山﨑彩音

山﨑 彩音
別名 Ayane Yamazaki
生誕 (1999-01-26) 1999年1月26日(25歳)[1]
出身地 日本の旗 日本神奈川県湘南[1]
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 2015年 -
レーベル
公式サイト http://ayaneyamazaki.com/

山﨑 彩音(やまざき あやね、1999年1月26日 - )は日本のシンガー・ソングライター、Pop Music Artist[7][1]Ayane Yamazaki表記も用いる。初期のバンド・サウンドと力強いヴォーカルを特徴としていたが、その後シティ・ポップ渋谷系、さらにエレクトロ・ポップドリーム・ポップ的な傾向のサウンドへと変化を続けている。

15歳のころに東京と神奈川のライブハウスで音楽活動を開始、2015年にEP『Yer』をme and baby musicより発表。2016年にシンガー・ソングライターとして当時最年少となる17歳でフジ・ロック・フェスティバルに出演。2017年フォーライフミュージックエンタテイメントよりメジャー・デビュー。2019年AWAL(英語版)より全世界配信デビューし、日本国外のインディー・シーンでも話題となった。2021年現在4枚のアルバムを発表している。

来歴

メジャー・デビュー以前

山﨑彩音は1999年1月26日に神奈川県湘南で生まれた。小学生のころに父の影響でギターをはじめた当時は、BoA関ジャニ∞斉藤和義BUMP OF CHICKENなどのファンだった[1][8]。中学生のころ軽音楽部に入るが、周りが神聖かまってちゃんを知らなかったことに温度差を感じ、ひとりで弾き語りをはじめる[9]

高校1年生の夏ごろ (2014年) よりライブハウスに出演し、アコースティック・ギター弾き語りでBLANKEY JET CITYゆらゆら帝国椎名林檎などの曲を演奏、秋ごろより作曲も開始する[8]。高校2年生のころ (2015年) に、忌野清志郎関連の映画パンフレットで高橋 Rock Me Baby[注 1]を知り、Twitterでフォローしたところ連絡を受け、それを機にミュージシャンとして本格的な活動を開始する[8][9]

2015年末にEP『Yer』をライブ会場と通信販売のみで発表。2016年、仲井戸“CHABO”麗市GLIM SPANKYのオープニング・アクトを務めるほか、同年のフジ・ロック・フェスティバルに当時シンガー・ソングライターとして最年少となる17歳で出演した[1][10][11]

メジャー・デビュー(2017年)以降

2017年FORLIFE SONGSより、弾き語りドラムのみの編成を中心としたEP『キキ』を発表[8]。同年ごろより弾き語りからバンド形式へとライブの編成を移行[12]2018年メジャー・デビュー・アルバム『METROPOLIS』を発表[8]

2019年、イギリスの AWAL(英語版)のオーディションに日本人女性として初めて合格し、セカンド・アルバム『LIFE』で全世界配信デビューを果たす[4][13]。同作より丸山桂[注 2]をサウンド・プロデュースに迎えている[14]。ドイツのインディー・チャートで2位となるなど、世界各国のインディー・シーンでも話題となったほか[15][16]、収録曲の「指で数えて」が寺本勇也監督のLGBTを主題とした映画『青空になる』(2020年)の主題歌として採用された[17]。また、従来の山﨑彩音表記に加え、Ayane Yamazaki表記も併記するようになった[13]

2020年にAWALより配信リリースしたサード・アルバム『呼びかけられて』は、山﨑によるとアルバム全体の流れを意識した作品であり、また前作までのギターからエレクトリック・ピアノシンセサイザーへと演奏する楽器を変更しており、シティ・ポップ的であると評された[15][16][5]。同年ごろよりライブ活動を休止しスタジオでのレコーディングに集中し[18]、2021年には、6曲中3曲がインストゥルメンタルで、プログラミングを中心に用いエレクトロ・ポップ色の強まったアルバム『Ribbon』をFRIENDSHIP.[注 3]より発表[5]、同作はヨーロッパやアメリカのいくつかのメディアにおいて年間ベスト・アルバムにランクインした[20]

音楽性

2017年ごろまではほとんど詞先で曲を作っていたが[8]、2018年の『METROPOLIS』収録作には曲先の楽曲もあり[12]Divine Magazine (2021) においては旋律フレーズから初め、そこからすべてを構築すると述べている。また2018年ごろより、アコースティック・ギターでは手癖が出てしまうので、他の方法で作曲するためにGarageBandを使用するようになり、2021年現在はほぼすべての曲を25鍵のキーボードで作曲している[12][21]。歌詞については受け手に解釈を委ねたい[22]、英語での歌唱については、ネイティブのようには聞こえないだろうけれども、音楽においてはむしろそれがメリットになると語っている[23]

初期はバンド・サウンドと力強いヴォーカルを特徴としていた[5]。2019年の『LIFE』は、1980年代の日本のポップスやニュー・ウェイブ、1990年代渋谷系、現代(2010年代)のアメリカドリーム・ポップベッドルーム・ポップ(英語版)、スリープ・ロックなどと関連付けて評価されている[3][14]。楽曲やサウンドは、キーボードやシンセサイザーを中心に据えた丸みを帯びたもの変化していき、2020年の『呼びかけられて』のころからシティポップ的なメロウネスを取り入れていると評された[5]。2021年の『Ribbon』においてはさらに、エレクトロ・ポップ的なプログラミングを主体としたサウンドに変化し、新しいスタイルのドリーム・ポップと評されている[5]

この他にも様々なジャンルや要素に関連付けた批評があり、たとえばOTOTOY (2019a)ファルセット的な声のセクシャリティーにオルタナティブアンビエントをミックスさせたサウンド、そして東京的なオリエンタリズムと日本的な情緒を含んだメロディーラインと評し、Mikiki (2020)歌謡曲シティ・ポップシンセ・ポップといったジャンルのいずれにも収まりきらないと記述している。また、IGGY Magazin (2019)は、中毒的なポップあやすように揺り動かすvous berce pour mieux vous dompter甘い歌声の甘い音色という両面をもつと評している。SENSA (2021b) は『Ribbon』について、アンビエント・ポップイージーリスニングがブレンドされた『透き通った重力』を感じる1枚であるとした。山﨑自身は自らの音楽について特定のジャンルやルーツを定めることはできないと述べている[21]

影響を受けた音楽や文学

B・エヴァンス
坂本慎太郎
S・ヴェガ

好きなアーティストとしては、野宮真貴を挙げているほか[3]関ジャニ∞やV6などのジャニーズ系アイドルのファンでもある[9]大貫妙子も愛聴しており、2020年に「魔法をおしえて」をカバーしている[24]。10代のころには、ビル・エヴァンスからインスピレーションを受けて、音数を減らして歌を作るようになったという[18]。ギターは独学だが、だれかに習えるなら坂本慎太郎に教えてほしいと述べている[22]。また、音楽以上に村上春樹からの影響が大きいと語っており、とくに11歳のときに『海辺のカフカ』に出会ったことが創作慾の源泉となったと述懐している[8][18][3]

2019年の『LIFE』では、松任谷由実の「夕涼み」の影響が出ていると述べているほか、スザンヌ・ヴェガの『孤独(ひとり)(英語版)』や『欲望の9つの対象(英語版)』のシックで小さい声を使った曲作りやサウンド・プロダクション、あるいはポール・オースターの小説『ムーン・パレス』に触発されたという[4][18]

そのほかSENSA (2021b) においては、DOOPEES[注 4]原田郁子を影響を受けたアーティストとして挙げている。

ディスコグラフィ

※シングルについては省略する。

アルバム
発売日 タイトル 形態 レーベル 備考
2018年7月25日 METROPOLIS CD、配信 FORLIFE SONGS アルバム名は、SF映画『メトロポリス 』(1927年、ドイツ)などのイメージから取られている[12]。サウンド・プロデュースはハイエナカー(トラック6-9)と藤森翔平(その他トラック)が担当[27]
2019年10月30日 LIFE FORLIFE SONGS / AWAL(英語版)
2020年10月25日 呼びかけられて 配信 AWAL 安田成美「風の谷のナウシカ」のカバーを収録[16]
2021年6月23日 Ribbon[5] 配信 FRIENDSHIP.[注 3]
EP
発売日 タイトル 形態 レーベル
2015年12月11日 Yer CD me and baby music
2017年4月26日 キキ CD、配信 FORLIFE SONGS

注釈

  1. ^ 東芝EMIRCサクセションの宣伝を担当していた人物[8]
  2. ^ 丸山は菊地成孔のトラック・メーカーなどとして活動している。
  3. ^ a b ヒップランドミュージックが運営する音楽配信サービス[19]
  4. ^ ヤン富田がプロデュースし、キャロライン・ノヴァックとスージー・キムの2人により構成されるプランダーフォニックス(英語版)・ユニット。[25][26]

出典

  1. ^ a b c d e ナタリー n.d.
  2. ^ a b c ele-king 2020.
  3. ^ a b c d e OTOTOY 2019b.
  4. ^ a b c MUSIC LOUNGE 2019.
  5. ^ a b c d e f g h i j k SENSA 2021a.
  6. ^ Mikiki 2020.
  7. ^ a b Official n.d.
  8. ^ a b c d e f g h OTOTOY 2017.
  9. ^ a b c ナタリー 2017b, p. 1.
  10. ^ ナタリー 2017a.
  11. ^ FUJIROCK EXPRESS 2016.
  12. ^ a b c d ナタリー 2018.
  13. ^ a b OTOTOY 2019a.
  14. ^ a b BARKS 2019.
  15. ^ a b OKMusic 2020b.
  16. ^ a b c OTOTOY 2020.
  17. ^ OKMusic 2020a.
  18. ^ a b c d RIFF Magazine 2019.
  19. ^ 西澤, 裕郎 (2019年5月31日). “FRIENDSHIP.— 新しい才能を世界に発信! キュレーターと紐解く「FRIENDSHIP.」の可能性”. 音楽ナタリー. ナターシャ. 2021年8月15日閲覧。
  20. ^ OTOTOY 2022.
  21. ^ a b Divine Magazine 2021.
  22. ^ a b ナタリー 2017b, p. 2.
  23. ^ Japan Times 2020.
  24. ^ BARKS 2021.
  25. ^ “ドゥーピーズ、11年ぶりのアルバムに先駆けてミニ・アルバムを発表”. CDJournal. シーディージャーナル (2006年9月6日). 2021年8月15日閲覧。
  26. ^ ベネット, マット (2016年8月6日). “Doopees『Doopee Time』”. もしもしにっぽん. マットの音楽大好き. アソビシステム. 2021年8月15日閲覧。
  27. ^ 『METROPOLIS』(CD)山﨑綾音。 

参考資料

  • プロフィール
    • “AYANE YAMAZAKI OFFICIAL WEB SITE”. 2020年12月2日閲覧。
    • “Ayane Yamazaki”. 音楽ナタリー. 2020年12月2日閲覧。
  • インタビュー
    • 岡本貴之 (2017年4月26日). “山崎彩音、同世代の少年少女へ向けて唄った4曲でひとつの物語『キキ』をハイレゾ配信&インタヴュー”. OTOTOY. 2020年12月5日閲覧。
    • ピエール中野 (取材)、橋本尚平 (文) (2017年). “「Coming Next Artists」第17回 山﨑彩音”. 音楽ナタリー. ナターシャ. 2021年1月16日閲覧。
    • 内本順一. “山﨑彩音「METROPOLIS」インタビュー|新たな挑戦を重ね自信を持ってメジャーへ”. 音楽ナタリー. 2020年12月2日閲覧。
    • “山﨑彩音 好評発売中のアルバム『LIFE』収録曲「指で数えて」がLGBTをテーマにした映画「青空になる」の主題歌に決定した山崎彩音にメールインタビュー!”. MUSIC LOUNGE. キャンシステム (2019年11月22日). 2020年12月6日閲覧。
    • Hughes, Mary (2019年12月19日). “Japanese artist Ayane Yamazaki finds release in layers of pop” (英語). RIFF Magazine. 2020年12月18日閲覧。
    • Shoji, Kaori (2020年5月22日). “How music met English in a recording studio” (英語). The Japan Times Alpha オンライン. 2021年2月11日閲覧。
    • “幻想的に煌めくアンビエント・ポップ「Ayane Yamazaki」”. SENSA. Highlighter. HIP LAND MUSIC (2021年6月23日). 2021年8月15日閲覧。
    • “Interview with Ayane Yamazaki” (英語). Divine Magazine (2021年11月15日). 2021年11月17日閲覧。
  • リリース情報
    • “山﨑彩音、無防備で未熟な若者のための純愛アルバム『LIFE』をリリース”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク (2019年8月23日). 2020年12月6日閲覧。
    • “山﨑彩音、世界へ配信リリース決定”. OTOTOY (2019年9月28日). 2021年2月25日閲覧。
    • “SSW史上最年少でフジロック出演、18歳の山崎彩音が新作で「自由って何?」を問う”. 音楽ナタリー (2017年4月26日). 2020年12月2日閲覧。
    • “山﨑彩音、主題歌と挿入歌を手掛けたLGBT青春映画『青空になる』がDOKUSO映画館にて配信開始”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク (2020年6月18日). 2020年12月18日閲覧。
    • OKMusic編集部 (2020年11月25日). “Ayane Yamazaki、アルバム『呼びかけられて』をイギリスAWALより全世界配信”. OKMusic. 2020年12月6日閲覧。
    • “Ayane Yamazaki ──甘くしかしヒリヒリした東京発ドリーム・ポップ、山﨑彩音がTOYOMUによるremixを配信”. ele-king (2020年5月18日). 2020年12月2日閲覧。
    • “Ayane Yamazaki、「風の谷のナウシカ」カバー収録のニューAL『呼びかけられて』11/25AWALより全世界配信リリース”. OTOTY (2020年11月25日). 2021年2月25日閲覧。
  • その他
    • 森リョータ. “山﨑彩音”. FUJIROCK EXPRESS '16. 2020年12月6日閲覧。
    • “山﨑彩音の新作『LIFE』へ野宮真貴からメッセージ到着”. OTOTOY (2019年10月21日). 2020年12月6日閲覧。
    • “Direction le Japon avec Kitchen Song de Ayane Yamazaki” (フランス語). IGGY Magazine. A la une (30 october, 2019). 2021年2月11日閲覧。
    • 田中亮太, et al. (2020年11月17日). “ジェニーハイ、BADSAIKUSH feat. KENNY-G、モルグモルマルモ、SATORU ONO……Mikiki編集部員が今週オススメの邦楽曲”. Mikiki. タワーレコード. 2021年2月11日閲覧。
    • “Ayane Yamazaki「魔法をおしえて」で脚光を浴びるもうひとつのシティポップ”. BARKS (2021年2月26日). 2021年2月26日閲覧。
    • 栗本, 斉 (2021年6月23日). “Ayane Yamazaki「Ribbon」— 奥深く秘めた強さと美しさで包み込むアンビエント・ポップ”. SENSA. HIP LAND MUSIC. 2021年8月15日閲覧。
    • “Ayane Yamazaki、欧米のオルタナティブ・メディアで2021年ベスト・アーティストに選出”. OTOTOY (2022年1月10日). 2022年1月11日閲覧。

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • Ayane Yamazaki Official Information/山﨑彩音info (@Ayane_Yamazaki) - X(旧Twitter)
  • Ayane Yamazaki (@yamazakiayane01) - X(旧Twitter)
  • Ayane Yamazaki 山﨑彩音 (@ayane_yamazaki) - Instagram ウィキデータを編集
  • Ayane Yamazaki - SoundCloud ウィキデータを編集
  • 山﨑彩音 - YouTubeプレイリスト、FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT
  • Ayane Yamazaki - YouTube Music チャンネル
  • 山﨑彩音 - Spotify
  • 山﨑彩音 - 歌ネット ウィキデータを編集
  • Ayane Yamazaki - Discogs ウィキデータを編集
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  • MusicBrainz