ユーティリティソフトウェア

ユーティリティソフトウェア (: utility software) は、コンピュータ上で動作する、補助的な機能を提供するソフトウェアの総称である。ツールソフトウェアや単にユーティリティとも呼ばれる。コンピュータを利用する直接の目的となるアプリケーションソフトウェアとは対照的に、コンピュータの分析、構成、最適化、保守のためのソフトウェアである[1]。 補助的に様々な機能を提供することで、コンピュータの利便性を向上させる。

ユーティリティプログラムの基本セットは通常、WindowsmacOSLinuxなどのオペレーティングシステム(OS)に標準的に組み込まれており、好みによってフリーウェアシェアウェア市販ソフトウェアなどに置き換えて活用する人も多い[2][3]

コンピュータシステム全体に影響を与えるユーティリティは、実行に特別な権限が必要となる場合がある。ユーザーのデータのみを扱うユーティリティは通常の権限で実行できる[4]

システムユーティリティ

  • アンチウイルス - コンピュータウイルスをスキャンし、ブロックまたは削除する。
  • ベンチマークソフト - コンピュータの性能を測定する。
  • クリップボードマネージャ - OSのクリップボード機能を拡張する。
  • コンピュータアクセス制御ソフトウェア - システムリソースへのアクセス要求を管理者の意図通りに制御する。
  • デバッガ - メモリ内やディスク上のデータおよびプログラム命令の検査と変更を許可する。
  • 診断プログラム - コンピュータのハードウェアとソフトウェアの動作状況を報告する。一例としてメモリテスタが挙げられる。
  • ネットワークユーティリティ - コンピュータのネットワーク接続を分析、ネットワーク設定を構成、データ転送を確認、イベントをログに記録する。
  • パッケージマネージャ - コンピュータ上のソフトウェアを構成、インストール、または最新の状態に更新する。
  • レジストリクリーナー - 使用されなくなった古いレジストリキーを削除することで、Windowsレジストリを最適化する。
  • システムモニタ - コンピュータシステムのリソースとパフォーマンスを監視する。
  • システムプロファイラ - インストールされているソフトウェアとハードウェアに関する詳細情報をまとめる。

記憶デバイス管理ユーティリティ

  • バックアップソフトウェア - ディスクに保存されているすべての情報のコピーを作成し、ディスクに障害が発生した場合や、ファイルを誤って削除または破損した場合に、ディスク全体を復元する。ファイル復元ユーティリティの方が便利な場合がある。
  • ディスクチェッカー - 動作中のハードドライブをスキャンし、論理(ファイルシステム)エラーまたは物理エラーをチェックする。
  • ディスク圧縮ユーティリティ - ディスクの内容を透過的に圧縮/展開し、ディスクの空き容量を増やす。
  • ディスクデフラグツール - ハードディスク上の複数の収納場所に散在しているファイルを検出し、フラグメントを1つの連続した領域に再収納する。
  • ディスク初期化ツール - ハードディスク、ソリッドステートドライブ (SSD)、フロッピーディスク、USBフラッシュドライブなどのデータストレージデバイスを最初に使用する際に使う。デバイスの内容全体を完全に消去する。
  • ディスクパーティションエディタ - 個々のドライブを複数の論理ドライブに分割する。各論理ドライブは、オペレーティングシステムによってマウントされ、OS内からドライブとして認識できるようにする。
  • ディスク容量分析 - フォルダーまたはドライブ内の各フォルダー(サブフォルダーを含む)およびファイルのサイズを取得して、使用スペースの分布を表示することにより、ディスクスペースの使用状況を視覚化する。
  • テープの初期化 - 磁気テープまたはその他の磁気媒体にラベルを書き込む。 DECtapeの初期化ツールは、テープをブロック単位にフォーマットする。

ファイル管理ユーティリティ

  • アーカイバ - ディレクトリまたはファイルの集合が提供されると、ストリームまたは単一のファイルを出力する。アーカイブスイート (archive suites) には、圧縮および暗号化の機能が含まれることもある。展開や復号といった逆操作のためのユーティリティを別途持つこともある。zipファイルが代表的なフォーマットである。
  • ファイル暗号化ユーティリティ - ストリームとファイルを暗号化または復号する。
  • データ圧縮ユーティリティ - ストリームまたはファイルが提供されると、より短いストリームまたはより小さなファイルを出力する。
  • データ変換ユーティリティ/ファイルコンバータ - データを元のファイル形式からPDFドキュメントなどの他の形式に変換する。
  • データ復旧ユーティリティ - 破損したファイルから適切なデータを救出するために使用される。
  • データ同期ユーティリティ - ソースからターゲットのデータストレージへのデータ間の一貫性を確立する。このタイプのユーティリティにはいくつかのブランチがある。
    • ファイル同期ユーティリティ - 2つのソース間の一貫性を維持する。冗長性の確保やバックアップコピー作成の目的で使用する。ユーザーがモバイルデバイスでデジタル音楽、写真、ビデオを持ち運ぶためにも使用される。
    • リビジョン管理ユーティリティ - 複数のユーザーが同じファイルを同時に変更できる仕組みを作成する。
  • ディスククリーナは、コンピュータの操作に不要なファイルや、ディスク容量の大きな部分を締めているファイルを見つける。
  • ファイルコンペア - ファイル間の差異を検出する。
  • ファイルマネージャ - 日常的なデータ管理、電子メールの回復、管理タスクの実行などを行う際の便利な方法を提供する。ファイルの移動、コピー、統合、削除、名前の変更、カタログ化、カタログ解除、書き込み保護状態の設定、ファイルアクセス許可の設定、フォルダーとデータの生成と変更などを実行できる。

その他のユーティリティ

  • データジェネレータ - 指定されたパターンに従ってテストデータのファイルを生成する(例: IEBDG )。
  • バイナリエディタ - ファイル形式に関係なく、ファイル内のテキストやデータを直接バイナリデータとして閲覧、変更する。
  • 時計ソフトウェア - 時間表示やアラーム・タイマーなどの機能を提供する。
  • HTMLチェッカ - HTMLコードの文法とリンク切れを検証する。
  • インストールユーティリティ/セットアップユーティリティ - 特定のコンピュータ環境で使用するプログラム(通常はアプリケーションプログラム)を初期化または構成するために使用される。アンインストーラもあわせて提供される。
  • パッチ適用ユーティリティ - ファイルの変更・修正を実施する。特に、プログラムのソースファイルが利用できない場合に、バイナリファイル (オブジェクトファイル) の修正を実行するために使用される。
  • スクリーンセーバー - CRTモニターやプラズマディスプレイにおける蛍光体の焼き付きを防止する。
  • マクロレコーダー - マクロ機能を持っていないプログラムで利用すると、キーボード入力などを自動化できる。
  • スクリーンキャプチャソフトウェア - デスクトップ画面イメージをキャプチャする。
  • キーカスタマイザ - キー配列をカスタマイズする。
  • マウスジェスチャーに対応していないソフトウェアでジェスチャー可能にするソフトウェア。

脚注

  1. ^ Parsons, June Jamrich; Oja, Dan (2013). New Perspectives on Computer Concepts 2014: Comprehensive. Course Technology. p. 129. https://www.goodreads.com/book/show/15942488-new-perspectives-on-computer-concepts-2014 
  2. ^ “Non-Opec (advertisement)”. Computerworld. (1979年9月3日). https://books.google.com/books?id=ZIfqFFpyXo8C&pg=PA3 2019年5月20日閲覧。 
  3. ^ Mendelson, Edward (1999年6月8日). “Fix What Ails Your PC”. PC Magazine. https://books.google.com/books?id=XrdgwdYfGrUC&pg=PA60 2019年5月20日閲覧。 
  4. ^ “Linux ifconfig command”. Computer Hope. 2019年5月20日閲覧。

関連項目

典拠管理データベース ウィキデータを編集
国立図書館
  • ドイツ
その他
  • IdRef