等温定圧集団

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等温定圧集団(とうおんていあつしゅうだん、: isothermal–isobaric ensemble)は、一定の温度 T および一定の圧力 P を維持する統計力学的集団(アンサンブル)である。粒子の数 N も一定に保たれるため、NPT アンサンブルとも呼ばれる。化学反応は通常一定の圧力条件下で行われるため、この集団は化学において重要な役割を果たしている[1]分配関数は、正準集団 Z(N, V, T) の分配関数の加重和(あるいはラプラス変換)として次のように書くことができる:

Δ ( N , P , T ) = 0 Z ( N , V , T ) exp ( β P V ) C   d V . {\displaystyle \Delta (N,P,T)=\int _{0}^{\infty }Z(N,V,T)\exp(-\beta PV)C\ dV.}

上式において、β = 1/kBT逆温度kBボルツマン定数)、V は系の容積である。

正規化因子 C には複数の候補が存在する(例えば、C = N/VC = βP )。これらの選択肢により分配関数が無次元の量となる。熱力学的極限、すなわち粒子数が無限大の極限において差は消失する。

この集団の特性関数はギブスの自由エネルギーである:

G ( N , P , T ) = k B T ln Δ ( N , P , T ) . {\displaystyle G(N,P,T)=-k_{B}T\ln \Delta (N,P,T).}

この熱力学ポテンシャルはヘルムホルツの自由エネルギー F(正準分配関数の対数)と結び付いている[1]

G = F + P V . {\displaystyle G=F+PV.}

またプランク関数 Φ = −G/T とも次式で結ばれる[2]

Φ ( N , P , β ) = k B ln Δ ( N , P , 1 / k B β ) . {\displaystyle \Phi (N,P,\beta )=k_{B}\ln \Delta (N,P,1/k_{B}\beta ).}

脚注

  1. ^ a b Dill, Ken A.; Bromberg, Sarina; Stigter, Dirk (2003). Molecular Driving Forces. New York: Garland Science 
  2. ^ 久保亮五 編『大学演習 熱学・統計力学』(修訂)裳華房、1998年、215頁。ISBN 4-7853-8032-2。 
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