終着駅殺人事件

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終着駅殺人事件
題材となった寝台特急「ゆうづる」 1985年 上野駅
題材となった寝台特急「ゆうづる」
1985年 上野駅
著者 西村京太郎
発行日 1980年
発行元 光文社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 449
コード ISBN 4334746756
ISBN 978-4334746759(文庫本)
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終着駅殺人事件』(ターミナルさつじんじけん)は、西村京太郎の長編推理小説1980年光文社から刊行された。

昭和56 (1981) 年度日本推理作家協会賞受賞作である。本作を原作として、テレビドラマ3作品が制作されている。

概要

本作は、『寝台特急殺人事件』(1978年)、『夜間飛行殺人事件』(1979年)に続くトラベルミステリー作品である。作者は、綾辻行人との対談で自選ベスト5を選出した際には本作を選出せず、トラベルミステリー作品から『寝台特急殺人事件』を選んでいる[注 1]。その際、綾辻からトラベルミステリーでは推理作家協会賞を受賞した『終着駅殺人事件』ではなく、自身では『寝台特急殺人事件』の方なのかと問われ、作者は「そうですね」と答えている[1]

青山剛昌推理漫画名探偵コナン』単行本第22巻の巻末カバー「青山剛昌の名探偵図鑑」で十津川が紹介されており、その中で青山がお勧めとしている作品で本作が選ばれている。なお、当22巻において、寝台特急北斗星号を舞台にした事件話が掲載されている (File.4 - 7)。

ストーリー

青森県立F高校の卒業生で校内新聞の編集長だった宮本孝は、卒業する時に交わした「7年経ったら皆で青森に帰郷しよう」という約束に従い、2泊3日の帰郷旅行の計画を立てて他のメンバー6人に寝台特急ゆうづる7号の切符と手紙を送った。そして出発当日の4月1日、上野駅には宮本を入れた6人(片岡清之、川島史郎、村上陽子、橋口まゆみ、町田隆夫)が顔を揃えたが、残る1人・安田章はゆうづる7号の発車時間になっても上野駅には現れなかった。ゆうづる7号は、1人足りない6人を乗せて上野駅を出発した。

一方、警視庁捜査一課の亀井刑事は、青森から上京した旧友・森下から「自分の教え子である松木紀子という女性が最近2年間消息不明なので一緒に彼女を探してほしい」と頼まれる。その帰り道、亀井刑事は上野駅のトイレの中で刺殺体が発見される事件に遭遇、その死体の主は待ち合わせの場所に来なかった安田章だった。

列車が仙台を過ぎた頃、町田が「川島の姿が見えない」と宮本を叩き起こす。確かに寝台の中に川島はいなかった。だが、川島が見つかることもなく、列車は青森駅に到着する。青森県警の三浦刑事が出迎え、5人は安田が殺されたことを知らされる。

当初、川島が安田を殺害して逃亡したのではと思われたが、川島はその後、鬼怒川で水死体で発見され、自殺と思われた。宮本ら5人は青森県警本部での事情聴取の後、三浦刑事から青森市内のホテルに足止めを喰らうが、ホテルの部屋で橋口まゆみが遺書を残して死亡する。自殺かとも思われたが他殺の疑いも濃厚であり、青森県警の捜査も混迷を極める。結局、決定的な証拠が見つからないまま県警の捜査本部は解散するが、今度は青森駅の待合室で村上陽子が他殺体で発見される。同じ頃、東京でも上野署の捜査本部が解散されようとしていたが、上野駅で片岡清之が毒殺されたとの連絡が入る。

最終的に旧友7人は、生存者が宮本と町田の2人になってしまう。

当然、どちらかが犯人と十津川警部ら捜査一課の刑事は結論を出すが、いずれか1人では全員を殺害することが物理的に不可能と判明する。

最後の1人が殺された時、意外な犯人の顔が浮かび上がった。動機は何なのか? 十津川が7年前の悲痛な事件を暴き出した時、すべてが明らかになった! 亀井の動揺は隠しきれなかった。

登場人物

警視庁

青森県警

  • 江島警部
  • 三浦刑事

青森県F高校7人組

  • 宮本孝 - 弁護士見習い。
  • 片岡清之 - 物産店社長。
  • 川島史郎 - 運送会社社長。
  • 安田章 - 通商産業省(現経済産業省)官僚。
  • 村上陽子 - 歌手。
  • 橋口まゆみ - OL。
  • 町田隆夫 - シナリオライター。

その他

  • 森下 - 亀井の旧友で教師。
  • 松木紀子 - 森下の教え子。
  • 町田由紀子-隆夫の姉。7年前、婦女暴行に遭った後に自殺した。

テレビドラマ

1981年版

西村京太郎トラベルミステリー1・終着駅殺人事件 上野~青森ミステリー特急「ゆうづる」』は、テレビ朝日系列2時間ドラマ土曜ワイド劇場』(毎週土曜日21時2分 - 22時51分、JST)で1981年10月17日に放送された。主演は亀井刑事役の愛川欽也

東映・テレビ朝日制作の「西村京太郎トラベルミステリー」の第1作である。

キャスト

青森県F高校7人組 ※劇中では青森県立第二高等学校 浅虫分校

警視庁

青森県警察

その他
  • 1981年制作の本作でコンビとなった三橋と愛川は、三橋が2004年5月15日、愛川がその10年11か月後の2015年4月15日に、それぞれ逝去している。2人の享年はともに81(法律上の満80歳)であった。

2001年版

十津川警部シリーズ23・終着駅殺人事件 寝台特急「はくつる」に仕掛けられた卑劣なワナ!』は、TBS系列2時間ドラマ月曜ミステリー劇場』(月曜日21時 - 23時14分、JST)で2001年10月1日に放送された。主演は渡瀬恒彦

キャスト

青森県F高校7人組

その他

2013年版

西村京太郎トラベルミステリー59・終着駅殺人事件 愛と死の寝台特急あけぼの 暗闇に消えた女』は、テレビ朝日系列2時間ドラマ土曜ワイド劇場』(土曜日21時 - 23時21分、JST)で2013年1月5日に放送された。主演は高橋英樹。

「テレビ朝日開局55周年記念企画」として、前述の東映版第1作がリメイクされた。本作で原作に近い森下が登場する。

キャスト

青森県F高校7人組

その他

2023年版

十津川警部の事件簿4 ~終着駅殺人事件~』は、テレビ東京系列の2時間ドラマ『月曜プレミア8』(月曜日20時 - 21時54分、JST)で2023年10月9日に放送された。主演は船越英一郎

キャスト
ゲスト
  • 町田隆夫(安田の大学の同級生) - 泉澤祐希
  • 松木紀子(ホステス) - 岡本玲
  • 安田章(ITセキュリティ会社社長) - 瀬戸利樹
  • 樋口まゆみ(安田の大学の同級生) - 小島藤子
  • 片岡清之(安田の大学の同級生) - 森田甘路
  • 村上陽子(安田の大学の同級生) - 逢沢りな
  • 川島史朗(安田の大学の同級生) - 野村祐希
  • 三枝和美(6人が所属していたゼミの先生) - 宮崎美子

漫画版

2005年4月30日ぶんか社より、小林たつよしによる漫画版が発行された。

ISBN 4-8211-8156-8

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ まず『D機関情報』、次いで『殺しの双曲線』、そのあとに『寝台特急殺人事件』を挙げ、さらに綾辻から「『華麗なる誘拐』はどうですか? 傑作だと思うんですけど」と薦められて「もちろん好きな作品ですよ」とこれを受け入れ、最後に「あと一作となると『消えたタンカー』かな」と選出している[1]

出典

  1. ^ a b 綾辻行人との対談「名探偵、トリック、そして本格ミステリー」講談社文庫名探偵なんか怖くない』2006年新装版に所収。

関連項目

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