ストーカー城

遠くに "The Lynn of Lorne"[注 1][2]リスモア(英語版)を望むストーカー城

ストーカー城: Castle Stalkerスコットランド・ゲール語: Caisteal an Stalcaire)は、スコットランドアーガイル・アンド・ビュートの入り江地帯に建つ、4階建ての城砦じょうさい (Tower house・キープである。城はリニ湾(英語版)の入り江である"Loch Laich"(リック湾)に浮かぶ島にそびえている。この島はアピン港(英語版)から北東に約1.5マイル (2.4 km)の場所にあり、A828号線 (enから城を望むことができる(場所はオーバンとグレン・コー(英語版)の中間点あたりである)。この島はタイダル・アイランドであり、干潮時には岸辺を歩いて島に渡ることも不可能ではない。「ストーカー城」という名前は、スコットランド・ゲール語で「猟師」や「鷹匠」に当たる言葉、"Stalcaire" に由来している。

この城は、モンティ・パイソンの映画第2作『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』で使用されたことで有名である[3][4]

立地

島の上に建てられ、その奥には山麓が見えるという、絵のように美しいこの城の外見は、絵はがきやカレンダーの題材としてよく用いられてきたほか、ハイランド地方の典型的な風景の1つとして扱われている。ストーカー城は、西スコットランドに残る中世の城砦として、最も保存状態の良いものの1つである[5]。また城はスコットランドに40ある景勝地域の1つ[6]、リン・オブ・ローン国立景勝地(英語版)の一部を成している[7]

歴史

城と周囲の湾を写した写真

城は元々、1320年に、当時ローン(英語版)の領主だったマクドゥガル氏族(英語版)が建てた小さな城砦だった[8]。1388年頃には、アピンのステュアート氏族(英語版)がローンの領主権を奪った。現在の形の城は彼らが1440年頃に建てたものと考えられている。ステュアート氏族の親戚筋に当たる、スコットランド王ジェームズ4世もこの城を訪れている。1620年頃には、酔った席の賭け事で、城がキャンベル氏族の手に渡った。このように何度か持ち主が変わった後、キャンベル氏族は1840年前後に城を棄て、その後城の屋根が失われた。

1908年には、保全事業に取り組むチャールズ・ステュアート・オブ・アチャラ(: Charles Stewart of Achara)が城を買い取った。1965年には、D・R・ステュアート・オールワード(: Lt. Col. D. R. Stewart Allward[注 2]が城を入手し、その後10年程度を掛けて修復工事を行った[9]。ストーカー城は現在でも個人所有であり、夏の間の限られた時間に一般公開されている。

スコットランド国立公文書館 (National Records of Scotlandが行った2011年の国勢調査では、城の建つ島は「2001年・2011年の国勢調査において継続的居住者のいない」住居用の島[注 3]とされている[10]

ポップ・カルチャーでの使用

1975年の映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』では、ほとんどのシーンがスコットランドにある別の城・ドゥーン城で撮影された一方で、このストーカー城が最後に「ア゛ア゛-の城」(: "The Castle of Aaaaarrrrrrggghhh")として登場する。最初城は遠景で登場する。次のシーンでは、見張り番のフランス兵(ジョン・クリーズ)が、城にやって来たアーサー王グレアム・チャップマン)を屋上の胸壁からフランス語のアクセントでひどく罵る。怒ったアーサー王はベディヴィア卿テリー・ジョーンズ)と共に大群で城を攻めようとするが、映画前半で起きた歴史学者殺害事件を捜査していた警察が現れ、殺害事件の容疑者としてアーサー王と他の騎士たちは逮捕されてしまう。

この城は『ハイランダー/最終戦士』にも一瞬登場している[11]

また、スーザン・クーパーによる児童書、『古城の幽霊ボガート(英語版)』はこの城に着想を得て書かれている[12]

脚注

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注釈

  1. ^ "Lorne" とは、マル島とブリテン島の間の入り江 "Firth of Lorne"(ローン湾)を指す[1]
  2. ^ "Lt. Col." とは英国陸軍の中佐を意味する (Lieutenant colonel (United Kingdom)[1]
  3. ^ 原文:an inhabited island that "had no usual residents at the time of either the 2001 or 2011 censuses."

出典

  1. ^ a b 小西友七; 南出康世 (25 April 2001). ジーニアス英和大辞典. ジーニアス. 東京都文京区: 大修館書店 (published 2011). ISBN 978-4469041316. OCLC 47909428. NCID BA51576491. ASIN 4469041319. 全国書誌番号:20398458。
  2. ^ “Lynn of Lorne”. Placebook Scotland. 2016年6月28日閲覧。
  3. ^ Douglas McCall (2013-11-12), Monty Python: A Chronology, 1969-2012 (2nd ed.), p. 34, ISBN 9781476613116, https://books.google.co.jp/books?id=ZTAFAgAAQBAJ&dq=castle+stalker+holy+grail&hl=ja&source=gbs_navlinks_s 2016年6月28日閲覧。 
  4. ^ “Monty Python and the Holy Grail film locations”. The Worldwide Guide to Movie Locations. 2016年6月28日閲覧。
  5. ^ “Castle Stalker near Port Appin by Loch Linne”. Visit Fort William. 2016年6月28日閲覧。
  6. ^ “National Scenic Areas”. Scottish Natural Heritage. 2016年6月28日閲覧。
  7. ^ “Lynn of Lorn”. Scottish Natural Heritage. 2016年6月28日閲覧。
  8. ^ Ross. S.S. Allward (2011年3月). “A Brief History of Castle Stalker”. CastleStalker.com. 2016年6月29日閲覧。
  9. ^ モンティ・パイソン(英語)『ロケ地案内 - モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(Blu-ray Disc)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。https://www.imdb.com/title/tt0071853/ 
  10. ^ “Statistical Bulletin - 2011 Census: First Results on Population and Household Estimates for Scotland - Release 1C (Part Two)” (PDF). National Records of Scotland. p. 13. 2016年6月30日閲覧。
  11. ^ “"Highlander: Endgame - Castle Stalker"”. Scotland the Movie. 2016年6月30日閲覧。
  12. ^ “Susan Cooper on Writing The Boggart”. スーザン・クーパー. 2016年6月30日閲覧。

外部リンク

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撮影場所

ストーカー城 - ドゥーン城

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モンティ・パイソン・アンド・ナウ(1971年)- ホーリー・グレイル(1974年)- ライフ・オブ・ブライアン(1979年)- 人生狂騒曲(1983年)


座標: 北緯56度34分16秒 西経5度23分10秒 / 北緯56.57111度 西経5.38611度 / 56.57111; -5.38611