舞踏会の手帖

舞踏会の手帖
Un carnet de bal
監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本 ジュリアン・デュヴィヴィエ
アンリ・ジャンソン(フランス語版)
イヴ・ミランド(フランス語版)
ジャン・サルマン(フランス語版)
ピエール・ヴォルフ(フランス語版)
ベルナール・ジマー(フランス語版)
製作 ジャン・レヴィ=ストロース
出演者 マリー・ベル
モーリス・ベナール(フランス語版)
フランソワーズ・ロゼー
ルイ・ジューヴェ
アリ・ボール(フランス語版)
ピエール・リシャール=ウィルム(フランス語版)
レイミュ(フランス語版)
ピエール・ブランシャール
フェルナンデル
音楽 モーリス・ジョベール
撮影 フィリップ・アゴスティーニ(フランス語版)
ミシェル・ケルベ(フランス語版)
ピエール・ルヴァン(フランス語版)
編集 アンドレ・ヴェルサン
製作会社 ル・フィルム・ヴォグ
プロデゥクション・シグマ
配給 フランスの旗 ル・フィルム・ヴォグ
日本の旗 三映社
公開 フランスの旗 1937年9月9日
日本の旗 1938年6月2日[1]
上映時間 144分
製作国 フランスの旗 フランス
言語 フランス語
製作費 $100,000[2]
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舞踏会の手帖』(ぶとうかいのてちょう、Un carnet de bal)は、1937年フランスドラマ映画。監督はジュリアン・デュヴィヴィエ、出演はマリー・ベルモーリス・ベナール(フランス語版)など。20年前に社交界デビューした時の手帖を見つけた若き未亡人が、その手帖に記されたダンス・パートナーたちを訪ねる旅に出る姿を描いている。日本では1938年に封切られ、戦後にも上映された。マリー・ベルの相手役に、当時の名優たちが次々と出演する。

ストーリー

未亡人になった若いクリスティーヌが、16歳の時の初めての舞踏会の手帖を頼りに、昔の踊り相手を訪ねて回ることにする。しかし、10人のうち2人は既に亡くなっており、最も思い入れのある美青年ジェラールは所在が不明である。

ジョルジュの家では母親が迎えた。クリスティーヌに恋していた彼は、彼女の婚約を知って自殺し、その事実を受け入れられない母親は狂っていた。

文学少年だったピエールは弁護士になったものの、犯罪に手を染めて服役し、今はキャバレーのあるじ兼泥棒に落ちぶれていた。クリスティーヌがむかし通りに唱える詩に付き合ううち、警察の手が回って引かれて行く。

作曲家志望だったアランは神父になっていた。恋人に捧げる曲をピアノで弾いたが、恋人は耳もかさず、ほかの男と笑い興じていたと、当の相手のクリスティーヌに、三人称で語る。

詩人気取りだったエリックはアルプスのガイドである。久し振りのクリスティーヌと意気投合して、無人の山小屋に同宿しようと決めた時、遭難事件発生をふれる鐘が響き、山男は義務感から直ちに雪の斜面を滑りくだる。

政治家を目指していたフランソワは、田舎町の大立者の町長となり、その再婚の挙式に町じゅうが湧いていた。ちょうどいい、式に出てくれとクリスティーヌを迎え、自作自演のワンマン挙式を陽気に進めるが、その裏で彼はならず者の養子に手を焼いていた。

医学生だったティエリーは医者にはなっていた。しかし、堕胎で稼ぐ闇医者で、精神障害の発作に悩んでもいる。クリスティーヌと貧しい食卓を囲むうちにそれが出て、彼女は内縁の妻に、二度とくるなと追い出される。その直後、狂ったティエリーは妻を撃ち殺す。

生まれ故郷の町では、ファビアンが美容師を愛想よくやっている。むかしの会場で舞踏会があるからとクリスティーヌを誘う。会場で出会った16歳の少女は、初めての舞踏会に興奮しているが、クリスティーヌの今の目には安手で、記憶に残る20年前の、夢のような思い出との落差にがっかりするのであった。

旅から帰ると、むかし恋したジェラールの住所がすぐ近くだとわかる。行ってみると、彼は直前に世を去っていた。遺した豪邸が今日人手に渡ると、残された息子ジャックが言う。クリスティーヌは彼を引き取り、母親の愛を注ぐ気になった。初めての舞踏会に送り出す時にいう。「少し緊張するでしょう。初めての煙草の時くらいに。」

キャスト

  • クリスティーヌ: マリー・ベル - イタリアのコモ湖畔の古城に住む未亡人。
  • ブレモン: モーリス・ベナール(フランス語版) - クリスティーヌの亡夫の秘書。
  • マルグリット・オディエ: フランソワーズ・ロゼー - ジョルジュの母。
  • ピエール・ヴェルディエ: ルイ・ジューヴェ - キャバレーの経営者。現在の通り名はジョー。
  • アラン・レニョー: アリ・ボール(フランス語版) - 元音楽家。現在はドミニク神父として少年合唱団を指導。
  • エリック・イルヴァン: ピエール・リシャール=ウィルム(フランス語版) - 山岳ガイド。
  • フランソワ・パチュセ: レイミュ(フランス語版) - 田舎町の町長。
  • ティエリー・レナル: ピエール・ブランシャール - 堕胎専門の闇医者。
  • ファビアン・クティソル: フェルナンデル - 美容師。
  • ジャック: ロベール・リナン - ジェラールの息子。

スタッフ

  • 監督: ジュリアン・デュヴィヴィエ
  • 助監督: シャルル・ドラ(フランス語版)
  • 脚本: ジュリアン・デュヴィヴィエ、アンリ・ジャンソン(フランス語版)イヴ・ミランド(フランス語版)ジャン・サルマン(フランス語版)ピエール・ヴォルフ(フランス語版)ベルナール・ジマー(フランス語版)
  • 音楽: モーリス・ジョベール
  • 撮影: フィリップ・アゴスティーニ(フランス語版)ミシェル・ケルベ(フランス語版)ピエール・ルヴァン(フランス語版)
  • 編集: アンドレ・ヴェルサン
  • 装置: ポール・コランジャン・ドゥアリノ(フランス語版)セルジュ・ピメノフ(フランス語版)

受賞

その他

日本での公開は、1938年6月で、日中戦争のさなかの重苦しい「非常時」に、人生のはかなさを歌い上げる感じのこの映画は、好評であった。しかし、太平洋戦争勃発の翌年、享楽的、退廃的であるとして軍部によって上映を禁止された。[要出典]

なお、クリスティーヌがキャバレーでピエールと唱え合う詩は、ポール・ヴェルレーヌの「感傷的な対話」[3]である。

長谷川修に同名の『舞踏会の手帖』(人文書院)という短編がある(北村薫宮部みゆき編『教えたくなる名短編』ちくま文庫 2014年に再録)他、日本音楽ユニットであるALI PROJECTにも同名の『舞踏会の手帖』という楽曲がある。

出典

  1. ^ “Un carnet de bal (1937) - Release Info” (英語). IMDb. 2020年12月5日閲覧。
  2. ^ “Un carnet de bal (1937)” (英語). IMDb. 2020年12月5日閲覧。
  3. ^ “Colloque sentimental - Paul VERLAINE” (フランス語). Poésie française. 2018年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。

外部リンク


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  • ミモザ館(1936)
  • 女だけの都(1937)
  • 舞踏会の手帖(1938)
  • 望郷(1939)
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