293型レーダー

293型レーダー
種別 2次元レーダー
目的 目標捕捉 (短距離対空捜索)
開発・運用史
開発国 イギリスの旗 イギリス
就役年 1943年
送信機
形式 マグネトロン
周波数 Sバンド
パルス 0.7、1.5、1.9マイクロ秒
パルス繰返数 500 Hz
送信尖頭電力 500 kW
アンテナ
形式 リフレクタアンテナ
ビーム幅 幅4度×高さ35度
方位角 全周旋回無制限
探知性能
探知距離 17 nmi (31 km) (戦艦に対して)
15 nmi (28 km) (高度10,000ftの航空機に対して)
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293型レーダー英語: Type 293 radar)は、イギリスで開発されたレーダー[1]

設計

277型レーダーをもとにしており、同機が円形のディッシュ型アンテナを使用していたのに対して、本機では扁平なチーズ型アンテナを採用した。アンテナ自体はAURと呼称され、シークラッター抑制のため、15度の仰角が付されていた[1]。当初は幅4度×高さ35度のファンビームを用いていたが、水平方向のビーム幅は、1945年より配備された293M型では3度、戦後の293Q型では2度となった。同じ捕捉レーダーでも、277型が主として対水上捜索用に用いられたのに対し、本機は主として短距離対空捜索用として用いられた。また本機の対空捜索能力はかなり高く、早期警戒用の291型をも代替可能ともする意見もあった[2]

本機の特徴が、砲指示装置(Gunnery Direction System, GDS)に組み込まれて運用された点である。原型機(293型レーダー)はTIU-2(Target Indication Unit)の一部として、GDS-2のサブシステムを構成した。また改良型の293Q型レーダーはGDS-2*で用いられた。このTIU(目標捕捉装置)とは、通常の対空捜索レーダーよりも高精度で、追尾レーダーよりも捜索範囲が広い低空警戒・対水上捜索用レーダーによってまず目標を捕捉し、火器管制レーダーに移管することで、射撃指揮を効率化する試みであった。これにより、293型レーダーのPPIスコープ上に、275型や262型といった火器管制レーダーが指向している方向を表す線が表示されるようになった。また当時はレーダーよりも目視による目標捕捉のほうが早いことも多く、その情報を入力することもできた[2]

しかし、まだTIU 2が開発途上の1943年の段階で、既に本機の走査速度(アンテナ回転数)の遅さが問題として指摘されていた。このことから、1943年10月、より高速で走査できるレーダーの開発が発注された。これによって開発された992型レーダーは1952年に実用化され、本機はこちらに更新されていくことになった[2]

搭載艦艇

 イギリス海軍

 インド海軍

 スペイン海軍

参考文献

  1. ^ a b Norman Friedman (1981). Naval Radar. Naval Institute Press. p. 197. ISBN 9780870219672 
  2. ^ a b c Norman Friedman (2012). British Destroyers & Frigates - The Second World War & After. Naval Institute Press. pp. 104-105. ISBN 978-1591149545 

関連項目