五十嵐川

五十嵐川
景勝地「八木ヶ鼻」(八木橋より上流方向)
水系 一級水系 信濃川
種別 一級河川
延長 38.686 km
平均流量 -- m³/s
流域面積 310.1 km²
水源 烏帽子岳
水源の標高 1,350 m
河口・合流先 信濃川
流域 日本の旗 日本 新潟県
地図
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三条市高岡地内

五十嵐川(いからしがわ)は、新潟県三条市を流れる一級河川信濃川の支流。「いらし」ではなく「いらし」と発音する。

地理

新潟県三条市の南東の魚沼市との境界に位置する烏帽子山 (標高1,350 m) に源を発する。三条市大字塩野渕字御所から三条市内を北西へ流れ、三条市由利と三条市本町の境界で信濃川に合流する。

上流域は山裾にあり平坦地は少ない[1]。中流域は上流側では2m以上の岩もみられるが、下流側では河川敷は広がり礫地や湿った砂地がみられる[1]。下流域は細砂や中砂のみで礫はみられず、一部は畑地として利用され、堤防近くまで人家が密集している[1]

ほぼ全域にわたってアユヤマメウグイ、カジカなどが豊富に生息し、秋はサケが遡上し一括捕獲されているが、河川改修事業によりサケの一括捕獲も危ぶまれている。

名称の由来

三条市南東部の下田郷と呼ばれる地区周辺は、第11代垂仁天皇の第八皇子五十日足彦命(いかたらしひこのみこと)が開拓したと伝えられ、その子孫が「五十嵐」を名乗るようになった。五十日足彦命が開拓した地域に流れる五十嵐川の名称もこれに由来する。五十嵐は、豊作をもたらす「五風十雨」を意味する。五十嵐神社の祭神が五十日足彦命、五十嵐神社の立つ丘が五十日足彦命の陵墓とされている。

また、アイヌ語に由来した地名との説もある。 物見をするような見晴らしの良い場所をアイヌ語で「インカルシペ」または「インガルシ」などといい、北海道の遠軽町などの地名として現在も残っているが、「いからし」もその例に当たるという。この場合、流域の見晴らしの良い小山「要害山」が、名称の由来となった「インカルシペ」だろう[2]

支流

  • 一級河川
    • 大平川(おおだいら:4,944 m)
      • 大沢川(おおさわ:2,300 m)
      • 楢山川(ならやま:3,500 m)
    • 鹿熊川(かくま:13,827 m)
      • 坂本川(さかもと:400 m)
      • 中浦川(なかうら:2,800 m)
      • 曲谷川(まがりたに:1,000 m)
    • 笠堀川(かさぼり:6,543 m)
    • 鎌倉沢川(かまくらさわ:1,268 m)
    • 小長沢川(こながさわ:900 m)
    • 駒出川(こまいで:2,300 m)
    • 島田川(しまだ:4,300 m)
    • 新通川(しんどおり:3,400 m)
    • 守門川(すもん:13,743 m)
    • 布倉川(ぬのくら:2,865 m)
    • 日端川(ひずい:2,900 m)

順不同

歴史

大谷ダム(ひめさゆり湖、画像中央)と笠堀ダム(笠堀湖、画像左)
  • 明暦万治年間(1655年 - 1661年):それまで高岡 - 籠場(旧三条市・下田村境)付近で三条方面と加茂の天神林方面に分流していた五十嵐川の流路を、現在の流れ(三条側)にのみにする工事が行われた。しかし三条側の流路はそのままであったため、上流部では川幅が広く下流部では川幅が狭い「とっくり瓢箪)型」の流路になり、上流部での大雨によって下流部で越水、氾濫、破堤しやすい遠因となったといわれる。
  • 1872年(明治5年)8月1日:信濃川・五十嵐川大洪水。嵐南地域は近世の史上希に見る惨状を呈し、松尾与十郎が嵐南築堤を決意する契機となった大水害が発生。
  • 1925年(大正15年)7月28日諏訪・曲渕切れの水害。五十嵐川左岸の諏訪・曲渕で破堤し、嵐南地域は浸水が1週間に及んだ。死者1名、負傷者27名、家屋流失6棟、全潰12棟、田畑冠水320町歩、被害額は116万円(当時価格)。
  • 1961年(昭和36年)8月5日8・5集中豪雨。五十嵐川に架かる新大橋が橋詰めの民家とともに流失し家族5名が流されるも4名は常盤橋で辛うじて救助されるが1名と消防署員1名が死亡。新大橋の流失に続き渡瀬橋、御蔵橋も流失など被害甚大。被害総額は8億6,746万円(当時価格)。
  • 1978年(昭和53年)6月26日6・26水害笠堀ダムが満杯、嵐南地域で越水破堤。
  • 1993年(平成5年):大谷ダム完成。
  • 2004年(平成16年)7月13日平成16年7月新潟・福島豪雨(7・13水害)。五十嵐川左岸(諏訪)の堤防が100 mにわたり決壊。
  • 2011年(平成23年)7月29日 - 30日平成23年7月新潟・福島豪雨(7・29水害)。五十嵐川右岸(江口)の堤防が150 mにわたり決壊。

橋梁

ほぼ全ての橋梁の災害復興事業が終了している。特に右岸地域では堤防近くにまで住宅が迫り、豪雨の際には、堤防の決壊こそ無かったものの、水が溢れ出ることもあった。
下流より記載

  • 嵐川橋(らんせんきょう) - 2010年(平成22年)3月6日、五十嵐川災害復旧・河川改修事業により新しい橋に架け替えられた。工事途中で設計ミス(太鼓橋にする予定だったがほぼ平らだった)が発覚し、2009年(平成21年)頃には完成する予定だったが3月6日まで引き伸ばされた。
  • 御蔵橋(おくらはし/おぐらばし) - 三条市道御蔵橋通り線。
  • 常盤橋(ときわばし) - 新潟県道8号長岡見附三条線
  • 新大橋(しんおおはし) - 新潟県道35号三条停車場線
  • 昭栄大橋(しょうえいおおはし)
  • 一新橋(いっしんはし/いっしんばし) - 三条市道一新線。2007年(平成19年)6月3日、五十嵐川災害復旧・河川改修事業により新しい橋に架け替えられた。撤去した木造橋の親柱2本は三条市が保存している。
  • 鉄道橋(信越本線
    • この鉄道橋手前の左岸側が、2004年(平成16年)の7・13水害で最初に決壊した箇所である[3]
  • 田島橋(たじまばし)
  • 渡瀬橋(わたらせばし) - 新潟県道212号大面保内線
  • 清流大橋(せいりゅうおおはし) - 国道289号
  • 新五十嵐橋(しんいからしばし) - 国道290号
  • 五十嵐橋(いからしばし) - 新潟県道281号森町鹿峠線
  • 下田大橋(しただおおはし)
  • 白山橋(はくさんはし) - 新潟県道409号牛ヶ首笹岡線。
  • 花江大橋
  • 永田新橋
  • 鶴亀橋 - 新潟県道281号森町鹿峠線。
  • 八木橋(やぎばし)
  • 八木ヶ鼻大橋 - 国道289号。
  • 大名橋
  • 塩野渕橋
  • 大谷大橋 - 国道289号。
  • 布倉大橋 - 国道289号。
  • 大江大橋 - 国道289号。

河川施設

  • 大谷ダム(新潟県三条市大谷)
  • 笠堀ダム(新潟県三条市笠堀) - 笠堀川。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 関矢敦. “五十嵐川河川敷に生息する直翅目昆虫の研究”. 新潟県立教育センター. 2022年12月9日閲覧。
  2. ^ 『東北・アイヌ語地名の研究』山田秀三 1993年 草風館
  3. ^ 災害当時の新潟日報や地元紙三条新聞の記事及び被害の概要図、またヘリコプターからの映像を分析すると、鉄道橋手前から決壊が広がっている映像がある。

外部リンク

  • 新潟県土木部 河川管理課
    • 信濃川下流(山地部)圏域河川整備計画
  • 新潟県三条地域振興局 地域整備部
    • 平成23年災害 五十嵐川災害復旧助成事業について
  • 新潟県土木部五十嵐川改修事務所 - ウェイバックマシン(2008年11月6日アーカイブ分) - 平成16年7月新潟・福島豪雨による河川改修事業のため、新潟県三条地域振興局内に2005年(平成17年)開設。
  • 新潟県河川防災情報システム - 笠堀・大谷両ダムの放水量、五十嵐川の各観測点での水位情報を提供。
  • 五十嵐川漁業協同組合
  • パンフレットギャラリー(三条市) - 五十嵐川流域の釣りや川遊び、周辺観光に関するパンフレットが掲載されている。

関連項目

信濃川水系
信濃川(千曲川)
信濃川の1次支川
魚野川の支川
破間川の支川
登川の支川
鳥居川の支川
犀川(梓川)の支川
高瀬川の支川
穂高川の支川
奈良井川の支川
浦野川の支川
  • 産川
  • 湯川 (上田市)
  • 沓掛川
  • 湯川 (青木村)
湯川 (北佐久郡)の支川
そのほかの支川
信濃川水系の放水路
新潟県
長野県
  • 神田川放水路
信濃川水系の用水路
新潟県
  • 福島江
  • 飯塚江
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