アリタソウ

アリタソウ
Dysphania ambrosioides
Dysphania ambrosioides
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヒユ科 Amaranthaceae
亜科 : Chenopodioideae
: Chenopodieae
: アリタソウ属 Dysphania
: アリタソウ D. ambrosioides
学名
Dysphania ambrosioides (L.) Mosyakin et Clemants (2002)[1]
シノニム
和名
アリタソウ(有田草)、ケアリタソウ(毛有田草)
英名
Mexican tea, Epazote, Wormseed, Jesuit's Tea
亜種
  • アメリカアリタソウ
    C. a. var. anthelminticum[1]
Dysphania ambrosioides

アリタソウ(有田草、学名: Dysphania ambrosioides)は、ヒユ科[注 1]アリタソウ属の一年草。別名、ケアリタソウ[1]

和名は、駆虫薬として佐賀県有田町栽培していたことに由来する。エパソーテスペイン語: epazote)とも言い、ナワトル語の「エパートリ」(epatli, 「スカンク」)と「ソートリ」(zotli, 「ハーブ」)に由来する。英語ではメキシカン・ティー (Mexican tea) とも呼ばれる。中国名は、土荊芥、鵝腳草、臭草[1]

本記事ではアカザ科のアリタソウを説明している。シソ科にも「アリタソウ」と呼ばれる全く別の植物があり、これはケイガイの別名である。

特徴

一年から数年で枯死する。1.2mほどまで生長し、不規則にを広げ、長楕円形の皮針形をつける。葉は12cmほどにもなる。の先端の円錐花序に緑色の小さなをつける。

毛があるものを、ケアリタソウ(毛有田草、学名: C. a. var. pubescens)と呼んで区別する。

近縁種

  • ゴウシュウアリタソウ Chenopodium pumilio R.Br.
  • キクバノアリタソウ Chenopodium schraderianum Roem. et Schult.

分布・生育地

南米メキシコ南部原産。原産地だけでなく、ヨーロッパアメリカの温暖な亜熱帯日本を含むアジアでも生長し、侵入雑草となることもある。

日本では、家畜が食べると有害なために嫌われている。

利用

調理

エパソーテは独特の刺激臭を持ち、葉物野菜ハーブとして用いられる。生の状態では樹脂性の薬効のある辛味を持つ。味はアニスフェンネルタラゴンに似ているが、より風味が強い。柑橘類石油ミントを連想させるようなピリッとした独特の香りを持つ。

伝統的にメキシコ料理では、豆(フリホレス)の香り付けや整腸に利用されていた。特に黒いんげん豆を煮るときには欠かせない。この他ケサディージャスープ、モーレ・デ・オーヤ(mole de olla、野菜を煮込んで唐辛子で風味をつけたスープ)、タマーレス・デ・ケソ・イ・ラハ(tamales de queso y raja、火であぶって皮をむき、細く裂いたポブラーノ唐辛子とチーズを詰めたタマーレス)、チラキレスジャガイモエンチラーダスイートコーンの料理などに特によく用いられる。一度その味を覚えると、何にでも使えるハーブである。 東京のお台場、中目黒の目黒川に野生のエパソテが大量に生えている。

薬用

エパソーテは豆を食べることによって起こる腹部膨満や無月経に効果があるとされている[7]。そのほか、月経困難症マラリアコレラヒステリーカタル気管支喘息への効果も指摘されている[8]

鎮痙剤や虫下しもエパソーテから作られる。また、最初の中絶薬もエパソーテの研究から生まれている。

エパソーテのエッセンシャルオイルは70%未満のアスカリドールからなり、そのほかリモネンシメンなどモノテルペンとその由来成分が含まれる。アスカリドールはハーブの成分としては珍しい。アスカリドールは中毒性がある。また刺激臭を持ち、単体ではどちらかというと不快なにおいである。また衝撃に敏感な爆発物でもある。メキシコ産のエパソーテの方が、アジアヨーロッパで見られるものよりもアスカリドール濃度は低いといわれる。

脚注

注釈

  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではヒユ科であるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではアカザ科に分類された[1]

出典

  1. ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dysphania ambrosioides (L.) Mosyakin et Clemants アリタソウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chenopodium ambrosioides L. var. pubescens (Makino) Makino アリタソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dysphania chilensis auct. non (Schrad.) Mosyakin et Clemants アリタソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ambrina ambrosioides (L.) Spach var. pubescens (Makino) Makino ex Kitag. アリタソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ambrina ambrosioides (L.) Spach アリタソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chenopodium ambrosioides L. アリタソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月5日閲覧。
  7. ^ Duke, James A. (1997). The Green Pharmacy. Rodale: Emmaus, pp. 51–53. ISBN 0875963161.
  8. ^ Duke, James A. (1997). The Green Pharmacy. Rodale: Emmaus, pp. 855–856. ISBN 0875963161.

参考文献

  • Kennedy, Diana (2000) (英語). The Essential Cuisines of Mexico. New York: Clarkson Potter. ISBN 0609603558 
  • 平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、358頁。ISBN 4-635-07001-8。 
  • 『写真で見る外来雑草』畜産技術協会、1995年、3頁。ISBN 4-88137-056-1。http://nilgs.naro.affrc.go.jp/db/weedlist/title.html 
  • 岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2007年、31頁。ISBN 978-4-88137-135-0。 
  • 岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』(4版)全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2009年、59頁。ISBN 978-4-88137-146-6。 
  • 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』小学館、2010年4月10日、180頁。ISBN 978-4-09-208303-5。 

関連項目

外部リンク

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ハーブ・香辛料
 
 
 
 
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