新十津川物語

新十津川物語』(しんとつかわものがたり)は、川村たかし小説、またそれを原作とするテレビドラマ

概要

川村たかし作の児童小説で、1977年から1988年にかけて、単行本全10巻が偕成社から刊行された。イラストは鴇田幹による。産経児童出版文化賞大賞、第29回日本児童文学者協会賞受賞。

1993年には舞台となった北海道新十津川町に、本作にちなんだ「新十津川物語記念館」が開設されている[1]。また新十津川町ふるさと公園と十津川村役場前にはそれぞれ移住後の17歳の姿と移住前の9歳の姿をイメージした本作の主人公・津田フキの銅像が設置されている[2][3]

あらすじ

1889年の十津川大水害で両親を失った津田フキは、兄とともに新天地を求め、北海道開拓に向かう2600人の集団の一人として、自然や大地と格闘し生命力をもらいながら新十津川村を開拓する、第一世代の住民となる。そして、過酷な自然と運命に翻弄されるフキの80年近い人生を描きつつ、フキの子供時代や子・孫・曽孫、波乱万丈の日本の近代を生き抜いた様々な人々の姿を描く[1]

刊行書籍

副題 単行本 文芸版 偕成社文庫版
1 北へ行く旅人たち 1977年12月 1990年10月 1992年5月
2 広野の旅人たち 1978年10月 1990年10月 1992年5月
3 石狩に立つ虹 1980年1月 1990年11月 1992年5月
4 北風にゆれる村 1981年3月 1990年11月 1992年5月
5 朝焼けのピンネシリ 1983年6月 1990年11月 1992年5月
6 雪虫の飛ぶ日 1984年12月 1990年12月 1992年5月
7 吹雪く大地 1986年1月 1990年12月 1992年9月
8 燃える海山 1987年5月 1990年12月 1992年9月
9 星の見える家 1987年12月 1990年12月 1992年9月
10 マンサクの花 1988年12月 1990年12月 1992年9月

この他、1987年には取材記録集『十津川出国記』(北海道新聞社)が出版されている[1]

テレビドラマ

新十津川物語
ジャンル テレビドラマ
原作 川村たかし「新十津川物語」
脚本 冨川元文
演出 江口浩之
出演者 斉藤由貴
江口洋介
小西博之
製作
プロデューサー (制作)山岸康則
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送枠土曜ドラマ (NHK)
放送分90分
明治編
放送期間1991年10月5日 - 12日
放送時間土曜 19:30 - 21:00
回数2
大正編
放送期間1992年5月2日 - 9日
放送時間土曜 19:30 - 21:00
回数2
昭和編
放送期間1992年9月19日 - 26日
放送時間土曜 19:30 - 21:00
回数2
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1991年から1992年にかけて、「明治編」「大正編」「昭和編」各2部(全6回)が、NHK総合テレビジョン「土曜ドラマ」にて放送された。

撮影は1990年12月に丸瀬布町にて雪の中無蓋貨車に乗せられ鉄道で入植地へと向かう主人公と移民達のシーンからクランクインし、舞台となる新十津川町内の原野や千歳市の原生林に小屋のオープンセットを立てての撮影や、旭川・夕張・歌志内・千歳・北海道開拓の村・函館・稚内・富良野など道内12市町村の他新宿・立川・秩父といった関東でも撮影を展開、1992年6月に現代パート内で主人公の玄孫檜山ユカリがサハリンを望みながら主人公達の生きた戦後に思いを馳せる宗谷岬でのシーンでクランクアップとなった[4]

2018年4月から7月には、北海道命名150年にちなみNHK総合テレビジョンの北海道ローカル枠「北海道LOVEテレビ」にて再放送された[5]

キャスト

明治編
大正編
昭和編
現代パート

スタッフ

  • 原作 - 川村たかし「新十津川物語」より
  • 脚本 - 冨川元文
  • 音楽 - 堀井勝美
  • 演奏 - Cカンパニー
  • 時代考証 - 小木新造、田中彰、桑原真人
  • 擬闘 - 林邦史朗
  • 協力 - 北海道新十津川町
  • 資料提供
  • 方言指導 - 嵯峨野れい(明治・大正編 十津川弁指導)、曾川留三子(大正編第1部 北海道弁指導)
  • 習字指導 - 望月暁云、高野早苗(明治編)
  • オペラ考証 - 鈴木としお(大正編第1部)
  • 制作 - 山岸康則
  • 美術 - 岡田正己、田坂光善(明治編第1部・大正編)、田中恒(明治編第2部)、藤井俊樹(昭和編)
  • 技術 - 京谷道雄(明治編第1部)、菊地勝美(明治編第2部・大正編第1部)、小林稔(大正編・昭和編)
  • 音響効果 - 萩野勝男
  • 撮影 - 浪川喜一(明治編・大正編第1部・昭和編)、佐々木達之介(大正編第2部)
  • 照明 - 渡辺恒一
  • 音声 - 佐藤登喜雄
  • 映像技術 - 堀尾知三(大正編第1部・昭和編第1部)、山村恵一(大正編第2部、昭和編第2部)
  • 記録・編集 - 城島純一
  • 演出 - 江口浩之(明治編・大正編第1部、昭和編第2部)、秋山茂樹(大正編第2部)、山本秀人(昭和編第1部)

放映リスト

いずれも土曜19:30 - 21:00に放送。

話数 放送日 サブタイトル
1 1991年
10月5日
明治編・第1部 北へ行く旅人たち
2 10月12日 明治編・第2部 大地に立つ
3 1992年
5月2日
大正編・第1部 母よ、娘よ
4 5月9日 大正編・第2部 裸足の女たち
5 9月19日 昭和編・第1部 女のいくさ
6 9月26日 昭和編・第2部 時の彼方へ
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土曜ドラマ
※ 特記がない限りは21時放送、「*」…20時放送。「★」…22時放送。
 
第1次(1975年 - 1984年)
1975年 - 1979年

遠い接近 - 中央流沙 - 愛の断層 - 事故 - この町の人 - 愛染かつら - 生ける人形 - 浪華悲歌 - 限りなき前進 - 男たちの旅路(第1部) - 花に棲む - 寺島町奇譚 - 紅い花 - 閃光の遺産 - 高層の死角 - 轢き逃げ - 暗い落日 - 男たちの旅路(第2部) - 堂々たる打算 - およね平吉時穴道行 - 終りなき負債 - もしも・あの時 - 棲息分布 - 最後の自画像 - 依頼人 - たずね人 - 男たちの旅路(第3部) - 虹の花 - 優しい時代 - 兄とその妹 - 出来ごころ - 人情紙風船 - 十字路 第一部 - 天城越え - 虚飾の花園 - 一年半待て - 火の記憶 - 十字路 第二部 - 阿修羅のごとく - 死にたがる子 - 血痕追跡 - 四角な船 - 失楽園'79 - 大阪親不孝通り - 大阪発-あした - 男たちの旅路(第4部) - 素直な戦士たち

1980年 - 1984年

阿修羅のごとく パート2 - 離婚 - 天才画の女 - 空白の900分―国鉄総裁怪死事件― - 暁は寒かった―誰かが母を殺した日― - さらばきらめきの日々 - 魂の夏 - 蛇蝎のごとく - わが青春のブルース - 踊る - 君はまだ歌っているか - タクシー・サンバ - 価格破壊 - けものみち - 大阪ドン・キホーテ - 横浜物語 - 遠雷と怒涛と - 噂になった女たち - 私の父の反乱 - 希望 - 翔べ!南十字星号 - 追跡 - 白き抗争 - 欲望 - 日だまり - 波の塔 - 話すことはない - 華族の女 - わたしの名は女です - 青春スクランブル

 
第2次(1988年 - 1998年)
1988年 - 1989年

結婚する手続き - カイワレ族の戦い - 十九歳 - ときめき宣言 - 翔べひよっ子 - 夕陽をあびて - 兄弟 〜あにおとうと〜

1990年 - 1994年

別の愛 - 家族の値段 - 恋愛模様 - 理想の男性 - 新十津川物語 明治編 - チロルの挽歌 - - 新十津川物語 大正編 - 新・王将 - オバサンなんて呼ばないで! - 恐怖の航海 - 潮風のサラ - 春むかし - 新十津川物語 昭和編 - 愛を忘れないで - 流れてやまず - 地球をダメにする50のかんたんな方法 - パパ嘘だと言って - 推定有罪 - とおせんぼ通り - 欅の家 - 大草原に還る日 - 私が愛したウルトラセブン - 消えた金塊ブリンクス・マット強奪事件 - パパとアリスの奮戦記 - ミス・ローズ・ホワイトの秘密 - 春の一族 - 系列(パート1) - オバサン、咲いた! - 三十三年目の台風 - がんばらんば 〜平成の島原大変〜 - 勇士たちの帰郷 - 街角 - エトロフ遥かなり - 愛が聞こえます - 聞こえるかい心の歌が - 五右衛門 - 銀行 男たちのサバイバル - 否認 - 幸福の条件 - 米田家の行方 - 北山一平 アイラブ人生 - 黄昏の甘い恋歌ときめき御用達・おぼっちゃまは元気印! - 系列(パート2) - 秋の一族 - 和菓子の味 - 妻よ

1995年 - 1998年

もうひとつの家族 - ゼロの焦点 - 放送記者物語 - 涙たたえて微笑せよ-明治の息子・島田清次郎 - 鏡の調書天使が街にやってきた - 家族旅行 - 天上の青 - 遠い国からの殺人者 - 八月の叫び - 刑事 蛇に横切られる - 新宿鮫 〜無間人形〜 - メナムは眠らず - されど、わが愛 - 天空に夢輝き 〜手塚治虫の夏休み〜 - やらまいか! - 夏の一族 - ストックホルムの密使 - 百年の男鯉のように百年生きろ - 一日三回食後に服用・よひんびん物語 - 大地の子 - 最後の弾丸 - 官僚たちの夏 - ランタナの花の咲く頃に - 水辺の男 - ぜいたくな家族 - 照柿 - 病院 - ちいさな大冒険 - 我等の放課後 - 秋の選択 - 憲法はまだか - 女にも七人の敵 - 新宿鮫 〜屍蘭〜 - おごるな上司! - うどんとビデオ - いのちの事件簿 〜福祉の最前線でケースワーカーは今〜 - 風のねがい - もうひとつの心臓 - 女たちの帝国 - 唄を忘れたカナリヤは… - 生前予約〜現代葬儀事情 - スズキさんの休息と遍歴 - 熱の島で〜ヒートアイランド東京 - 極楽遊園地 - 流通戦争 - 新宿鮫 〜毒猿〜 - 黄昏流星群〜恋をもう一度 - 風になれ鳥になれ - ラスト・イニング

 
第3次(2005年 - 2011年)
2005年 - 2009年

クライマーズ・ハイ - 氷壁 - 繋がれた明日 - マチベン - ディロン〜運命の犬 - 人生はフルコース - 新・人間交差点 - クライマーズ・ハイ(再) - 魂萌え! - ウォーカーズ〜迷子の大人たち - ディロン〜クリスマスの約束 - ちゅらさん4 - スロースタート - ハゲタカ - 病院のチカラ〜星空ホスピタル〜 - こんにちは、母さん - 新マチベン 〜オトナの出番〜 - 勉強していたい! - ジャッジ 〜島の裁判官奮闘記〜 - ひとがた流し - フルスイング - 刑事の現場 - トップセールス - 監査法人 - 上海タイフーン - ジャッジII 島の裁判官 奮闘記 - 刑事の現場(再) - 遥かなる絆 - 風に舞いあがるビニールシート - リミット -刑事の現場2- - 再生の町 - チャレンジド - 外事警察

2010年 - 2011年

君たちに明日はない - チェイス〜国税査察官〜 - 鉄の骨 - チャンス - TAROの塔 - チャレンジド 〜卒業〜

 
第4次(2013年 - )
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年

母、帰る〜AIの遺言〜 - みかづき - 浮世の画家 - デジタル・タトゥー - サギデカ - 少年寅次郎 - みをつくし料理帖スペシャル

2020年

心の傷を癒すということ - 三浦部長、本日付けで女性になります。 - 路〜台湾エクスプレス〜 - 天使にリクエストを〜人生最後の願い〜 - ノースライト

2021年
2022年
2023年
2024年
 
土曜ドラマスペシャル(2011年 - 2013年、2017年 - 2019年)
2011年

神様の女房 - 使命と魂のリミット - 蝶々さん〜最後の武士の娘〜 - 真珠湾からの帰還

2012年
2013年

メイドインジャパン - 火怨・北の英雄 アテルイ伝(BSプレミアムの再放送)

2017年
2018年

炎上弁護人

2019年

ベトナムのひかり〜ボクが無償医療を始めた理由〜

カテゴリ カテゴリ

脚注

  1. ^ a b c 北へ行く旅人たち 新十津川物語(川村たかし 偕成社 1977年) - 財団法人大阪国際児童文学館 子どもの本100選
  2. ^ フキ像は向かい合っていなかった 二つの「十津川」を巡る絆の物語<デジタル発> - 北海道新聞
  3. ^ 奈良県郷土資料4 つり橋の村 - 奈良県教育委員会
  4. ^ a b c d e f g h i j k 「NHKスペシャルドラマ『新十津川物語』製作リポート/浪川喜一」『映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering』第482号、日本映画テレビ技術協会、1992年10月1日、18 - 23頁、NDLJP:4433263/17。 
  5. ^ NHKドラマ「新十津川物語」特別アンコール放送 - 北海道150年事業公式サイト(Internet Archive)
  6. ^ “ドラマ 新十津川物語・昭和編〔1〕 女のいくさ”. 放送ライブラリ公式ページ. 2021年4月22日閲覧。

外部リンク