高床式住居

ラオス南部アッタプー県にある高床住居の事例。

高床式住居(たかゆかしきじゅうきょ)または高床住居(たかゆかじゅうきょ)は、を地表面や水面より高い位置に構築する高床建物の1つで、住居として使用されたものをいう[1]。なお今日の日本考古学界では「高床倉庫(建物)」や「竪穴住居(建物)」と呼ばれていたものが「高床倉庫(建物)」や「竪穴住居(建物)」となるのと同様に「式」を付けた呼び方はあまり用いられなくなっている[注釈 1]。杭上住居とも呼ばれる[3]

概要

平地建物竪穴建物には、壁立式で掘立柱を用いるものがあるが、高床住居は壁立式の側壁を用いない掘立柱建物である。中国南部・東南アジアなどの熱帯地域[4][5]シベリア北アメリカ南アメリカなどにみられる。

高床住居は、床面が地面、水面から離れているため、主に熱帯地域で発生する大雨による洪水被害を避けたり、シベリア地方では、暖房の熱で溶けた床下の永久凍土による建物の傾きを軽減するなどの自然災害による被害を避けるはたらきがある。通気性にもすぐれ、高温多湿な気候でも涼しく過ごすことができる。また虫や野生動物の侵入を防ぐのにも有効である。

  • 棚屋
  • ケロン(英語版) - フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールなど
  • Bahay kubo(英語版) -フィリピン
  • ルマー・アダット(英語版) - インドネシアの伝統的家屋
  • ルマー・ムラユ(英語版) - マレー人の伝統的家屋
  • アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
高床式の水上家屋
  • コンポンプルック(英語版)[6]

画像集

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 2010年代に文化庁が発行した『発掘調査のてびき』では、これらの建物遺構は「式」を付けない表記に統一されている[2]

出典

  1. ^ 石野 2006, p. 12.
  2. ^ 文化庁文化財部記念物課 2013, pp. 117–224.
  3. ^ 『杭上住居』 - コトバンク
  4. ^ 周 1987, pp. 901–978.
  5. ^ 梶本, 脇田 & 上段 2012, pp. 275–282.
  6. ^ 『コンポンプルック』 - コトバンク

関連文献

  • 周, 達生「中国の高床式住居:その分布・儀礼に関する研究」『国立民族学博物館研究報告』第11巻第2号、1987年、901-978頁、doi:10.15021/00004360。 
  • 石野, 博信『古代住居のはなし(復刊版)』吉川弘文館〈歴史文化セレクション〉、2006年10月20日。ISBN 4642063021。 NCID BA78777927。 
  • 梶本, 希、脇田, 祥尚、上段, 貴浩「プノンペン(カンボジア)都心部における高床式住居の空間変容」『日本建築学会計画系論文集』第77巻第672号、2012年、275-282頁、doi:10.3130/aija.77.275。 
  • 文化庁文化財部記念物課「遺構の発掘」『発掘調査のてびき』同成社〈集落遺跡調査編第2版〉、2013年7月26日、117-224頁。ISBN 9784886215253。 NCID BB01778935。 

関連項目

諸分野
関連分野
研究方法
考古資料
遺跡の保護と活用
カテゴリ カテゴリ