022年9月11日閲覧。
  20. ^ “10 фактів із життя Олександра Сирського. Хто такий новий командувач ООС”. https://espreso.tv/. Еспресо TV (2019年5月6日). 2019年5月6日閲覧。
  21. ^ “УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №533/2022” (ウクライナ語). ウクライナ大統領府. 2022年9月11日閲覧。
軍職
先代
ヴァレリー・ザルジニー
ウクライナ軍総司令官
第3代:2024年2月
次代
現職
先代
セルゲイ・ポプコ(ウクライナ語版)
ウクライナ陸軍司令官
第10代:2019年8月 - 2024年2月
次代
オレクサンドル・パヴリュク
先代
セルヒイ・ナエフ
ウクライナ統合軍事作戦司令官(ウクライナ語版)
第2代:2019年5月 - 2019年8月
次代
ウォロディミル・クラフチェンコ(ウクライナ語版)