ルクセンブルクの地方行政区画

ルクセンブルクのカントン
: Canton du Luxembourg
: Kantone im Luxemburg
ルクセンブルク語: Lëtzebuerger Kantonen
カテゴリー単一国家
位置ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク
12(1851年以降)
区分ルクセンブルクの基礎自治体(フランス語版)

ルクセンブルクは12のカントンと102の基礎自治体に区分される。ただしカントンに行政機能はなく[1]、地方行政を担うのは実質的に基礎自治体のみである。2015年までは広域行政区 、カントン、基礎自治体の3層構造であった。

カントン

カントン

カントンフランス語: Cantonドイツ語: Kantoneルクセンブルク語: Kantonen)は、ルクセンブルクの第一級行政区画である。ただし行政機能はなく、カントン独自の政府・議会・裁判所などは存在しない。現在は主に選挙区や司法区、統計などの行政上の区分として使用されている。2015年以降ISO 3166-2:LUが割り当てられているが[2]欧州連合(EU)が定める地域統計分類単位には使用されていない[3]

カントンはフランス支配下、フランス革命期の1789年12月22日に設置された。1795年8月31日の布告では37郡あった。その後も変更が行われ現在と同じ形となったのは、広域行政区が設置されたのと同じ1843年2月24日で、当時は11郡であった。1851年4月4日にヴィアンデン郡が設置され、現在に至る。

カントンにはなどといった訳語が当てられているが、ここでは郡に統一する。日本語名称はルクセンブルク政府広報局のものを参考にした[4]

# 名称 フランス語 ドイツ語 ルクセンブルク語 中心地 人口[5]
(2019)
面積[6]
(km2)
自治体数
1 カペレン郡(フランス語版) Capellen Capellen Kapellen カペレン(フランス語版) 49,066 199.2 9
2 クレルヴォー郡(フランス語版) Clervaux Clerf Klierf クレルヴォー(フランス語版) 18,436 342.2 5
3 ディーキルヒ郡(フランス語版) Diekirch Diekirch Dikrech ディーキルヒ(フランス語版) 33,216 204.5 10
4 エヒタナハ郡(フランス語版) Echternach Echternach Iechternach エヒタナハ 18,944 185.5 7
5 エシュ=シュル=アルゼット郡(フランス語版) Esch-sur-Alzette Esch an der Alzette Esch-Uelzecht エシュ=シュル=アルゼット 180,275 242.8 14
6 グレーヴェンマハ郡(フランス語版) Grevenmacher Grevenmacher Gréiwemaacher グレーヴェンマハ 30,361 211.4 8
7 ルクセンブルク郡(フランス語版) Luxembourg Luxemburg Lëtzebuerg ルクセンブルク市 186,533 238.5 11
8 メルシュ郡(フランス語版) Mersch Mersch Miersch メルシュ(フランス語版) 32,725 223.9 10
9 ルダンジュ郡(フランス語版) Redange Redingen Réiden ルダンジュ(フランス語版) 19,096 267.5 10
10 レーミッヒ郡(フランス語版) Remich Remich Réimech レーミッヒ(フランス語版) 22,806 127.9 8
11 ヴィアンデン郡(フランス語版) Vianden Vianden Veianen ヴィアンデン(フランス語版) 5,288 54.1 3
12 ヴィルツ郡(フランス語版) Wiltz Wiltz Wolz ヴィルツ(フランス語版) 17,148 264.6 7

基礎自治体

詳細は「ルクセンブルクの基礎自治体」および「:fr:Commune (Luxembourg)」を参照
基礎自治体

基礎自治体フランス語: commune / communes コミューンドイツ語: Gemeinde / Gemeinden ゲマインデルクセンブルク語: Gemeinde / Gemeinden(単数 / 複数形))は、ルクセンブルクの第二級行政区画で、地方行政を担う。内務省(フランス語版)の管轄下にある。

基礎自治体の合計は2018年時点で102。このうち12の自治体は「」(フランス語: Villeドイツ語: Städteルクセンブルク語: Stad)の称号を有しているが、ほかの自治体と行政上の違いはない(市はルクセンブルクの都市の一覧の項を参照)。

ルクセンブルク市一覧(フランス語版)やエシュ=シュル=アルゼット市一覧(英語版)には、さらに下位区分として行政区フランス語: Quartiersドイツ語: Stadtteileルクセンブルク語: Quartierën)が設置されている。

広域行政区(廃止)

「:fr:District (Luxembourg)」を参照
広域行政区
広域行政区(1857年 - 1867年)

広域行政区フランス語: Districtsドイツ語: Distrikteルクセンブルク語: Distrikter)は、かつて存在した行政区画である。内務省と基礎自治体の中継機関であった。なお司法権は持っていなかった[7]。2015年まではISO 3166-2:LUが割り当てられていた。

1843年2月24日にディーキルヒ、グレーヴェンマハ、ルクセンブルクの3区が設置される。1857年5月30日にディーキルヒ区とルクセンブルク区から2郡が独立し、メルシュ区が新たに設置されたが、10年後の1867年5月4日に廃止され、当初の行政区画へ戻された[8]。2015年10月3日に全広域行政区は廃止され、内務省が直接自治体へ行政サービスを提供することとなった[9]

# 広域行政区名 フランス語
ドイツ語
ルクセンブルク語
首府 人口
(2012年)
面積
(km2)
所属カントン
1 ディーキルヒ広域行政区 District de Diekirch
Distrikt Diekirch
Distrikt Dikrech
ディーキルヒ 80,234 1,157.24 クレルヴォー
ディーキルヒ
ヴィアンデン
ヴィルツ
ルダンジュ 1
2 グレーヴェンマハ広域行政区 District de Grevenmacher
Distrikt Grevenmacher
Distrikt Gréiwemaacher
グレーヴェンマハ 62,818 524.78 エヒタナハ
グレーヴェンマハ
レーミッヒ
3 ルクセンブルク広域行政区 District de Luxembourg
Distrikt Luxemburg
Distrikt Lëtzebuerg
ルクセンブルク市 381,801 904.84 エシュ=シュル=アルゼット
カペレン
メルシュ 1
ルクセンブルク
2015年以前に消滅した広域行政区
4 メルシュ広域行政区(フランス語版) District de Mersch
Distrikt Mersch
Distrikt Miersch
メルシュ(フランス語版) - (表中 1
ルダンジュ
メルシュ

そのほかの区分

選挙区

「:fr:Circonscriptions électorales du Luxembourg」を参照
選挙区と定数

ルクセンブルクの立法府である代議院(一院制)の議員選挙に用いられる。カントンを基にして、国土を4つに分割している。

なお、欧州議会およびルクセンブルクの国民投票(フランス語版)は国全体を一つの選挙区と規定しているため、この選挙区は使用されない(ルクセンブルク選挙区 (欧州議会)(フランス語版))。

選挙区 カントン 議席定数
    北部選挙区(フランス語版) クレルヴォー、ディーキルヒ、ヴィアンデン、ヴィルツ、ルダンジュ 9
    中部選挙区(フランス語版) メルシュ、ルクセンブルク 21
    南部選挙区(フランス語版) カペレン、エシュ=シュル=アルゼット 23
    東部選挙区(フランス語版) エヒタナハ、グレーヴェンマハ、レーミッヒ 7

司法管轄区

3つの治安判事裁判所から成る、2つの司法管轄区がある。

司法管轄区
  • ルクセンブルク司法管轄区(フランス語版) - カペレン、エシュ=シュル=アルゼット、グレーヴェンマハ、ルクセンブルク、メルシュ、 レーミッヒの6カントン
  • ディーキルヒ司法管轄区(フランス語版) - クレルヴォー、ディーキルヒ、エヒタナハ 、ルダンジュ、ヴィアンデン、ヴィルツの6カントン
治安判事裁判所の所在地
  • ルクセンブルク市
  • エシュ=シュル=アルゼット
  • ディーキルヒ

脚注

  1. ^ “LUXEMBOURG'S TERRITORY”. luxembourg.public.lu. 2020年2月24日閲覧。 (英語)
  2. ^ “Luxemburg”. 国際標準化機構 (2015年11月27日). 2020年2月24日閲覧。 (英語)
  3. ^ “NATIONAL STRUCTURES”. ユーロスタット (2018年11月30日). 2020年2月24日閲覧。 (英語)
  4. ^ “ルクセンブルク大公国徹底解説” (pdf). ルクセンブルク政府広報局. 2020年2月24日閲覧。 (日本語)
  5. ^ “Population par canton et commune 1821 - 2019”. ルクセンブルク統計ポータル (2019年4月2日). 2020年2月24日閲覧。 (フランス語)
  6. ^ “Subdivisions territoriales (Situation au 1er janvier 2018)”. ルクセンブルク統計ポータル (2018年2月5日). 2020年2月24日閲覧。 (フランス語)
  7. ^ “Aus dem Parlament: Die Distrikte werden abgeschafft”. de:Luxemburger Wort (2015年7月7日). 2020年2月24日閲覧。 (ドイツ語)
  8. ^ “Districts of Luxembourg”. Statoids.com (2015年10月20日). 2020年2月24日閲覧。 (英語)
  9. ^ “Fin des commissariats de district”. RTL (2015年7月8日). 2020年2月24日閲覧。 (フランス語)

関連項目

ルクセンブルクの旗 ルクセンブルクのカントン(郡)
ディーキルヒ広域行政区
  • クレルヴォー
  • ディーキルヒ
  • ルダンジュ
  • ヴィアンデン
  • ヴィルツ
グレーヴェンマハ広域行政区
  • エヒタナハ
  • グレーヴェンマハ
  • レーミッヒ
ルクセンブルク広域行政区
  • カペレン
  • エシュ=シュル=アルゼット
  • ルクセンブルク
  • メルシュ
  • 広域行政区は2015年廃止。
ヨーロッパの第一級行政区画
西ヨーロッパ
東ヨーロッパ
中央ヨーロッパ
南ヨーロッパ
北欧諸国
バルト三国
その他
英王室属領
関連項目

各列内は五十音順。バチカンは国際連合非加盟。「その他」は国家の承認を得る国が少ない、または無い国であり、国際連合非加盟。国家承認を得た国連非加盟の国と地域の一覧も参照。

  1. ^ ウラル山脈以東はアジアに分類されることもある。
  2. ^ a b c アジアに分類されることもある。