特定動物

特定動物(とくていどうぶつ)とは、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の規定に基づいて、生命身体又は財産に害を加える恐れがある動物として政令で定められる動物種のこと。

全種が一生を通じて肺呼吸を行う脊椎動物で、人に害を与える恐れのある生物であっても、それが水中でしか生きられない動物(例:サメシャチクラゲエイなど)や、哺乳類鳥類爬虫類以外(例:スズメバチムカデサソリ毒グモなど)は特定動物とはみなさない。ヒキガエルヤドクガエルなど、毒をもつ両生類も多数存在するが、毒ヘビとは異なり人間の体内に毒を注入することができないため、これらも含まれない。なお、家畜は、人間によりあつかいやすいように改良されてきた生き物であること、適切に管理をすれば他者に危害を加えるおそれは低いことから、特定動物の対象外とされている(ただし、土佐闘犬などで「適切に管理」されなかったため他者に危害を加えた例が多々存在する)。

2019年(令和元年)6月19日の法改正により、愛玩目的での飼育は禁止となり、規制対象に特定動物との交雑個体が追加された(2020年6月1日に施行)[1]。愛玩目的以外で特定動物の飼養または保管を行おうとする者(動物園など)は、あらかじめ都道府県知事または政令指定都市の長の許可を受けなければならない[2]

他者に危害を加える可能性のある危険な動物に関しては上記の法律にてその種類を定め、飼育に際しても設備その他の基準(マイクロチップを埋め込む、毒蛇ならば抗血清を準備する、鳥類ならば脚環をとりつけるなど)を定めることで、このような許可制としている。

以下の特定動物は、2020年現在の環境省のリストに従う(学名のカナ表記・和名のかな表記・分類など慣例や現状と一致しない点も多いが、いずれも出典に従う)[3]

哺乳綱

霊長目

  • アテリダエ科
    • アロウアタ属(ホエザル属) - 全種
    • アテレス属(クモザル属) - 全種
    • ブラキュテレス属(ウーリークモザル属) - 全種
    • ラゴトリクス属(ウーリーモンキー属) - 全種
    • オレオナクス・フラヴィカウダ(ヘンディーウーリーモンキー)
  • オナガザル科
    • ケルコケブス属(マンガベイ属) - 全種
    • ケルコピテクス属(オナガザル属) - 全種
    • クロロケブス属 - 全種
    • コロブス属 - 全種
    • エリュトロケブス・パタス(パタスモンキー
    • ロフォケブス属 - 全種
    • マカカ属(マカク属) - 全種(特定外来生物に指定されているタイワンザル・カニクイザル・アカゲザルは除く)
    • マンドリルルス属(マンドリル属) - 全種
    • ナサリス・ラルヴァトゥス(テングザル
    • パピオ属(ヒヒ属) - 全種
    • ピリオコロブス属(アカコロブス属) - 全種
    • プレスビュティス属(リーフモンキー属) - 全種
    • プロコロブス・ヴェルス(オリーブコロブス)
    • ピュガトリクス属(ドゥクモンキー属) - 全種
    • リノピテクス属 - 全種
    • センノピテクス属 - 全種
    • シミアス・コンコロル(メンタウェーコバナテングザル)
    • テロピテクス・ゲラダ(ゲラダヒヒ
    • トラキュピテクス属 - 全種
  • テナガザル科 - 全種
  • ヒト科

食肉目

長鼻目

奇蹄目

偶蹄目

鳥綱

ヒクイドリ目

タカ目

爬虫綱

カメ目

トカゲ目

ワニ目

罰則

以下の行為は違法とされ、6ヶ月以下の懲役および100万円以下(法人の場合は5,000万円以下)の罰金に処される。[2]

  • 無許可で特定動物を飼育、保管する
  • 不正な手段を使って許可を取る
  • 無許可で飼育施設を移動する
  • 無許可で飼育施設の構造を変更する - など

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ 令和元年に行われた法改正の内容(環境省・2020年8月3日に利用)
  2. ^ a b 特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可について(環境省・2020年8月3日に利用)
  3. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)(環境省・2020年8月3日に利用)

関連項目

外部リンク