フランシス・ダッシュウッド (第11代ル・ディスペンサー男爵)

第11代ル・ディスペンサー男爵
フランシス・ダッシュウッド
Francis Dashwood
11th Baron le Despencer
生年月日 1708年12月
出生地 グレートブリテン王国の旗 グレートブリテン王国イングランドミドルセックスウェストミンスター
没年月日 1781年12月11日
死没地 グレートブリテン王国の旗 グレートブリテン王国、イングランド・バッキンガムシャーウェスト・ウィコム(英語版)
所属政党 トーリー党
称号 第11代ル・ディスペンサー男爵、第2代準男爵(英語版)、枢密顧問官 (PC)、王立協会フェロー (FRS)
配偶者 サラ(旧姓グールド)

グレートブリテン王国の旗 財務大臣
内閣 ビュート伯爵内閣
在任期間 1762年6月9日 - 1763年4月8日[1]

グレートブリテン王国の旗 庶民院議員
選挙区 ニュー・ロムニー選挙区(英語版)ウェイマス=メルクーム・レジス選挙区(英語版)
在任期間 1741年5月5日 - 1763年4月19日[2]

グレートブリテン王国の旗 貴族院議員
在任期間 1763年4月19日 - 1781年12月11日
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第11代ル・ディスペンサー男爵フランシス・ダッシュウッド: Francis Dashwood,11th Baron le Despencer, PC, FRS1708年12月 - 1781年12月11日)は、イギリス政治家。トーリー党に所属し、第3代ビュート伯爵ジョン・ステュアートの内閣で財務大臣を務めた。秘密結社地獄の火クラブの主宰者でもあった。

経歴

1708年12月、初代準男爵(英語版)サー・フランシス・ダッシュウッドとその妻メアリー(旧姓フェイン。第4代ウェストモーランド伯爵ヴィアー・フェイン(英語版)の娘)の間の長男として生まれる[3][4]。彼の父はトルコと取引をしていた商人であり、ウィンチルシー選挙区(英語版)選出の庶民院議員だった[5]

個人教育で育ったと見られる[5]1724年11月に父の死により第2代準男爵位と地所を相続[3][4][5]。若い頃にはヨーロッパ旅行で放蕩の限りを尽くして悪名を流した[5]。ロシアではスウェーデン王カール12世になりすまし、ロシア女帝アンナの恋人になろうと画策したり、イタリアでは宗教と道徳に対する冒とくから教会から追放処分を受けた[5]

イギリスに帰国した後、皇太子フレデリック・ルイス家で小さな役職を得たが、母方の伯父にあたる第7代ウェストモーランド伯爵ジョン・フェインがウォルポール首相に解任されたことで熱烈な反ウォルポール派となり、役職を辞した[5]。1734年には貴族の芸術愛好家協会を創設した[6]

1741年総選挙ではニュー・ロムニー選挙区(英語版)でウォルポール派候補と激しく争い、議席を確保した[2]。以降1761年までこの選挙区から選出され続け、トーリー党所属の庶民院議員を務めた(1761年から1763年まではウェイマス=メルクーム・レジス選挙区(英語版)から選出される)[4]。当選後、ウォルポール政権を激しく攻撃し、ウオルポール失脚後もジョージ2世の下で成立する全ての政府に反対し続けた[2]1746年6月19日には王立協会フェロー(FRS)となる[4][2]

1755年頃には地獄の火クラブを創設した[2]。ギャンブル、乱痴気、冒涜で悪名高い組織だった[6]

1761年に枢密顧問官(PC)となる[4]。1761年から1762年にかけて王室会計長官(英語版)、1762年6月から1763年4月にかけて財務大臣を務めた[3][4]。第3代ビュート伯爵ジョン・ステュアートの支持者であったため、その庇護を受けての就任だった。しかし経済について無知すぎたため、彼の予算に関する演説は失笑を買った[2]。1763年4月にビュート伯爵の首相退任とともに財務大臣を辞職し、衣服保管長官(英語版)に就任[1]

母方の伯父第7代ウェストモーランド伯爵ジョン・フェインの死後、保持者不在となっていたル・ディスペンサー男爵位の保持者不在が1763年4月19日に解除されて彼がル・ディスペンサー男爵位を継承し、貴族院議員に転じた[4][1]

長期政権のノース卿フレデリック・ノース内閣では共同郵政長官(英語版)を務めた[1]

1781年12月11日ウェスト・ウィコム(英語版)で死去。子供がなかったため、ル・ディスペンサー男爵位は保持者不在となる。1788年になって保持者不在が解除され、従兄妹の孫にあたる第5代準男爵(英語版)トマス・ステイプルトン(英語版)が継承した[4]。準男爵位は異母弟のジョン・ダッシュウッド=キング(英語版)が継承した[5]

家族

1745年12月19日バッキンガムシャー・アイヴァー(Iver)のジョージ・グールド(George Gould)の娘で第3代準男爵(英語版)リチャード・エリス(英語版)の未亡人サラ(Sarah)と結婚した。しかし子供はなかった[4][2]

肖像画

参考文献

  • ラングフォード, ポール 著、鶴島博和/坂下史 訳『オックスフォード ブリテン諸島の歴史8巻』慶応義塾大学出版会、2013年。ISBN 978-4766416480。 
  •  この記事にはパブリックドメインである次の文書本文が含まれている: Pollard, Albert Frederick (1901). "Dashwood, Francis". In Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (1st supplement) (英語). London: Smith, Elder & Co. pp. 112–115.

出典

  1. ^ a b c d Pollard 1901, p. 114.
  2. ^ a b c d e f g Pollard 1901, p. 113.
  3. ^ a b c Lundy, Darryl. “Sir Francis Dashwood, 11th Lord le Despenser” (英語). thepeerage.com. 2020年1月18日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i Heraldic Media Limited. “le Despencer, Baron (E, 1295 with precedency from 1264)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年1月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g Pollard 1901, p. 112.
  6. ^ a b ラングフォード 2013, p. 251.

外部リンク

  • The Lives & Times of the Hell-Fire Club
  • Photographs of Dashwood's tunnels in West Wycombe
  • Francis Dashwood of the English Hellfire Club
グレートブリテン議会(英語版)
先代
スティーブン・ビッセ(英語版)
サー・ロバート・オーステン(英語版)
ニュー・ロムニー選挙区(英語版)選出庶民院議員
1741年–1761年
同職:ヘンリー・ファーニーズ(英語版) 1741–1756
ローズ・ファラー(英語版) 1756–1761
次代
サー・エドワード・デリング(英語版)
トマス・ナイト(英語版)
先代
ウィルボーン・エリス(英語版)
ジョン・キャヴェンディッシュ卿(英語版)
ジョージ・ドディントン
ジョン・タッカー(英語版)
ウェイマス=メルクーム・レジス選挙区(英語版)選出庶民院議員
1761年–1763年
同職:ジョン・タッカー(英語版)
リチャード・グローヴァー(英語版)
ジョン・オルミウス(英語版) 1761–1762
リチャード・ジャクソン(英語版) 1762–1763
次代
ジョン・タッカー(英語版)
リチャード・グローヴァー(英語版)
リチャード・ジャクソン(英語版)
チャールズ・ウォルコット(英語版)
公職
先代
第2代バーリントン子爵
財務大臣
1762年–1763年
次代
ジョージ・グレンヴィル
先代
第2代ベスバラ伯爵(英語版)
第2郵政長官(英語版)
1765年–1781年
次代
第2代バーリントン子爵
宮廷職
先代
チャールズ・タウンゼンド
王室会計長官(英語版)
1761年–1762年
次代
サー・ギルバート・エリオット(英語版)
先代
第2代ゴア伯爵
衣服保管長官(英語版)
1763年–1765年
次代
第2代アシュバーナム伯爵
名誉職
先代
第2代テンプル伯爵
バッキンガムシャー統監(英語版)
1763年–1781年
次代
第5代チェスターフィールド伯爵(英語版)
イングランドの爵位
停止
最後の在位者
ジョン・フェイン
第11代ル・ディスペンサー男爵
1763年–1781年
停止
次代の在位者
トマス・ステイプルトン(英語版)
グレートブリテンの準男爵
先代
フランシス・ダッシュウッド
第2代準男爵(英語版)
(ウェスト・ウィコムの)

1724年–1781年
次代
ジョン・ダッシュウッド=キング(英語版)
イギリスの旗 イギリスの財務大臣
イングランド
  • ユースタス・オブ・ファーコンバーグ(英語版)1221頃-?
  • マンセル(英語版)1234頃-?
  • レスター1248以前
  • ウェストミンスター1248-?
  • フィスキャンプ1263以前
  • チスハル(英語版)1263-1265
  • W.ジフォード(英語版)1265-1266
  • G.ジフォード(英語版)1266-1268
  • チスハル(英語版)1268-1269
  • ミドルトン(英語版)1269-1272
  • ド・レ・レイエ1283以前
  • ニューバンド1283以前
  • ウィロウビー(英語版)1283-1305
  • ベンスティディ(英語版)1305-1306
  • サンデール(英語版)1307-1308
  • マーケンフィールド1309-1312
  • ホーサム(英語版)1312-1316
  • スタントン(英語版)1316-1323頃
  • ステープルドン(英語版)1323-1324頃
  • スタントン(英語版)1324-1327
  • ハーヴィントン(英語版)1327-1330
  • ウッドハウス(英語版)1330-1331
  • ストラトフォード(英語版)1331-1334
  • ヒルデスリー1338頃-?
  • エヴァードン1341-?
  • アスケビー1363-?
  • アシュトン(英語版)1375-1377
  • バーナム1377-1399
  • ソマー(英語版)1410-1437
  • サマセット(英語版)1441-1447
  • ブラウン(英語版)1440頃-1450頃
  • ウィザム(英語版)1454-?
  • ファウラー(英語版)1469-1471
  • スウェイツ(英語版)1471-1483
  • ケイツビー(英語版)1483-1484頃
  • ラベル(英語版)1485-1524
  • バーナーズ男爵(英語版)1524-1533頃
  • エセックス伯爵1533-1540
  • ベイカー(英語版)1545-1558
  • サックヴィル(英語版)1559-1566
  • マイルドメイ(英語版)1566-1589
  • フォーテスキュー(英語版)1589-1603
  • ダンバー伯爵(英語版)1603-1606
  • シーザー(英語版)1606-1614
  • グランヴィル(英語版)1614-1621
  • ウェストン(英語版)1621-1628
  • バレット卿(英語版)1628-1629
  • コティントン男爵(英語版)1629-1642
  • カルペパー(英語版)1642-1643
  • ハイド1643-1646
  • 空位期(英語版)1646-1660
  • ハイド1660-1661
  • アシュリー男爵1661-1672
  • ダンクーム1672-1676
  • アーンリ(英語版)1676-1689
  • デラマー男爵(英語版)1689-1690
  • ハムデン(英語版)1690-1694
  • モンタギュー1694-1699
  • スミス1699-1701
  • ボイル1701-1708
グレートブリテン
  • ボイル1708-1710
  • スミス1708-1710
  • ハーレー1710-1711
  • ベンソン1711-1713
  • ウィンダム1713-1714
  • オンズロー1714-1715
  • ウォルポール1715-1717
  • スタンホープ伯爵1717-1718
  • エイズラビー1718-1721
  • プラット(代理)1721
  • ウォルポール1721-1742
  • サンズ1742-1743
  • ペラム1743-1754
  • リー(代理)1754
  • ビルソン=レッグ1754-1755
  • リトルトン1755-1756
  • ビルソン=レッグ1756-1757
  • マンスフィールド男爵(英語版)1757
  • ビルソン=レッグ1757-1761
  • バリントン子爵1761-1762
  • ル・ディスペンサー男爵1762-1763
  • グレンヴィル1763-1765
  • ダズウェル(英語版)1765-1766
  • タウンゼンド1766-1767
  • ノース卿1767-1782
  • キャヴェンディッシュ(英語版)1782
  • 小ピット1782-1783
  • キャヴェンディッシュ(英語版)1783
  • 小ピット1783-1801
  • アディントン1801-1804
  • 小ピット1804-1806
  • エレンバラ男爵(英語版)(代理)1806
  • ペティ=フィッツモーリス1806-1807
  • パーシヴァル1807-1812
  • ヴァンシッタート(英語版)1812-1817
連合王国
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