グリーゼ486

グリーゼ486
Gliese 486
仮符号・別名 Gar
星座 おとめ座
見かけの等級 (mv) 11.395
分類 赤色矮星
軌道要素と性質
惑星の数 1
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α)  12h 47m 56.6249s[1]
赤緯 (Dec, δ) +09° 45′ 05.0319″[1]
視線速度 (Rv) 19.106 km/s
固有運動 (μ) 赤経: -1008.267 ミリ秒/年[2]
赤緯: -460.034 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 123.776 ± 0.0329ミリ秒[2]
（誤差0%）
距離 26.351 ± 0.007 光年[注 1]
（8.079 ± 0.002 パーセク[注 1]）
物理的性質
半径 0.328±0.011 R☉[3]
質量 0.323±0.015 M☉[3]
自転速度 <2 km/s[4]
自転周期 130.1+1.6
−1.2 日[3]
スペクトル分類 M3.5V[5]
光度 0.01210±0.00023 L☉[3]
表面温度 3340±54 K[3]
金属量[Fe/H] 0.07±0.16[3]
他のカタログでの名称
GJ 486、HIP 62452、Wolf 437、TYC 882-1111-1、2MASS J12475664+0945050[1]
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グリーゼ486とは、地球からおとめ座の方向に存在する赤色矮星である。ウォルフ437としても知られている。その表面温度は3340±54ケルビンである。グリーゼ486は、重元素の濃度が太陽に似ており、金属量のFe/H指数は0.07±0.16である。閃光星であると疑われたが[6]、2019年の観測では閃光星であることは明らかにならなかった[7]。

グリーゼ486は彩層に約1.6キロガウスの目立たない磁場を持っている[4]。自転速度は遅く、非常に古く、銀河系の古い薄い円盤に運動学的に属している可能性がある[8]。

多重度調査では、2020年の時点でグリーゼ486に付随する天体は検出されなかった[9]。

惑星系

グリーゼ486bの地表の想像図

2021年、グリーゼ486bという名称の太陽系外惑星が主星に接近した軌道上で発見された[3]。これは、近い将来ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられるとすぐに分光学的特性評価に適した珍しいクラスの岩石惑星である[10][11]。

グリーゼ486の惑星[3]
名称
（恒星に近い順） 		質量 軌道長半径
（天文単位） 		公転周期
(日) 		軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b (Su) 2.82+0.11
−0.12 M⊕ 		0.01734+0.00026
−0.00027 		1.467119+0.000031
−0.000030 		<0.05 88.4+1.1
−1.4° 		1.305+0.063
−0.067 R⊕

名称

2022年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の優先観測目標候補となっている太陽系外惑星のうち、20の惑星とその親星を公募により命名する「太陽系外惑星命名キャンペーン2022（NameExoWorlds 2022）」において、グリーゼ486とグリーゼ486bは命名対象の惑星系の1つとなった[12][13]。このキャンペーンは、国際天文学連合（IAU）が「持続可能な発展のための国際基礎科学年（英語版）（IYBSSD2022）」の参加機関の一つであることから企画されたものである[14]。2023年6月、IAUから最終結果が公表され、グリーゼ486はGar、グリーゼ486bはSuと命名された[15]。Garは、バスク語で「炎」を意味する言葉[15]、Suは、バスク語で「火」を意味する言葉で、危険と守護の二面性を表しており、バスク人がよく使う情熱と熱狂を示す言い回し“su eta gar”（火と炎）が元になっている[15]。

脚注

注釈

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差（秒）より計算、光年は1÷年周視差（秒）×3.2615638より計算

出典

  1. ^ a b c "Wolf 437". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2021年3月10日閲覧。
  2. ^ a b c “Gaia Early Data Release 3: Summary of the contents and survey properties”. arXiv. 2021年12月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h Trifonov, T. et al. (2021), “A nearby transiting rocky exoplanet that is suitable for atmospheric investigation”, Science 371 (6533): 1038–1041, arXiv:2103.04950, Bibcode: 2021Sci...371.1038T, doi:10.1126/science.abd7645, PMID 33674491 
  4. ^ a b Moutou, Claire; Hébrard, Élodie M.; Morin, Julien; Malo, Lison; Fouqué, Pascal; Torres-Rivas, Andoni; Martioli, Eder; Delfosse, Xavier et al. (2017), “SPIRou input catalogue: Activity, rotation and magnetic field of cool dwarfs”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 472 (4): 4563–4586, arXiv:1709.01650, doi:10.1093/mnras/stx2306 
  5. ^ Bozhinova, I.; Helling, Ch.; Scholz, A. (2014), “Planetary host stars: Evaluating uncertainties in cool model atmospheres”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 450: 160–182, arXiv:1405.5416, doi:10.1093/mnras/stv613 
  6. ^ O'Donoghue, D.; Koen, C.; Kilkenny, D.; Stobie, R. S.; Koester, D.; Bessell, M. S.; Hambly, N.; MacGillivray, H. (2003), “The DA+d Me eclipsing binary EC13471-1258: its cup runneth over ... Just”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 345 (2): 506–528, arXiv:astro-ph/0307144, Bibcode: 2003MNRAS.345..506O, doi:10.1046/j.1365-8711.2003.06973.x 
  7. ^ Vida, Krisztián; Leitzinger, Martin; Kriskovics, Levente; Seli, Bálint; Odert, Petra; Kovács, Orsolya Eszter; Korhonen, Heidi; Van Driel-Gesztelyi, Lidia (2019), “The quest for stellar coronal mass ejections in late-type stars”, Astronomy & Astrophysics 623: A49, arXiv:1901.04229, doi:10.1051/0004-6361/201834264 
  8. ^ ROTATION AND MAGNETIC ACTIVITY IN A SAMPLE OF M-DWARFS
  9. ^ Lamman, Claire; Baranec, Christoph; Berta-Thompson, Zachory K.; Law, Nicholas M.; Schonhut-Stasik, Jessica; Ziegler, Carl; Salama, Maïssa; Jensen-Clem, Rebecca et al. (2020), “Robo-AO M-dwarf Multiplicity Survey: Catalog”, The Astronomical Journal 159 (4): 139, arXiv:2001.05988, Bibcode: 2020AJ....159..139L, doi:10.3847/1538-3881/ab6ef1 
  10. ^ Hot Super-Earth Discovered 26 Light-Years Away
  11. ^ Newfound exoplanet could be 'Rosetta Stone' for studies of alien atmospheres
  12. ^ “NameExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年8月). 2023年6月15日閲覧。
  13. ^ “List of ExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年8月). 2023年6月15日閲覧。
  14. ^ “太陽系外惑星命名キャンペーン2022”. 国立天文台 (2022年9月5日). 2023年6月15日閲覧。
  15. ^ a b c “2022 Approved Names”. NameExoWorlds. IAU (2023年6月). 2023年6月15日閲覧。
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