ウーカレゴーン
ウーカレゴーン(古希: Οὐκαλέγων, Ūcalegōn)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してウカレゴンとも表記される。トロイアの長老の1人。すでにホメーロスの叙事詩『イーリアス』で他の長老的人物とともに言及されている[1]。プリュギアのダレスでもトロイアの老王プリアモスの友人の1人として言及されている[2]。
ウェルギリウスの『アエネーイス』によると、ウーカレゴーンの館はデーイポボスの館の隣にあり、アイネイアースはトロイア陥落に際して両者の館がともに炎上するのを目撃している[3]。
プリュギアのダレスによると、トロイアを救援して戦ったメムノーン、ペンテシレイアが討たれ、トロイアの城壁がギリシア軍によって包囲されたとき、トロイアでは今後の方針が議論された。このときプリアモスはアムピマコスに後押しされて、頑なに強攻策を主張し、そればかりか和平論者を殺さなければならないと考えた。一方、同じ日にウーカレゴーンはアンテーノール、ポリュダマース、ドローンと密会し、家族を守るために国を裏切ることを画策した。彼らはプリアモスの怒りを見抜いて迅速に行動し、ポリュダマースをギリシア陣営に派遣してギリシアの軍勢をイーリオス城内に侵入させる手引きをし、戦争を終結に導いた[4]。
脚注
参考文献
- ウェルギリウス『アエネーイス』岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
- 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
- ホメロス『イリアス(上)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)