デアドラ

曖昧さ回避 この項目では、デアドラについて説明しています。ディアドラについては「ディアドラ」をご覧ください。
"Deirdre's Lament", drawing by J.H. Bacon, c.1905.

デアドラディアドラ(Deirdre)もしくはデアドリー(Derdriu))はアイルランド神話アルスター伝説群(アルスターサイクル)に登場する悲劇ヒロイン

デアドラはフェリミ・マック・ディル (Fedlimid mac Daill) の娘として生まれ、ドルイドカスバド (Cathbad) により「素晴らしい美女になるが、(戦士)が彼女の為に争い命を落すことになるだろう」と予言され、「災いと悲しみを招く者」「危険」という意味を持つデアドラと名づけられる[1][2]。その予言を聞き、居合わせた戦士達はデアドラを殺すことを提案するが、アルスター王のコノール・マック・ネッサ(コンホヴァル・マク・ネサ)が彼女を助け、自らが育てて、後に妻にすることを申し出て引き取ることになった[1][2]。デオドラはコノール・マック・ネッサの元で、砦に隔離されて成長する。

年頃になったデアドラは、ウシュナハ族のノイシュ (Naoise) と恋におち、彼の兄弟とともにスコットランドへと逃げ出す。しかし、ノイシュと彼の兄弟は、コノール王の策略により、ファーンマグの王イーガン・マクダルハクトに殺され、この間の戦いにより多くのアルスターの戦士が命を落とした。デアドラはコノール王の元に戻されるが、鬱々として楽しまず日々を過ごした。1年ほど経ったときに、コノール王に嫌いなものを尋ねられたデアドラは、愛するノイシュに死をもたらしたコノール王とイーガンと答える。答えを聞いたコノール王は、自分だけでなくイーガンにもデアドラを与えると言い出し、2人の間にデアドラを座らせて馬車(または戦車)を走らせ、嫌いなものに挟まれているデオドラを嘲笑するという行動に出る。この仕打ちにデアドラは車から身を投げ出し、岩に頭を打ち付けて自殺する[1][2]

デアドラの墓からはイチイの木が生え、同じくノイシュの墓から生えたイチイと枝を絡ませ、引き離すことができなくなったという[1]

脚注

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  1. ^ a b c d 井村君江『ケルトの神話』ちくま文庫、1990年、pp205-214。
  2. ^ a b c ヤン・ブレキリアン『ケルト神話の世界』中央公論社、1998年、pp381-395。

関連作品

関連項目

  • ディアドラ (哨戒艦) - この人物の名に由来するアイルランド海軍の哨戒艦。退役済み。
  • ディアドラ (競走馬) - この人物の名に由来する日本競走馬
  • グラーニア - ケルト神話の中の「年配の王と若い婚約者(妻)女性と若い男性の三角関係」という類型譚のヒロイン。
  • ヘレネー - トロイア戦争の引き金となった美女。
アルスター
アルスターからの亡命者
コナハト
  • 👑メイヴ
  • 👑アリル・マク・マーガハ(英語版)
  • アリル・フィン(英語版)
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  • フィンダヴィル(英語版)
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  • フリディシュ(英語版)
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マンスター
その他
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  • エオガン・マク・ドゥルタハト(英語版)
  • エメル
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  • カルブレ・ニア=フェル(英語版)
  • コナレ・モール(英語版)
  • コンラ
  • スカアハ
  • フェデルム(英語版)
  • フォルガル・マナハ(英語版)
  • ブラートナド(英語版)
  • メス・ゲグラ(英語版)
神/超自然的人物
生物
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  • リアト・マハとドゥヴ・サングレン(英語版)
武器
地名
物語
  • アイフェの一人息子の最期(英語版)
  • ウシュリウの息子たちの流浪(ドイツ語版)
  • ウラドの武者たちの酩酊
  • エウェルへの求婚(英語版)
  • エーディンへの求婚(英語版)
  • クアルンゲの牛捕り
  • クーフリンの誕生(英語版)
  • クーフリンの病(英語版)
  • コンホヴァル・マク・ネサの話(英語版)
  • ダ・デルガの館の崩壊(英語版)
  • 二賢者の対話(英語版)
  • ブリクリウの饗宴(英語版)
  • フリディシュの牛捕り(英語版)
  • マク・ダトーの豚の話(英語版)
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