F.A.E.ソナタ

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F.A.E.ソナタSonate F.A.E. [Frei aber einsam])は、1853年ドイツ作曲家であるロベルト・シューマンが友人アルベルト・ディートリヒヨハネス・ブラームスとともに作曲したヴァイオリンソナタ。3人の共通の友人であるヴァイオリニストヨーゼフ・ヨアヒムに献呈された。1935年出版。

曲名のF.A.E.とはヨアヒムのモットーである「自由だが孤独に」(Frei aber einsam)の頭文字をとったものである。ドイツ音名のF・A・Eはそれぞれイタリア音名のファ・ラ・ミに対応し、この音列が曲の重要なモチーフとなっている。このような手法をシューマンは好んでいたらしく、『アベッグ変奏曲』(A-B-E-G-G)やピアノ協奏曲(C-H-A-A ⇒ Chiara = Clara)などで用いている。

ちなみにブラームスは、ヨアヒムのモットーに対応する「自由だが楽しく」(Frei aber froh)をモットーとしており、この略に対応するF-As-Fの音列を交響曲第3番で用いている。

初演は1853年10月28日にシューマン邸で、ヨアヒムとクララ・シューマンによって行われた。シューマンらは各楽章の作者を伏せていたが、ヨアヒムはすぐに当てたという。

ヨアヒムは楽譜を手元に残し、1906年になってブラームスの楽章の出版のみ許可した。全曲の出版は、ヨアヒムの死後の1935年になってからである。

現在では、ブラームス作曲のスケルツォがたまに演奏されるだけで、全曲演奏の機会はほとんどない。

曲の構成

  • 第1楽章 アレグロ、イ短調。ディートリヒ作曲。
  • 第2楽章 間奏曲(Bewegt, doch nicht zu schnell)、ヘ長調。シューマン作曲。
    後にシューマンがヴァイオリンソナタ第3番の第3楽章に転用。
  • 第3楽章 スケルツォ(アレグロ)、ハ短調、8分の6拍子。ブラームス作曲。F-A-Eのモチーフは、中間部において変形した形で用いられている。
  • 第4楽章 フィナーレ(Markiertes, ziemlich lebhaftes Tempo)、イ短調。シューマン作曲。
    後にシューマンがヴァイオリンソナタ第3番の第4楽章に転用。

シューマンのヴァイオリンソナタ第3番

シューマンはF.A.E.ソナタの初演翌日の10月29日から11月1日までの4日間のうちに、新たに2つの楽章を作曲して第1、第2楽章とし、先に作曲した2つの楽章を第3、第4楽章として新たな4楽章のヴァイオリンソナタを完成させた。ヨアヒムは追加した楽章が元の楽章と調和していると評価し、元のソナタとは別の作品であると述べている。

しかし、このソナタはその後は注目されず、全集にも収録されなかった。「ヴァイオリンソナタ第3番イ短調 WoO27」としてショット社から全曲が出版されたのは、シューマン没後100年を迎えた1956年である。

なお、近年は第2楽章と第3楽章を入れ替えて演奏する場合がある。

曲の構成

  1. Ziemlich langsam - Lebhaft
  2. Scherzo: Allegro
  3. Intermezzo: Bewegt, doch nicht zu schnell
  4. Finale. Markiertes, ziemlich lebhaftes Tempo

外部リンク

二重奏

アダージョとアレグロ 作品70 - 幻想小曲集 作品73 - 3つのロマンス 作品94(英語版) - 民謡風の5つの小品 作品102 - ヴァイオリンソナタ第1番イ短調 作品105 - ヴァイオリンソナタ第2番ニ短調 作品121 - F.A.E.ソナタ / ヴァイオリンソナタ第3番イ短調 WoO 27 - おとぎの絵本 作品113(英語版)

三重奏

ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 作品63 - ピアノ三重奏曲第2番ヘ長調 作品80 - 幻想小曲集 作品88 - ピアノ三重奏曲第3番ト短調 作品110 - おとぎ話 作品132(英語版)

四重奏、五重奏

弦楽四重奏曲 作品41 - ピアノ五重奏曲変ホ長調 作品44 - アンダンテと変奏曲変ロ長調 作品46 - ピアノ四重奏曲変ホ長調 作品47

シューマンの楽曲一覧
ヴァイオリンソナタ第3番 (シューマン)に関するカテゴリ:
  • シューマンのヴァイオリンソナタ
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