ハイゼンベルクの運動方程式

ハイゼンベルクの運動方程式: Heisenberg equation of motion)は、量子力学ハイゼンベルク描像によって記述する場合の、オブザーバブル時間発展についての基礎方程式である。

今日、この式に対してハイゼンベルクの名前が用いられることが多いが、歴史的にはこの方程式を与えたのはハイゼンベルクではなく1925年のボルンヨルダンであり、また同年にディラックも独立にこの式を提出した[1][2][3]。この方程式がシュレーディンガー描像におけるシュレーディンガー方程式と数学的に等価であることは、エルヴィン・シュレーディンガーポール・ディラックによって独立に証明された。

ハイゼンベルクの運動方程式

ハイゼンベルク描像での物理量(オブザーバブル A ^ H ( t ) {\displaystyle {\hat {A}}_{\mathrm {H} }(t)} ハミルトニアン H ^ H ( t ) {\displaystyle {\hat {H}}_{\mathrm {H} }(t)} による以下の式をハイゼンベルクの運動方程式と言う。

i d A ^ H ( t ) d t = [ A ^ H ( t ) , H ^ H ( t ) ] {\displaystyle i\hbar {\frac {\mathrm {d} {\hat {A}}_{\mathrm {H} }(t)}{\mathrm {d} t}}=[{\hat {A}}_{\mathrm {H} }(t),{\hat {H}}_{\mathrm {H} }(t)]}

この方程式はハミルトン力学での物理量の時間発展をあらわす式(ポアソンの括弧式を使ったもの)に類似している。

シュレーディンガー描像でも時間依存する物理量 A ^ S ( t ) {\displaystyle {\hat {A}}_{\mathrm {S} }(t)} が含まれる場合、ハイゼンベルクの運動方程式は以下のように修正される。

i d A ^ H ( t ) d t = [ A ^ H ( t ) , H ^ H ( t ) ] + U ^ ( t ) ( d A ^ S ( t ) d t ) U ^ ( t ) {\displaystyle i\hbar {\frac {\mathrm {d} {\hat {A}}_{\mathrm {H} }(t)}{\mathrm {d} t}}=[{\hat {A}}_{\mathrm {H} }(t),{\hat {H}}_{\mathrm {H} }(t)]+{\hat {U}}^{\dagger }(t)\left({\frac {\mathrm {d} {\hat {A}}_{\mathrm {S} }(t)}{\mathrm {d} t}}\right){\hat {U}}(t)}

ここで A ^ S ( t )   {\displaystyle {\hat {A}}_{\mathrm {S} }(t)\ } はシュレーディンガー描像での物理量 A {\displaystyle A} の演算子、 U ^ {\displaystyle {\hat {U}}} は時間発展演算子である。

脚注

  1. ^ 谷村省吾. (2012). ハイゼンベルク方程式を最初に書いた人はハイゼンベルクではない. 素粒子論研究, 119(4C), 280-290.
  2. ^ Gottfried, K. (2011). PAM Dirac and the discovery of quantum mechanics. American Journal of Physics, 79(3), 261-266.
  3. ^ Fedak, W. A., & Prentis, J. J. (2009). The 1925 Born and Jordan paper “On quantum mechanics”. American Journal of Physics, 77(2), 128-139.
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