近似

近似(きんじ、: approximation)とは、数学物理学において、複雑な対象の解析を容易にするため、細部を無視して、対象を単純化する行為、またはその方法。

近似された対象のより単純な像は、近似モデルと呼ばれる。

概要

単純化は解析の有効性を失わない範囲内で行われなければならない。

解析の内容にそぐわないほど、過度に単純化されたモデルに基づいた解析は、近似モデルの適用限界を見誤った行為であり、誤った解析結果をもたらす。

しかしながら、ある近似モデルが、どこまで有効性を持つのか、すなわち適用限界がどこにあるのかは、実際にそのモデルに基づいた解析を行ってみなければ分からないことが多い。

記号

等号」も参照
∼ ≃ ≈ ≒

AB によって近似できる」ことを記号 A B {\displaystyle A\simeq B} と表す(∼, ≈, ≒ についても同様)。

それぞれの記号の使い方は分野や著者によってまちまちであり、統一されていない。

いずれの記号にせよ、以下の意味で用いられることが多い。

  1. AB が数値的にほぼ等しい。例: π 3.14. {\displaystyle \pi \approx 3.14.}
  2. AB のオーダーが等しい。例: N A 10 23   m o l 1 . {\displaystyle N_{\mathrm {A} }\sim 10^{23}~\mathrm {mol} ^{-1}.}
  3. AB漸近的に等しい。lim A (x)/B (x) = 1. 例: Γ ( x + 1 ) 2 π x ( x e ) x . {\displaystyle \Gamma (x+1)\simeq {\sqrt {2\pi x}}{\left({\frac {x}{e}}\right)}^{x}.}
  4. AB が漸近的に比例lim A (x)/B (x) = constant ≠ 0. 例: Γ ( x + 1 ) ( x e ) x + 1 / 2 . {\displaystyle \Gamma (x+1)\sim {\left({\frac {x}{e}}\right)}^{x+1/2}.}

意味の混同を避けるため、大抵の場合それぞれの用法に対して別々の記号が充てられる。また、日本では ≒ が 1 の意味でしばしば用いられる。

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+223C - ∼
∼
∼
相似、オーダーが等しい、(漸近的に)比例
U+2243 1-2-76 ≃
≃
漸進的に等しい、ホモトープ
U+2248 1-2-78 ≈
≈
≈
近似的に等しい,同相
U+2252 1-2-66 ≒
≒
ほとんど等しい

近似の一覧

関連項目

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近似
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