セントルシア

セントルシア
Saint Lucia
セントルシアの国旗
国旗 国章
国の標語:The Land, The People, The Light
(英語: 国土、国民、光)
国歌Sons and Daughters of Saint Lucia(英語)
セントルシアの息子と娘
セントルシアの位置
公用語 英語
首都 カストリーズ
最大の都市 カストリーズ
政府
国王 チャールズ3世
総督 エロール・チャールズ(代理)
首相フィリップ・ピエール(英語版)
面積
総計 616km2178位
水面積率 1.6%
人口
総計(2020年 184,000[1]人(178位
人口密度 301[1]人/km2
GDP(自国通貨表示)
合計(2020年 43億6500万[2]東カリブ・ドル (EC$)
GDP(MER
合計(2020年16億1700万[2]ドル(168位
1人あたり 8934.701(推計)[2]ドル
GDP(PPP
合計(2020年23億3400万[2]ドル(172位
1人あたり 1万2896.628(推計)[2]ドル
独立
 - 日付
イギリスより
1979年2月22日
通貨 東カリブ・ドル (EC$)(XEC
時間帯 UTC-4 (DST:なし)
ISO 3166-1 LC / LCA
ccTLD .lc
国際電話番号 1-758

セントルシア英語: Saint Lucia)は、カリブ海にある立憲君主制国家。ウィンドワード諸島中央部にあるセントルシア領土とする島国で、海を隔てて北にフランス領マルティニーク、南にセントビンセント・グレナディーン、南東にバルバドスがある。首都カストリーズ英連邦王国の一国で、イギリス連邦加盟国である。

国名

正式名称は Saint Lucia (イギリス英語: [sənt luˈsiːə] ( 音声ファイル) セント・ルシィア・[sənt ˈluːʃə]アメリカ英語: [seɪnt ˈluːʃə] ( 音声ファイル) セイント・ルーシャ)。

日本語の表記はセントルシア

セントルシアの名は、クリストファー・コロンブスがこの島に「到達」したとされる日が、聖ルチアの祝日であったという伝承に由来する。聖ルチアは、ナポリ民謡サンタ・ルチア」で歌われていることで有名なキリスト教聖人である。

歴史

詳細は「セントルシアの歴史(英語版)」を参照

アラワクと呼ばれるアメリカ先住民3世紀ごろに南アメリカ大陸ギアナ地方から海を渡って定住したが、その後、カリブと呼ばれる別のアメリカ先住民が進出してきた。

ヨーロッパ人による島の「発見」の歴史的経緯ははっきりとしていないが、1500年ごろにスペイン人探検家フアン・デ・ラ・コーサによって発見されたのではないかと考えられている。ヨーロッパ人による定住はフランスが最初で、約100年間ほどフランスが島を統括していた。現地語のクレオール語フランス語を語源とするのは、ここに由来する。

その後島を巡りイギリスとフランスが争い、17世紀から18世紀にかけて14回領有権が変わった。最終的に1814年のパリ条約においてイギリスの領有が確定した。1958年から1962年の間は、西インド連邦に加盟していた。1962年に西インド連邦が解体した後、1967年自治領となり、1979年2月22日に独立した。

政治

詳細は「セントルシアの政治(英語版)」を参照

セントルシアは立憲君主制英連邦王国)、議院内閣制をとる立憲国家である。現行憲法1979年2月22日の独立に伴い施行されたもの。

行政

国家元首は国王だが、英連邦王国のため、イギリスの国王がセントルシアの国王を兼ねる。国王の職務を代行する総督は、国王により任命される。政治の実権は行政府たる内閣にあり、その長である首相は総督が任命する。この任命は通常、下院総選挙後に多数派を構成した政党の指導者に対して成される。閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命する。総督による任命は形式的なものである。

立法

詳細は「セントルシア議会」を参照

立法府となる議会は両院制で、元老院(上院)と代議院(下院)により構成される。上院は11議席で、全議員が任命によって着任する。その任命は、6議席が総督、3議席が野党指導者、残り2議席が宗教界や財界などの社会的集団によって成される。下院は17議席で、全議員が直接選挙小選挙区制)によって選出される。両院とも任期は5年。

政党

二大政党制であり、保守系の連合労働者党(UWP)と社会民主主義を掲げるセントルシア労働党(SLP)の力が強い。他の小政党も存在するが、二大政党の勢力を覆すほどの勢力は持っていない。

セントルシアの政党の一覧(英語版)」も参照

司法

国際関係

詳細は「セントルシアの国際関係(英語版)」を参照

セントルシアは1997年に中華人民共和国と国交を樹立して中華民国台湾)と断交したが、2007年に中華民国と国交を回復して中華人民共和国と断交した[3]

国家安全保障

詳細は「セントルシアの軍事」を参照

正規軍は無く、代わりにロイヤル・セントルシア警察隊準軍事的組織として存在している。また、警察隊の中に沿岸警備隊が含まれている。

地域安全保障システムには1982年の設立当初から加盟している。

地方行政区分

セントルシアの地方行政区分
詳細は「セントルシアの行政区画」を参照

10地区 (District) に分かれる。

  1. アンス・ラ・レイ (Anse-la-Raye)
  2. カストリーズ (Castries)
  3. ショゼール (Choiseul)
  4. デナリー (Dennery)
  5. グロス・イスレット (Gros-Islet)
  6. ラボリー (Laborie)
  7. ミクッド (Micoud)
  8. スフレ (Soufriere)
  9. ビュー・フォート (Vieux-Fort)
  10. カナリアス (Canaries)

地理

セントルシアの地理
詳細は「セントルシアの地理(英語版)」を参照

ウィンドワード諸島南部に位置し、島の北部にはセントルシア海峡(英語版)を挟んでマルティニーク島があり、島の南部にはセントビンセント海峡(英語版)を挟んでセントビンセント島がある。

火山島で最高峰は標高951mのジミー山(英語版)である。山がちな島で豊かな熱帯雨林があり、島の南西部、スフリエールの南の方にあるプチ・ピトン山(748m)とグロ・ピトン山(798m)は双子の山として有名である。2004年にはピトン管理地域として世界遺産に登録された。

南東部海岸にはマングローブ海草藻場サンゴ礁が多く、海域にはアメリカイセエビ(英語版)が生息している。サヴァネス湾および南部のマンコーテー・マングローブはラムサール条約登録地である[4][5]

経済

首都カストリーズ
詳細は「セントルシアの経済(英語版)」を参照

農業バナナが中心で、他にはココアコプラなどもある。また、観光業も有望である。

セントルシアの観光地(英語版)」も参照

2005年国際通貨基金の調査では、一人当たりGDPは4,658米ドルとなっている。

交通

詳細は「セントルシアの交通(英語版)」を参照

島内に鉄道は敷設されておらず、道路も整備されたものは首都を中心とした西海岸とヘウノラ国際空港を中心とした南東海岸に限られる。内陸の山岳地帯では未だに徒歩ないしラバが主な交通手段である。

国民

詳細は「セントルシアの人口統計(英語版)」を参照

民族

住民は、90%がアフリカ系である。また、混血が6%、インディオが3%、白人が1%である。

言語

言語公用語英語である。また、フランス語をベースとしたパトワセントルシア・クレオール(英語版))と呼ばれるクレオール語が使われる。

宗教

詳細は「セントルシアの宗教」を参照

宗教は、ローマ・カトリックが90%、聖公会が3%、プロテスタントが7%である。

教育

詳細は「セントルシアの教育(英語版)」を参照

同国における義務教育は5歳から15歳までに制定されている。

保健

詳細は「セントルシアの保健(英語版)」を参照

治安

セントルシアの治安はカリブ海諸国の中で比較的良い部類とされている。 しかし日本と比べると犯罪発生率が高く、特に強盗を始めとした窃盗事件が多く発生している。

近年は凶悪犯罪の増加が懸念されており、特に銃器が蔓延し強盗や性犯罪などにおいて銃が使用される割合も増えていることから現地警察が警備を強化しているが、現地にはギャング団が存在し、その組織同士の抗争事件も多発していることから禁制品(違法薬物や銃器)の密輸対策が強力に推し進められている。

さらには違法薬物や銃器関連犯罪により検挙されるケースが増えている点をはじめ、日没後の海岸ならび人通りの少ない場所に凶器を持った薬物中毒者が出没するケースがあるなど、非常に危険な状況となっている点から同国を訪れる際には慎重なまでの注意が必要となって来る[6]

人権

セントルシアにおけるLGBTの権利(英語版)」も参照

マスコミ

詳細は「セントルシアのメディア」を参照
セントルシアの新聞一覧(英語版)」および「セントルシアの通信(英語版)」も参照

文化

詳細は「セントルシアの文化(英語版)」を参照

セントルシアの文化は、アフリカならびフランスイギリスの影響を強く受けている。

食文化

詳細は「セントルシア料理(英語版)」を参照

セントルシア料理は、隣接するセントヴィンセント・グレナディーンならびドミニカ共和国ドミニカ国ジャマイカおよびトリニダード・ドバゴなど他の多くのカリブ海諸国の料理との類似点が多い。

使用される野菜類で典型的なものとしては、ジャガイモタマネギセロリ・タイム・スコッチボンネットペッパー(英語版)があり、加工品には小麦粉ココナッツミルクコーンミールが挙げられる。

マカロニパイ(英語版)」および「ライス・アンド・ビーンズ」も参照

芸術

ボンスキー・アグノ(The Honorable Bongskie Agno)は、セントルシアにおける有名な芸術家として知られている。彼はセントルシア国旗図案を手掛けた人物でもある。UK Telegraphは、彼を「カリブ海のミケランジェロ」と形容している。

また、2007年に同国の民俗研究センターが彼を国民文化英雄として推薦している。

音楽

詳細は「セントルシアの音楽(英語版)」を参照

文学

セントルシア出身のノーベル文学賞作家として、デレック・ウォルコット1992年受賞)が挙げられる。

学術

黒人初のノーベル経済学賞を受賞したアーサー・ルイスは、国籍がイギリスではあるがセントルシアの出身である。また、アーサー・ルイスは西インド諸島大学の創設にも大きな役割を果たした人物として知られている。

祭事

セントルシアは他のカリブ海諸国と同様に、四旬節の前にカーニバルを開催する。また、世俗的な行事には、国際的に有名なジャズフェスティバル(英語版)が開催される。

ラ・ウォズ(英語版)」および「ラ・マグウィット(英語版)」も参照

世界遺産

ピトン管理地域 - (2004年、自然遺産)。
詳細は「セントルシアの世界遺産」を参照

セントルシアには、ユネスコ世界遺産リストに登録された自然遺産が1件存在する。

祝祭日

詳細は「セントルシアの祝日(英語版)」を参照
祝祭日
日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 元日 2日間に渡って制定されており、1月2日までが元日と定められている
2月22日 独立記念日 1979年に英国からの独立を果たしたことを記念して制定
3月から5月、年により移動 復活祭
5月1日 労働者の日
5月から6月、年により移動 ウィットマンデー(英語版)
5月から6月、年により移動 聖体の祝日
5月から6月、年により移動 ジュヴェ カーニバルにおける催事の一環として開かれる
8月1日 解放の日(英語版) 1834年の奴隷解放(アフリカ系奴隷の解放)を記念して制定されたもので、同国では8月1日に指定されている
10月第1月曜日 感謝祭
12月13日 建国記念日
12月25日 クリスマス
12月26日 ボクシングデー

スポーツ

詳細は「セントルシアのスポーツ(英語版)」を参照

セントルシア国内で最も人気を博しているスポーツは、クリケットサッカーである。クリケットは他のカリブ海諸国などとの多国籍チームである西インド諸島代表として国際試合を行っている。2013年にカリブ海地域の6カ国が連合になったトゥエンティ20形式のプロリーグであるカリビアン・プレミアリーグが開幕し、セントルシア・キングス(英語版)が参加している。セントルシアサッカー連盟(英語版)によって構成されるサッカーセントルシア代表は、FIFAワールドカップおよびCONCACAFゴールドカップには未出場である。しかしカリビアンカップには3度出場しており、1991年大会では3位に輝いている。また、2001年4月14日に行われた米領ヴァージン諸島代表との試合では、14対1で大勝している。

セントルシアのサッカー(英語版)」も参照

著名な出身者

詳細は「セントルシア人の一覧」を参照

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年10月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年10月25日閲覧([1])
  3. ^ "St. Lucia dumps PRC for Taiwan", The Taipei Times, 2007-04-26
  4. ^ “Savannes Bay | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2002年2月19日). 2023年4月20日閲覧。
  5. ^ “Mankòtè Mangrove | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2002年2月19日). 2023年4月20日閲覧。
  6. ^ https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_292.html#ad-image-0 セントルシア 危険・スポット・広域情報(海外安全ホームページ)

参考文献

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、セントルシアに関連するメディアおよびカテゴリがあります。

政府

  • セントルシア政府 (英語)
  • セントルシア総督府 (英語)

日本政府

  • 日本外務省 - セントルシア (日本語)
  • 在トリニダード・トバゴ日本国大使館 - 在セントルシア大使館を兼轄 (英語)

観光

  • セントルシア政府観光局 (英語)
アメリカ州の国と地域
北部アメリカ
中央アメリカ
カリブ海地域
南アメリカ
海外領土・自治領・
その他の地域
アメリカ合衆国
イギリス
オランダ
デンマーク
フランス
各列内は五十音順。※ 1 一部はオセアニアに含まれる。※ 2 カリブ海地域にも領土を有する。※ 3 中央アメリカと南アメリカに跨っている。※ 4 南アメリカにも分類され得る。
※オランダ・フランス領のうち、海外領土に含まれていない地域は、行政区分上、本国領土の一部に属している地域である。
加盟国
英連邦王国
その他の加盟国
脱退国
  • 11はイギリスの植民地・保護国だったことのない国。
加盟国
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