オリヴィエ・サラダ

エルミタージュのオリヴィエ・サラダの再現

オリヴィエ・サラダ英語: Olivier salad)、サラート・オリヴィエロシア語: сала́т Оливье́)とは、ロシア料理サラダの一つである。サラート・ストリーチヌィロシア語: сала́т Столичный、「首都サラダ」)の名称でも知られる。モスクワホテルレストラン「エルミタージュ」(Hermitage)でシェフを務めたベルギー人リュシアン・オリヴィエ(英語版)によって考案された。

マヨネーズを用いるポテトサラダの源流であるとも言われる[1][2]

起源

オリヴィエ・サラダが出されたエルミタージュは、1864年にモスクワの商人ペゴフの出資によって開店した。

豪遊するために地方から上京した地主たちはエルミタージュのフランス料理を好み、出された料理の中でもオリヴィエ・サラダの評価は特に高かった[3]。その製法、特にオリヴィエのマヨネーズのレシピは明らかにされず、味を正確に再現できた者はいなかった。オリヴィエが亡くなると本来のレシピは分からなくなり、エルミタージュは1917年ロシア革命のあおりを受けて閉店した。その後エルミタージュは営業を再開するが、この時代に出されたオリヴィエ・サラダはオリジナルと大きく異なっていた[4]

ソ連時代、レストラン「モスクワ」の料理人でオリヴィエの副料理長を自称するイワン・イワノフが「本物のオリヴィエ・サラダと同じ」とされる首都サラダを作った[5]

現在のロシアではレストランや食料品店では「オリヴィエ・サラダ」や「首都サラダ」の名前を冠したサラダが提供され、一般家庭では新年にオリヴィエ・サラダが作られることもある[6][7]ザクースキの一品ともされる。

ロシア風サラダ

ロシア風サラダ

オリヴィエ・サラダはスペイントルコ東ヨーロッパ中央アメリカでは「ロシア風サラダ」として知られている。茹でたジャガイモなどをマヨネーズで和える点は同じだが、肉類が入らないことがあり、トルコやコスタリカではテーブルビートが入る。スペインでは人気のあるタパスである。

参考文献

  • 荒木瑩子『ロシア料理・レシピとしきたり』、p.37(ユーラシア・ブックレットNo.8, 東洋書店, 2000年11月)
  • 荻野恭子、沼野恭子『家庭で作れるロシア料理 ダーチャの菜園の恵みがいっぱい!』、p.60(河出書房新社, 2006年7月)
  • 沼野充義沼野恭子『ロシア』 19巻、農山漁村文化協会〈世界の食文化〉、2006年。ISBN 9784540050084。 

出典

  1. ^ a b 佐藤政人『世界のサラダ図鑑: 驚きの組み合わせが楽しいご当地レシピ304』誠文堂新光社、2021年、112頁。ISBN 9784416521823。 
  2. ^ a b “ポテサラはロシア発祥 日本で進化したおいしいワケ”. NIKKEI STYLE (2020年11月29日). 2022年2月7日閲覧。
  3. ^ 沼野、沼野, p. 65.
  4. ^ 沼野、沼野, p. 66.
  5. ^ 沼野、沼野, pp. 66–67.
  6. ^ 沼野、沼野, p. 67.
  7. ^ “ウクライナの新年メニュー、決め手は愛国心 ロシア色払拭”. www.afpbb.com. 2022年12月31日閲覧。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、ロシア風サラダに関連するカテゴリがあります。
  • ポテトサラダ
  • ザクースキ
  • 私のちいさなお葬式(英語版) - 2017年公開のロシアのドラマ映画。余命宣告を受けた老女が自身の葬儀の準備を行い、精進落とし料理としてオリヴィエ・サラダを作る場面がある。
ジャガイモ料理
焼き料理
煮込み料理
揚げ料理
マッシュ料理
炒め料理
サラダ
  • オリヴィエ・サラダ
  • シャウォート(ポーランド語版、英語版)
  • ポテトサラダ
スープ
保存食
その他

サツマイモを用いる場合もある。