曖昧さ回避 この項目では、岩片について説明しています。石を投擲する戦闘技術については「印地」をご覧ください。
曖昧さ回避 小石」はこの項目へ転送されています。2021年のインド映画については「小石 (映画)」をご覧ください。
川原の礫

(䃯、れき、つぶて、こいし)は、小さい、小石である[1]。「礫」には様々な定義があるが(#大きさによる分類参照)、本項では特に断りのない限り、、ゴマ粒よりも大きく、握り拳大程度までの大きさの石について述べる。

概説

サマセット(イングランド)の礫浜の礫

礫にはさまざまな色やきめのものがあり、石英などの鉱物の縞を持つものもある。礫はほぼ滑らかだが、他の岩石や礫との接触の頻度によっては跡のあるものもある。

土砂のような可動性堆積物によって形成された堆積物海岸は、主成分となる堆積物の種類により、礫浜(礫浜海岸)、砂浜(砂浜海岸)、泥浜(泥浜海岸)に分けられる[2][3][4]。礫浜には波の侵食に対して表面保護特性があり、また動植物に生息環境を与える生態的地位も持つ[5]

礫でできた浜堤が存在する場所もあり、サフォークイングランド)にあるオー川(en:River Ore)の入口のように、礫の土手が移動し航行上の著しい課題となる[6]

大きさによる分類

堆積学に基づく分類

堆積学における(れき、: gravel[7])とは、直径2mm以上砕屑物のこと。よりも大きい。粒子が角張っている場合は、角礫(かくれき、: rubble[7])という。礫が固結してできた岩石は礫岩と呼ばれる。

礫は粒子の大きさによってさらに細分されている。

  • 巨礫boulder) - 径が256mmより大きいもの。
  • 大礫(cobble) - 径が64 - 256mmのもの。
  • 中礫(pebble) - 径が4 - 64mmのもの。
  • 細礫(granule) - 径が2 - 4mmのもの。

粒径2mm以上をひとくくりに礫とするのは、礫と砂とを分類するためであり、礫のうちでも巨礫と中礫・細礫とでは性質が大きく異なる。

  • 大礫
    大礫
  • 中礫 (いずれも100円硬貨との比較)
    中礫
    (いずれも100円硬貨との比較)
  • 細礫
    細礫

地盤工学における分類

土壌分類では、粒径2 - 75mmのものが礫に区分される[8]

火山学における分類

火山学において、火山礫は直径2 - 64mm火山砕屑物のことである[9]

  • 火山岩塊: volcanic block) - 粒径64mm以上で、溶岩のように連続していないもの。
  • 火山礫(: lapilli) - 粒径2 - 64mm。
  • 火山灰: volcanic ash) - 粒径2mm以下。

地球外での生成

火星では礫岩が見つかっており、かつての河床で形成されたものと解釈されている。その礫岩はアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車キュリオシティによって発見されたものであるが、含まれる礫の大きさの範囲は砂粒程度からゴルフボール大にまで及ぶ。歩くペースで流れ、踝から腰の深さの川で堆積したと分析されている。[10][11]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “礫(れき)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  2. ^ “砂浜”. 海岸林用語集. 日本海岸林学会. 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  3. ^ “第1回 中長期的な展望に立った海岸保全検討会 参考資料9 用語の解説” (PDF). 国土交通省 (2006年12月27日). 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  4. ^ “石川の自然 第20集”. 石川県教育センター. pp. 1-2. 2021年9月23日閲覧。
  5. ^ “石の隙間を利用する魚たち”. 独立行政法人土木研究所自然共生研究センター. 2016年11月16日閲覧。
  6. ^ (英語)“Ore and Alde, Rivers”. 2016年11月13日閲覧。
  7. ^ a b 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2。http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  8. ^ 地盤工学会 (2009年11月25日). 地盤工学会基準書. ISBN 978-4-88644-083-9. 
  9. ^ Fisher, R. (1961). “Proposed classification of volcaniclastic sediments and rocks”. Geol. Soc Amer. Bull. 72: 1409-1414. 
  10. ^ (英語)“NASA Rover Finds Old Streambed on Martian Surface”. News. Jet Propulsion Laboratory / California Institute of Technology (2012年9月27日). 2016年11月19日閲覧。
  11. ^ “火星探査車が見つけた丸い小石”. アストロアーツ (2012年10月1日). 2016年11月19日閲覧。

参考文献

  • 国立天文台編 編「構成粒子の径と砕セツ岩」『理科年表 平成20年』丸善、2007年、654頁。ISBN 978-4-621-07902-7。https://web.archive.org/web/20060703125140/http://www.rikanenpyo.jp/ 

関連項目

ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。
  • 堆積物 - 砕屑物
  • 礫岩(堆積岩)
  • 砂利
  • 水磨礫
  • 偽礫
  • 礫器
  • 小岩 (曖昧さ回避)
  • 大石 (曖昧さ回避)
  • 「礫」で始まるページの一覧
  • 「小石」で始まるページの一覧
  • タイトルに「礫」を含むページの一覧

外部リンク

砕屑物と砕屑岩
粒径 (mm) 砕屑物 砕屑岩 火山砕屑物 火山砕屑岩
64 以上 礫岩 火山岩塊 火山角礫岩凝灰角礫岩
64 - 2 火山礫 ラピリストーン、火山礫凝灰岩
2 - 116 砂岩 火山灰 凝灰岩
116 - 1256 シルト シルト岩 泥岩
1256 以下 粘土 粘土岩
テンプレートを表示