ディリクレエネルギー

数学におけるディリクレエネルギー: Dirichlet's energy)は、函数がどのように変化するかを測るための概念である。より抽象的に、そのようなエネルギーはソボレフ空間 H1 上の二次汎函数である。ディリクレエネルギーはラプラス方程式と密接に関連するもので、ドイツの数学者ペーター・グスタフ・ディリクレの名にちなむ。

定義

開集合 Ω ⊆ Rn と函数 u : Ω → R が与えられたとき、その函数 uディリクレエネルギーは次の実数で定義される:

E [ u ] = 1 2 Ω u ( x ) 2 d V . {\displaystyle E[u]={\frac {1}{2}}\int _{\Omega }\|\nabla u(x)\|^{2}\,\mathrm {d} V.}

ここで u : Ω → Rn は函数 u の勾配ベクトル場を表す。

性質と応用

ディリクレエネルギーは非負の量の積分なので、それ自身非負である。すなわちすべての函数 u に対して E[u] ≥ 0 が成り立つ。

(適切な境界条件に対する)ラプラス方程式

Δ u ( x ) = 0  for all  x Ω {\displaystyle -\Delta u(x)=0{\text{ for all }}x\in \Omega }

を解くことは、その境界条件を満たしディリクレエネルギーを最小にするような函数 u を探す変分問題を解くことと同値である。

そのような解は調和函数と呼ばれ、ポテンシャル論における研究テーマの一つである。

関連項目

参考文献

  • Lawrence C. Evans (1998). Partial Differential Equations. American Mathematical Society. ISBN 978-0821807729