パーリ聖典協会

パーリ聖典協会(パーリせいてんきょうかい、: Pali Text Society, 略称:PTS)とは、イギリス仏教学者であったリス・デービッズによって、1881年ロンドンで設立された、パーリ語文書の研究組織。南伝上座部仏教経典であるパーリ語経典や、パーリ語辞書の出版などを行い、その世界的な普及の中心的組織となって多大な影響を与えた。

日本で戦前に日本語訳された南伝大蔵経1935年-1941年、全65巻)の底本となったのも、この組織が校訂・出版したテキストである[1]

歴史

リス・デービッズはイギリス領セイロンに文官として赴任したときにパーリ語と仏教を学んだ。帰国してから仏教学の専門家として研究を進めた。当時はパーリ語の仏典は写本の状態でヨーロッパ各地の図書館に埋もれており、まともに利用できる人は少なく、まして理解できる人はほとんどいなかった[2]。このため初期英語文献協会に範を取って[3]、パーリ語仏典の校訂を行ってラテン文字翻字して出版し、研究者が利用しやすいようにした。また、英語への翻訳も行った。

出版物

協会はラテン文字によるパーリ語聖典本文を1882年以来順次出版しており、現在56部からなるセットを販売しているほか、別売もしている。英語訳(33部)も販売している。1996年にはタイ王国のタンマカーイ寺からCD-ROM版が出版された[4]

1882年から機関紙『Journal of the Pali Text Society』を発行し、短い本文はここに載せていたが、1927年に停刊した。1978年に8冊にまとめて出版された。1981年に復刊し、不定期に刊行されている。バックナンバーは協会のサイトからダウンロードできる。

ほかにコンコーダンスや辞典(リス・デービッズによる1921-1925年のパーリ語辞典など)も出版している。

脚注・出典

  1. ^ パーリ聖典協会とは - 世界大百科事典/コトバンク
  2. ^ Rhys Davids (1881) pp.70-71
  3. ^ Rhys Davids (1881) p.232
  4. ^ Palitext, OCLC WorldCat, http://www.worldcat.org/title/palitext/oclc/36347109 

参考文献

  • T. W. Rhys Davids (1881). Lectures on the Origin and Growth of Religion. London: Williams and Norgate. https://archive.org/details/lecturesonorigi00davi 

関連項目

外部リンク

  • Pali Text Society - Official Website
  • The Pali Text Society's Pali-English dictionary - シカゴ大学
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