シグナス OA-8E

OA-8E
宇宙船ジーン・サーナンを把持するカナダアーム2
任務種別国際宇宙ステーションへの補給
運用者オービタルATK
COSPAR ID2017-071A
SATCAT №43006
任務期間36日 34分
特性
宇宙機宇宙船ジーン・サーナン
宇宙機種別拡張型シグナス[1][2]
製造者
打ち上げ時重量6,172 kg (13,607 lb)[3]
任務開始
打ち上げ日2017年11月12日 12:19:51 UTC[4]
ロケットアンタレス 230[5][6]
打上げ場所中部大西洋地域宇宙基地 LP-0A
打ち上げ請負者オービタルATK
任務終了
廃棄種別軌道離脱
減衰日2017年12月18日 12:54 UTC[7]
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.66°
ISSのドッキング(捕捉)
ドッキング ユニティ 天底側
RMSの捕捉 2017年11月14日 10:04 UTC[8]
ドッキング(捕捉)日 2017年11月14日 12:15 UTC[8]
分離日 2017年12月5日 17:52 UTC
RMS切り離し 2017年12月6日 13:11 UTC[9]
係留時間 21日 5時間 37分
輸送
重量3,338 kg (7,359 lb)[10]
加圧3,229 kg (7,119 lb)
非加圧109 kg (240 lb)

NASAのミッションパッチ
OA-8E
COSPAR ID2017-071A
シグナスのフライト
« OA-7
OA-9E »

OA-8Eは、オービタルATK無人宇宙補給機シグナスの9回目のフライトであり、NASAとオービタルATKの間商業補給サービス契約下の8回目の国際宇宙ステーションへのフライト。このミッションは2017年11月12日 12:19:51 UTCに打ち上げられた。オービタルATKとNASAは国際宇宙ステーション(ISS)への商業貨物補給サービスを提供する新しい宇宙輸送システムを共同開発した。商業軌道輸送サービス(COTS)計画のもと、当時のオービタル・サイエンシズが中型ロケットのアンタレス、先進的な機動宇宙船のシグナスを設計及び組立て、提携企業のタレス・アレーニア・スペースから与圧貨物モジュールの供給を受けた[11]

来歴

2017年11月12日のシグナス CRS OA-8Eの打ち上げ

2013年9月に商業軌道輸送サービスの実証飛行が成功し、オービタルATKは商業補給サービス計画に基づき2014年中に2回のISS補給ミッションを請け負うことになった。しかし、3回目の打ち上げとなるシグナス CRS Orb-3はアンタレス130ロケットが離床直後に爆発したため失敗に終わってしまった。同社はアンタレス100シリーズを廃止して新しい推進システムの導入を加速させた。アンタレスシステムは第1段エンジンに新規に製作されたRD-181エンジンを搭載して頼性の向上とペイロードの増加が図られた[12]

その間、同社は2015年12月のCRS OA-4と2016年3月のCRS OA-6を飛行させるためにユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)と2機のアトラスVロケットをフロリダ州ケープ・カナベラルから打ち上げる契約を結んだ[12][13]。同社はシグナスのミッションとして2016年の第1四半期(CRS OA-5)、第2四半期(CRS OA-6)および第4四半期(CRS OA-7)を計画していた。 この内、2回のフライトは新しいアンタレス 230を使用し、1回は前述のアトラスVの2機目を使用することになった。

この3回のミッションによって、オービタルATKは当初のCRS契約のペイロード義務をカバーすることができた[13]OA-8Eとして知られるこの特別なミッションは、商業補給サービスフェーズ2(CRS-2)契約が発効するまでの間、NASAが必要とするISSへの補給を可能とする延長計画の一部である。OA-8 ではなく OA-8E と呼ばれるのは、アトラス V とより強力なアンタレス 230 の組み合わせに切り替えたことにより、オーブ-3の失敗を含めてもわずか7回の飛行で当初の契約をカバーできたためであり、Eは実際には最初に契約された貨物輸送の拡張であることを示している[14]

シグナス宇宙船の製造と組立てはバージニア州ダレスで行われた。シグナスのサービスモジュールと与圧貨物モジュールの結合は打ち上げ施設で行われ、ミッションの運用はバージニア州ダレスとテキサス州ヒューストンの管制センターから行われた[11]

2017年11月11日 12:37:24 UTCに変更になる前は、打ち上げは2017年11月10日 13:03 UTCに計画されていた。2017年11月11日の打ち上げは、打ち上げ1分前を切った時点で飛行禁止エリアに航空機が侵入したために24時間延期された。アンタレス・ロケットは8機目のシグナス貨物宇宙船を2017年11月12日日曜日の12:19:51 UTCに打ち上げた。

宇宙船

詳細は「シグナス (宇宙船)」を参照

このミッションはオービタルATKNASAとの商業補給サービス契約下での10回のフライトの8回目のフライトで、当初の契約の延長とみなされていた。また、拡大型のシグナスPCM(与圧貨物モジュール)の5回目のフライトだった[13]

オービタルATKの伝統に則り、シグナス宇宙船はNASAのアポロ宇宙飛行士の一人で、(2023年時点で)最後に月面を歩いた人間で、2回月に行った3人のうちの1人(軌道上と月面)である、アポロ17号の船長ユージン・サーナンにちなんで宇宙船ジーン・サーナンと名付けられた[15]

貨物の内訳

貨物総重量:3,338 kg (7,359 lb)[10]

  • パッキングされた与圧貨物:3,229 kg (7,119 lb)
    • 乗員補給品:1,240 kg (2,730 lb)
    • 科学研究機材:740 kg (1,630 lb)
    • 船外活動装備:132 kg (291 lb)
    • 宇宙船資材:851 kg (1,876 lb)
    • コンピューター資材:34 kg (75 lb)
  • 非与圧貨物:109 kg (240 lb)

脚注

  1. ^ Bergin, Chris (2012年2月22日). “Space industry giants Orbital upbeat ahead of Antares debut”. NASASpaceFlight.com. 2012年3月29日閲覧。
  2. ^ “Orbital ATK Team on Track for Fall 2015 Cygnus Mission and Antares Return to Flight in 2016”. Orbital ATK (2015年8月12日). 2015年8月12日閲覧。
  3. ^ “Cygnus OA-8 Mission: Fact Sheet”. Orbital ATK. 2018年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月24日閲覧。
  4. ^ “Cygnus "S.S. Gene Cernan" En-Route to Space Station after Sunday Morning Commute to Orbit”. Spaceflight101.com (2017年11月12日). 2018年5月24日閲覧。
  5. ^ “Launch Schedule”. spaceflightnow.com. 2016年6月25日閲覧。
  6. ^ Scimemi, Sam (2015年7月). “International Space Station Status”. NASA. 2015年8月15日閲覧。
  7. ^ “Mission Update: OA-8 Space Station Cargo Resupply”. Orbital ATK (2017年12月18日). 2017年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月24日閲覧。
  8. ^ a b “Cygnus Cargo Spacecraft Installed on ISS for Critical Supplies Delivery”. Spaceflight101.com. (2017年11月14日). https://spaceflight101.com/cygnus-oa8/cygnus-cargo-spacecraft-installed-on-iss-for-critical-supplies-delivery/ 2018年5月24日閲覧。 
  9. ^ “Cygnus OA-8 Cargo Craft Departs ISS after Three-Week Stay for CubeSat Deployment and Re-Entry”. Spaceflight101.com. (2017年12月6日). https://spaceflight101.com/cygnus-oa8/cygnus-oa-8-cargo-craft-departs-iss/ 2018年5月24日閲覧。 
  10. ^ a b “Overview: Orbital ATK CRS-8 Mission”. NASA. 2018年4月22日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  11. ^ a b “Cygnus Fact Sheet”. Orbital ATK (2015年3月24日). 2015年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月14日閲覧。
  12. ^ a b Gebhardt, Chris (2015年8月14日). “Orbital ATK make progress toward Return To Flight of Antares rocket”. NASASpaceFlight.com. 2015年8月14日閲覧。
  13. ^ a b c Leone, Dan (2015年8月17日). “NASA Orders Two More ISS Cargo Missions From Orbital ATK”. SpaceNews. 2015年8月17日閲覧。
  14. ^ Leone, Dan (2015年8月20日). “NASA Considering More Cargo Orders from Orbital ATK, SpaceX”. SpaceNews. 2015年8月20日閲覧。
  15. ^ “S.S. Gene Cernan OA-8 Cargo Delivery Mission to the International Space Station”. orbital ATK. 2017年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月14日閲覧。
  • 宇宙開発ポータル
シグナスの飛行一覧
ミッション
関連項目
  • 斜体は計画予定 †は打ち上げ失敗
概要
構成要素
  • ザーリャ(基本機能モジュール)(FGB)
  • ズヴェズダ(サービスモジュール)
  • ユニティ(ノード1)
  • ハーモニー(ノード2)
  • トランクウィリティー(ノード3)
  • デスティニー(実験用)(USLab)
  • コロンバス(実験用)
  • きぼう (PM, ELM-PS, EF)
  • クエスト(エアロック)
  • ラスヴェット (MRM 1)
  • ポイスク (MRM 2)
  • レオナルド (PMM)
  • キューポラ
  • 統合トラス構造 (ITS)
  • ナウカ(多目的実験モジュール)(MLM)
  • 欧州ロボットアーム (ERA)
  • プリチャル
支援機材
  • カナダアーム2 (MSS/SSRMS)
  • デクスター (SPDM)
  • ストレラ・クレーン
  • きぼう(ロボットアーム)
  • 船外保管プラットフォーム (ESP)
  • エクスプレス補給キャリア (ELC)
  • 与圧結合アダプタ (PMA)
  • 電気系統(英語版)
  • 生命維持システム
複数回使用
  • 多目的補給モジュール (MPLMs)
  • きぼう (ELM-ES)
  • ピアース(エアロック / ドッキングモジュール)(DC-1)
キャンセル
  • 推進モジュール
  • セントリフュージ実験モジュール (CAM)
  • 居住モジュール
  • 乗員帰還機 (CRV/ACRV)
  • 汎用ドッキングモジュール (UDM)
  • ロシア研究モジュール (RM)
  • 暫定制御モジュール (ICM)
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  • ノード4
補給機
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1998–2004
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