タミータイム

タミータイム(英:tummy time)とは、乳幼児が起きているときに、保護者などの監督のもとで、乳幼児をうつ伏せにして過ごさせること[1]。日本には決まった言い方は無いが、近年は「うつ伏せ遊び」という呼称が一般的になりつつある[2][3]。その他の呼称として、「うつ伏せ練習」「腹ばい練習」「首すわりの練習」などがある。

沿革

1992年、米国小児科学会乳幼児突然死症候群を予防するために、乳幼児を仰向けに寝かせることを推奨した。しかし、そのことによって乳幼児が長時間仰向け寝の状態に置かれ、乳幼児の頭蓋変形が飛躍的に増加した[4]。そこで、乳幼児の頭蓋への持続的な外圧を低減する必要性が生じ、タミータイムが広く行われるようになった。

標語

上記の沿革を踏まえた次のような標語がある。

眠るときはあお向けに、遊ぶときはうつ伏せに — Back to Sleep, Tummy to Play
- healthychildren.org

効果

頭蓋変形の予防

頭蓋変形を予防することができる[5]

筋肉の発達

頭や首や肩の筋肉を発達させる[5]

発達の促進

運動能力を発達させる[5]。仰向け寝はうつ伏せ寝に比して、運動技能発達や精神発達の遅れを生じさせることも分かっている[6][7]

種類

タミータイムには、単に床に腹ばいにする以外に、次のような種類がある。

Tummy to Tummy / Tummy to Chest

横になった大人の腹や胸の上で、乳児を腹ばいにする方法[8][1]

Lap Soothe(Lap Time)

大人の膝の上で、乳児を腹ばいにする方法[1]

Tummy Down Carry

乳児を腹ばいの状態で抱っこする方法[1]

開始時期

病院から退院後すぐに開始した方がよい。

方法

乳幼児が起きているときに、保護者などの厳重な監督のもとで行う。

段階

  1. 最初のうちは、膝の上で1日2、3回、数分間腹ばいにする[5]
  2. 成長してきたら、おむつ交換やお昼寝の後に、ブランケットや床の上に腹ばいにする[5]
  3. 慣れてきたら、より頻繁にもしくはより長い時間腹ばいにする[5]

ポイント

ポイントとしては、以下のようなものがある。

  • 毎日おむつ交換の後に行うなど、ルーティーン化する。
  • 乳児の届く範囲に玩具を置いてあげる[5]
  • 乳児の前に鏡を置いてあげる。

目標

生後3、4ヶ月なら、少なくとも1日20分が目標[5]

タミータイムの代替

サイドタイム

乳児がタミータイムに耐えられなかったりタミータイムを嫌がったりする場合には、サイドタイム(英:side time)をすると良い。サイドタイムとは、乳児が起きているときに、保護者などの監督のもとで、乳児を横向きに寝かせて(英:Side Lying)過ごさせることである[9]

snuggle time / cuddle time

乳児を対面しながら直立に抱いて過ごさせる方法[10][11]。"cuddle time"は、愛着理論(英:Attachment therapy)上の意味もある。

脚注

  1. ^ a b c d 阪下和美『正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン』(東京医学社、2017/4/15、ISBN 978-4885632761)pp89‐90。
  2. ^ 「うつぶせ遊び」 - おむつと赤ちゃんに関する情報サイト【パンパース】
  3. ^ 「【理学療法士に聞く】“うつぶせ遊び”が赤ちゃんの運動能力を高める!?」 - 妊娠や出産、育児のお役立ち情報サイト「たまひよ」
  4. ^ Laughlin, J.; Luerssen, T. G.; Dias, M. S.; Committee On Practice Ambulatory Medicine (2011). "Prevention and Management of Positional Skull Deformities in Infants". Pediatrics. 128 (6): 1236–41. doi:10.1542/peds.2011-2220. PMID 22123884.
  5. ^ a b c d e f g h "Tummy time: How much does your baby need?" - Mayo Clinic(メイヨー・クリニック
  6. ^ Majnemer, Annette; Barr, Ronald G (2005). "Influence of supine sleep positioning on early motor milestone acquisition". Developmental Medicine & Child Neurology. 47 (6): 370–6; discussion 364. doi:10.1017/S0012162205000733. PMID 15934485.
  7. ^ Davis, B. E.; Moon, R. Y.; Sachs, H. C.; Ottolini, M. C. (1998). "Effects of Sleep Position on Infant Motor Development". Pediatrics. 102 (5): 1135–40. doi:10.1542/peds.102.5.1135. PMID 9794945.
  8. ^ "Tummy Time" - Pathways.org
  9. ^ "Tummy Time Activities" - healthychildren.org
  10. ^ "Babies Need Tummy Time!" - National Institutes of Health(アメリカ国立衛生研究所
  11. ^ "Tummy Time Tools" - Children's Healthcare of Atlanta(アトランタ小児病院)

関連項目

外部リンク

海外のサイト

  • "Babies Need Tummy Time!" - National Institutes of Health(アメリカ国立衛生研究所
  • "Back to Sleep, Tummy to Play" - healthychildren.org
  • "Tummy Time" - Pathways.org
  • "Tummy time: How much does your baby need?" - Mayo Clinic(メイヨー・クリニック
  • 「タミー・タイム・ツール」 - Children's Healthcare of Atlanta(アトランタ小児病院)