周氷河地形

宗谷丘陵の周氷河地形
宗谷丘陵(丸山付近)の空中写真。
なだらかな丘陵が形成される周氷河地形の様子が分かる。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1977年撮影)

周氷河地形(しゅうひょうがちけい)とは、地中の分が凍結や融解を繰り返すこと(凍結融解作用)によって形成される地形。日本では北海道稚内市宗谷岬周辺などに見られる。

概要

主として寒冷地に見られる地形であるが、それ以外でも過去の氷期に形成されたものもある。また、山地では森林限界から雪線までの間で見られ、そこを「周氷河地域」と呼ぶ。凸部は低く傾斜も緩やかになり、凹部は船底型ないし皿状の谷(皿状谷・デレ dell)が形成され、それらの緩やかな起伏が連続するのが目に見える特徴である。

研究史

周氷河地形に関する研究は20世紀初めから行われ、当時は記載的な内容(分布や形態など)の研究が中心であった[1]1950年代になると北極圏を中心に周氷河プロセスの研究が進展し、測量のほか、地表の変位、地中の変形の測定などの野外調査が行われた[1]1970年昭和45年)頃では日本でも周氷河地形の研究が活性化した[2]。この背景には寒冷地形談話会の発足があると指摘されている[2]

1980年代後半になると、1年以上にわたる連続記録が可能な乾電池式のデータロガーが開発され、地形変化の定量的な通年観測・分析が可能になった[3]。21世紀になると地下構造の可視化が可能となったほか、国際極年(英語版)にあわせて極域の凍土や周氷河地形の研究も進行している[4]

脚注

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  1. ^ a b 松岡・池田 2012, p. 270.
  2. ^ a b 小野・福田 1987, p. 76.
  3. ^ 松岡・池田 2012, p. 271.
  4. ^ 松岡・池田 2012, p. 275.

参考文献

  • 日下哉著, 『図解日本地形用語事典』, 東洋書店, (2002年), ISBN 4885957192
  • 小野有五・福田正己「日本における周氷河地形研究の進展」『地学雑誌』第96巻第7号、1987年、490-498頁。 
  • 松岡憲知・池田敦「周氷河地形プロセス研究最前線」『地学雑誌』第121巻第2号、2012年、269-305頁。 

関連項目

外部リンク

  • 北海道遺産・宗谷丘陵の周氷河地形
  • 地球と火星の周氷河地形 - 地学雑誌 121巻2号 2012年 口絵3
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