燃ゆる頬

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燃ゆる頬」(もゆるほお)は、堀辰雄短編小説

概要

初出 文藝春秋1932年1月号
単行本 『燃ゆる頬・聖家族』(新潮文庫、1947年11月。改版1970年3月)
文字数 8,997 文字
表記 新字新仮名・旧字旧仮名

あらすじ

高等学校の寄宿舎で主人公である“私”は、病弱でばら色の頬を持ち、静脈の透いて見えるような美しい皮膚の同級生の三枝と出会う。数多の日々と、三枝の脊椎カリエスの痕を触る等のじゃれ合いを通して2人は友人の枠を超えた関係を築いてゆく[1]。しかし、夏休みに2人で海へ旅した海辺で、“私”は声のしゃがれた漁師の娘に心を移してしまう。娘に声を掛けられない“私”に対し、三枝は堂々と話しかけ、“私”の中で三枝が恋愛対象ではなく、恋敵へと姿を変える。夏休み後、三枝は別の土地に引っ越しており、冬になると校内の掲示板で亡くなったことを知らされるが“私”は特に心を動かすことなくぼんやりとそれを見つめた。数年後、肺結核と診断された“私”は療養所に向かう。そこで会った15~16歳くらいの回復期にある脊椎カリエスの患者である少年1人はどことなく三枝に似ており、ある朝その少年の脊椎カリエス患者特有の背骨の突起を見た瞬間、“私”は三枝の姿がフラッシュバックして、この時にようやく三枝に対して「取り返しのつかないことをしてしまった」という後ろめたさを感じるのであった。

登場人物

17歳の主人公。高等学校の寄宿舎で生活をしている。
三枝(さいぐさ)
「私」の同級生。脊椎カリエスという病気をわずらっている。
魚住(うおずみ)
「私」の先輩。主人公と同じ寄宿舎で暮らしている。

関連書籍

脚注

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出典

  1. ^ “もはやLGBTの枠組みをも崩す!――三島由紀夫はゲイを見下した!?LGBTと日本近現代文学(秘)”. 2022年1月18日閲覧。

関連項目

外部リンク

短編小説
  • ルウベンスの偽画
  • 不器用な天使
  • 眠つてゐる男(眠れる人)
  • 風景
  • 水族館
  • 死の素描
  • 聖家族
  • 羽ばたき
  • 恢復期
  • あひびき
  • 燃ゆる頬
  • 花売り娘
  • 馬車を待つ間
  • 麦藁帽子
  • 山からの手紙(序曲)
  • 旅の絵
  • 暗い道
  • 鳥料理
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