十字架上のキリストの前に跪くブランデンブルクのアルブレヒト枢機卿

『十字架上のキリストの前に跪くブランデンブルクのアルブレヒト枢機卿』
ドイツ語: Kardinal Albrecht von Brandenburg vor dem Gekreuzigten
英語: Cardinal Albert of Brandenburg before Christ on the Cross
作者ルーカス・クラナッハ (父)
製作年1520-1525年
種類マツ板上に油彩
寸法158 cm × 112 cm (62 in × 44 in)
所蔵アルテ・ピナコテークミュンヘン

十字架上のキリストの前に跪くブランデンブルクのアルブレヒト枢機卿』(じゅうじかじょうのキリストのまえにひざまずくブランデンブルクのアルブレヒトすうききょう、: Kardinal Albrecht von Brandenburg vor dem Gekreuzigten: Cardinal Albert of Brandenburg before Christ on the Cross)は、ドイツルネサンスの画家ルーカス・クラナッハ (父) が1520–1530年にマツ板の上に油彩で制作した絵画である。本来、アシャッフェンブルクの参事会聖堂にあった[1][2]が、1829年にミュンヘンアルテ・ピナコテークに所蔵された[1][2]

作品

十字架に架けられたイエス・キリストの前や傍らに寄進者を描くという構成は、17世紀まで記念肖像画の基本になっていた[2]枢機卿である寄進者アルブレヒト・フォン・ブランデンブルク (Albrecht von Brandenburg、1490–1545年) が、十字架上のキリストの前に跪いて祈りを捧げている[1]ゴルゴタの丘からは渦巻く雲を伴う嵐が見える。アルブレヒトの肖像は、アルブレヒト・デューラー版画にもとづいている。

ゴシック様式の寄進者を描いた絵画とは違い、ここには寄進者と神との間を仲介する寄進者と同名の守護聖人は登場していない。枢機卿は直接キリストの前に登場している。さらに2人の身体の大きさは同じで、枢機卿はキリストより小さく描かれてはいない。世俗の人物の重要性と有力性が強調されており、赤色の大きな枢機卿の衣服の人物像が画面前景を占めている。アルブレヒトは直接キリストを見ておらず、画面の外に視線を逸らしているようである。彼は心のうちでキリストを見ているのである[1]

本作で、クラナッハは色彩画家としての技量を示している。枢機卿の衣服とクッションの大きな赤の色面は周辺と対照をなしている。また、キリストの鞭打たれた身体は同様に暗色の空と対照をなしている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e “Kardinal Albrecht von Brandenburg vor dem Gekreuzigten, 1520/25”. アルテ・ピナコテーク公式サイト (英語). 2023年12月4日閲覧。
  2. ^ a b c C.H.Beck 2002年、38頁。

参考文献

  • C.H.Beck『アルテ・ピナコテーク ミュンヘン』、Scala Pulblishers、2002年刊行 ISBN 978-3-406-47456-9

外部リンク

  • アルテ・ピナコテーク公式サイト、クラナッハ『十字架上のキリストの前に跪くブランデンブルクのアルブレヒト枢機卿』 (英語)
宗教画
  • 『キリストの磔刑』 (1503年)
  • 『エジプト逃避途上の休息』 (1509年)
  • トルガウアー祭壇画』 (1509年)
  • 『ブドウを持った聖母』 (1509-1510年頃)
  • 『聖バルバラの殉教』 (1510年頃)
  • 『聖母子』 (1512年頃)
  • 『ゲツセマネの祈り (東京)』 (1518年頃)
  • 『ゲツセマネの祈り (ドレスデン)』 (1520年頃)
  • 『羊飼いの礼拝』 (1515年–1520年)
  • 『十字架上のキリストの前に跪くブランデンブルクのアルブレヒト枢機卿』 (1520年–1525年)
  • 『ダヴィデとバテシバ』 (1526年)
  • 『アダムとイヴ (ウフィツィ美術館)』 (1528年)
  • 『ロトとその娘たち』 (1528年)
  • 『サムソンとデリラ』 (1528-1530年頃)
  • 『ホロフェルネスの首を持つユディト』 (1530年頃)
  • リンゴの木の下の聖母子』 (1530年)
  • 聖母子と洗礼者聖ヨハネ、三人の天使』 (1536年)
  • 『アダムとイヴ (ウィーン)』 (1537年以降)
  • 『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』 (1530年代)
  • 『最後の晩餐』 (1547年)
神話画・寓意画・歴史画
  • 『ヴィーナスとキューピッド (エルミタージュ美術館)』 (1509年)
  • 『ルクレティア (個人蔵)』 (1510-1513年)
  • ヴィーナスに訴えるキューピッド』 (1526年–1527年)
  • 『パリスの審判』 (1528年)
  • 風景の中のヴィーナス』 (1529年)
  • 『ルクレティア (ヒューストン)』 (1529年)
  • 『キューピッド』 (1515年頃、または1530年頃)
  • 『ヴィーナスとキューピッド (ベルリン)』 (1530年)
  • 『三美神』 (1531年)
  • 『ヴィーナス』 (1532年)
  • 『ルクレティア (ウィーン)』 (1532年)
  • 『メランコリア (コペンハーゲン)』 (1532年)
  • 『メランコリア (コルマール)』 (1532年)
  • 『ヘラクレスとオンファレ』 (1537年)
  • 泉のニンフ』 (1537年以降)
  • 『慈愛』 (1540年)
  • 『若返りの泉』 (1546年)
肖像画
風景画
家族
  • ルーカス・クラナッハ (子)