フランシュ=コンテを統治下に収められた国王陛下に捧げるソネ

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フランシュ=コンテを統治下に収められた国王陛下に捧げるソネ』(仏語原題: Au Roi, sur la conquête de la Franche-Comté )は、モリエールによるソネ。1668年3月発表。

内容

フランス語原文[1] 日本語訳[2]
Ce sont faits inouïs, GRAND ROI, que tes victoires ! 偉大な国王よ、この勝利は前代未聞の偉業です!
L'avenir aura peine à les bien concevoir ; 未来はこのような偉業の成立を、想像すらできなかったでしょう;
Et de nos vieux héros les pompeuses histoires 古代の英雄たちの栄えある歴史も
Ne nous ont point chanté ce que tu nous fais voir. 陛下が我々に見せてくださるような偉業を歌いませんでした。
Quoi ! presque au même instant qu'on te l'a vu résoudre, ああ!陛下のご決断とほとんど同時に、
Voir toute une province unie à tes États ! ひとつの地方が丸々そっくり、陛下の国家に併合されたのです!
Les rapides torrents et les vents et la foudre 激流も、風も、雷も、
Vont-ils, dans leurs effets, plus vite que ton bras ? 陛下の手腕と同じほどに、素早く結果を生み出すことが出来るでしょうか?
N'attends pas, au retour d'un si fameux ouvrage, 期待なさいませんように、素晴らしい仕事を終えて帰還された陛下、
Des soins de notre muse un éclatant hommage. 私たちの詩の女神による輝かしい賛辞を。
Cet exploit en demande, il le faut avouer ; これほどの偉業には、輝かしい賛辞が必要なことは認めましょう;
Mais nos chansons, GRAND ROI, ne sont pas si tôt prêtes ; ですが陛下、我々はそう簡単には詩を認めることはできないのです;
Et tu mets moins de temps à faire tes conquêtes 陛下があまりに早く、征服をお遊ばせになるので
Qu'il n'en faut pour les bien louer. 賛辞のことばを考える時間さえもありません。

成立過程

1668年2月3日から、フランス軍はネーデルラント継承戦争において、フランシュ=コンテ獲得に向けて軍事行動を開始、およそ2週間ほどで同地を制圧し、支配下に収めた。アーヘンの和約で一度は返還したものの、最終的にナイメーヘンの和約において、正式にフランスの領土となった[3]

この勝利をテーマに、コルネイユをはじめとして様々な文人が競って詩を作った。モリエールもその一人であったが、王から年金を貰っている立場の彼にとって、この勝利をたたえることは自身の腕の見せどころでもあった。この作品は1668年3月、『アンフィトリオン』とともに出版されたほか、同時期に出版された詞華集にも採録されている。1670年の『アンフィトリオン』再版の際にも、ともに付して出版されたが、この詩の存在は19世紀まで知られていなかった。この詩が初めてモリエール全集に採録されたのは、1824年のことである[3]

脚注

  1. ^ パブリック・ドメイン
  2. ^ 本記事執筆者による訳
  3. ^ a b モリエール全集6,P.144,ロジェ・ギシュメール他編,臨川書店
戯曲
1645年? 飛び医者 1650年? ル・バルブイエの嫉妬 1655年 粗忽者 1656年 恋人の喧嘩 1658年 恋する医者 1659年 才女気取り
1660年 スガナレル 1661年 ドン・ガルシ・ド・ナヴァール 1661年 亭主学校 1661年 はた迷惑な人たち 1662年 女房学校 1663年 グロ=ルネの嫉妬
1663年 女房学校批判 1663年 ヴェルサイユ即興劇 1664年 強制結婚 1664年 ぼうやのグロ=ルネ 1664年 エリード姫 1664年 タルチュフ
1665年 ドン・ジュアン 1665年 恋は医者 1666年 人間嫌い 1666年 いやいやながら医者にされ 1666年 メリセルト 1667年 パストラル・コミック
1667年 シチリア人 1668年 アンフィトリオン 1668年 ジョルジュ・ダンダン 1668年 守銭奴 1669年 プルソニャック氏 1670年 豪勢な恋人たち
1670年 町人貴族 1671年 プシシェ 1671年 スカパンの悪だくみ 1671年 エスカルバニャス伯爵夫人 1672年 女学者 1673年 病は気から
詩とソネ
1655年 相容れないものたちのバレエ 1655年 クリスチーヌ・ド・フランスに捧げる歌
1663年 国王陛下に捧げる感謝の詩 1664年 ご令息の死に際してラ・モット・ル・ヴァイエへ捧げるソネ
1665年 ノートルダム慈善信心協会の設立を記念する版画に付した詩 1668年 フランシュ=コンテを統治下に収められた国王陛下に捧げるソネ
1668年? ボーシャン氏のバレエのメロディーに付した詩 1669年 ヴァル・ド・グラース教会の天井画を称える詩
1671年? 美しいメロディーにのせた題韻詩
人物と関連項目
マドレーヌ・ベジャール アルマンド・ベジャール マルキーズ・デュ・パルク カトリーヌ・ド・ブリー ラ・グランジュ ミシェル・バロン ジャン=レオノール・グリマレ
盛名座 モリエール劇団 オテル・ド・ブルゴーニュ座 モリエールの医者諷刺 モリエール (列車)