エナメル

エナメル(英:enamel、仏:émail、伊:smalto)とは顔料を含む塗料の総称。フランス語ではエマイユ、イタリア語ではスマルトと呼び、英語のエナメルは古代フランス語のesmaillerあるいは中世初期のラテン語smaltumを語源とする。smaltumはフランク語のsmaltを語源としており、これは呉須(陶器の染め付けに用いる鉱物質の顔料で、酸化コバルトを主成分に鉄・マンガン・ニッケル等と含み、還元炎によって藍青ないし紫青に発色する[1])を意味する。釉薬としてのエナメルはツタンカーメンの宝物など古代エジプトから利用されており、ビサンティン帝国時代に洗練され、11~12世紀にモザン地方やリモージュを中心として聖器制作に用いられた[2]。これとは別に、エナメルのような光沢をもつ塗料で外観を変える事を「エナメル」と呼ぶ事例はジョン・ミルトンの1667年の失楽園(第9本)に発見でき、これは転用とみられている[3]

  • 陶磁器釉薬のこと(porcelain enamel)。
  • 金属表面を釉薬と同等の材料で加工すること。(vitreous enamel)美術の技法としては七宝(Champlevé、Cloisonnéなど)、工業製法としては琺瑯を指す。
  • エナメル塗料のこと。金属看板や皮革製品(いわゆる「エナメルの靴」)などに用い上記と同様の光沢をだす。加工した状態を指すこともある。(enamel paint)
  • 日本の塗料の分類(JIS規格等)では、透明な塗膜を形成するワニス(クリヤー)に顔料を加えて作られた、有色不透明な塗料全般を表す。例えば有色のラッカー塗料は「ラッカーエナメル」と呼ばれる。
  • 歯質の一種、エナメル質(tooth enamel)。
  • ネイル・エナメルは爪に光沢と彩を加える化粧品、マニキュア
  • エナメル線 - エナメル塗料による被覆で絶縁した電線電線#被覆による分類を参照。
  • などにもある、光沢を出しているもの。主な素材は、ポリ塩化ビニルポリウレタンである。ただし、表面が、ざらざらしているものもある。最近では、スポーツバッグにも採用している。
  • ENAMEL (杏子のアルバム) - 杏子 (ミュージシャン)の2008年のアルバム
    • 上記アルバムの表題曲
  • ENAMEL (シドの曲) - シド (バンド)の2014年のシングル

脚注

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  1. ^ 小学館デジタル大辞泉「呉須」[1]
  2. ^ 平凡社・百科事典マイペディア「エマイユ」[2]
  3. ^ Wiktionary「enamel」[3]
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