雲母摺

雲母摺(きらずり)は、浮世絵に施した版画手法のひとつ。岩絵具に細かく砕いた雲母を混ぜて液で溶いて使用し、版木を用いて特色として刷る場合は背景色に応じて、白雲母摺、黒雲母摺、紅雲母摺と呼ばれる[1]。そのほかに細かな装飾には合羽摺を用いて[2]、膠分を増し粘着度を高めた絵具を刷毛で型紙に塗りつけて施す。

その源泉を求め料紙の研究から考察が試みられた[3]

  • 雲母摺の例
  • 「三代目大谷鬼次」(江戸兵衛に扮する二代目中村仲蔵)東洲斎写楽 (1794年)
    「三代目大谷鬼次」(江戸兵衛に扮する二代目中村仲蔵)東洲斎写楽 (1794年)
  • 「汗を拭く女」喜多川歌麿 (1798年)。日本髪を結った女性の鉢巻き、歌舞伎で言うところの「お三輪巻」。
    「汗を拭く女」喜多川歌麿 (1798年)。日本髪を結った女性の鉢巻き、歌舞伎で言うところの「お三輪巻」。
  • 「二代目嵐龍蔵の不破の下部浮世又平と三代目大谷広次の名護屋の下部土佐の又平」東洲斎写楽 (1794年)
    「二代目嵐龍蔵の不破の下部浮世又平と三代目大谷広次の名護屋の下部土佐の又平」東洲斎写楽 (1794年)
  • 「難波屋おきた」喜多川歌麿 (1793年頃)。茶を運ぶポーズを付けているのは茶屋の娘難波屋おきた。
    「難波屋おきた」喜多川歌麿 (1793年頃)。茶を運ぶポーズを付けているのは茶屋の娘難波屋おきた

出典

  1. ^ 「雲母摺」『世界大百科事典第二版』(CD-ROM)(2版)日立デジタル平凡社、1998年10月23日。 
  2. ^ “雲母摺”. 立命館大学アート・リサーチセンター. 2019年11月27日閲覧。
  3. ^ 太田彩 「「粘葉本和漢朗詠集」と「金沢本万葉集」にみる料紙の装飾と文様—雲母摺り文様の和様化の一過程の考察を含めて」『料紙と書 : 東アジア書道史の世界〈論文篇〉』、島谷弘幸 (編) 、思文閣出版、2014年。

関連資料

  • 東洲斎写楽山口桂三郎『写楽 : 春章・春好・春英・艶鏡』ぎょうせい〈名品揃物浮世絵5〉、1991年。ISBN 4324024901、NCID BN06681030。
  • 喜多川歌麿、下村良之介『歌麿』新潮社〈とんぼの本〉、1991年。ISBN 4106019965、NCID BN06969298。
  • 内田千鶴子『写楽・考』三一書房、1993年。ISBN 4380932125、NCID BN09238415。
  • 中嶋修『「東洲斎写楽」考証』彩流社、2012年。ISBN 9784779118067、NCID BB10187714。
  • 島谷弘幸 (編)『料紙と書 : 東アジア書道史の世界』、思文閣出版、2014年。ISBN 9784784217489、NCID BB15345095。
  • 町田恵一『江戸前期上方色摺史の研究 : グローバルな進化の過程の下で』印刷学会出版部、2017年。ISBN 9784870852228、NCID BB2376294X。

関連項目

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