イボンヌ・グーラゴング

イボンヌ・グーラゴング
Evonne Goolagong
イボンヌ・グーラゴング
基本情報
フルネーム Evonne Fay Goolagong Cawley
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
出身地 同・ニューサウスウェールズ州グリフィス
生年月日 (1951-07-31) 1951年7月31日(72歳)
身長 168cm
体重 59kg
利き手
殿堂入り 1988年
ツアー経歴
デビュー年 1970年
引退年 1983年
ツアー通算 79勝
シングルス 68勝
ダブルス 11勝
生涯獲得賞金 1,399,431 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 優勝(1974-76・77(12月))
全仏 優勝(1971)
全英 優勝(1971・80)
全米 準優勝(1973-76)
優勝回数 7(豪4・仏1・英2)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 優勝(1971・74-76)
全仏 ベスト4(1971)
全英 優勝(1974)
全米 ベスト4(1972-74)
優勝回数 5(豪4・英1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 優勝(1972)
全英 準優勝(1972)
優勝回数 1(豪1)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 優勝(1971・73・74)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 1位(1976年4月26日)
テンプレート  ■プロジェクト テニス

イボンヌ・グーラゴングEvonne Goolagong, 1951年7月31日 - )は、オーストラリアニューサウスウェールズ州グリフィス出身の女子プロテニス選手。フルネームは Evonne Fay Goolagong Cawley (イボンヌ・フェイ・グーラゴング・コーリー)という。オーストラリア原住民・アボリジニの女子スポーツ選手として初の世界メジャー選手。「アボリジニ女性の星」と賞賛された。現役生活でシングルス92勝(うちWTAツアー大会は68勝、4大大会総計7勝を含む)、ダブルス11勝を挙げる。身長168cm、体重59kg、右利き。

来歴

イボンヌ・グーラゴングはアボリジニの貧しい家庭で、8人兄弟の3番目の子供として生まれた。彼女の家族はシドニー市の西方にある羊の牧場で、羊毛刈りの仕事に携わっており、テニスとは全く無関係であった。ある時、同じバレラン(Barellan)の町に住んでいた人が、フェンス越しに近くのテニス・コートを眺めていたイボンヌを見つけ、テニスを勧めたのがテニスをはじめるきっかけとなった。その後、シドニー市でテニス・スクールを経営していたコーチのビクトル・エドワーズ(Victor Edwards)がイボンヌの才能を称賛し、彼女の両親を説得する。こうしてイボンヌはバレランを出て、シドニーにあるエドワーズの養女となり、彼のコーチを受けるようになった。この師弟関係は、当時のテニス界で様々な話題を呼んだ。

彼女がテニス選手として最初に名声を得たのは1971年全仏オープンウィンブルドンで4大大会2連勝を飾った。両大会とも、決勝相手は同じオーストラリア選手で、全仏オープンの決勝ではヘレン・グーレイを 6-3, 7-5 で破り、ウィンブルドン決勝ではマーガレット・コートに 6-4, 6-1 で勝利した。しかし1972年はこの両大会で、2年連続の決勝進出を果たしながらも、ビリー・ジーン・キングに敗れ大会連覇を逃した。地元の全豪オープンでは1971年-1973年の3年連続で準優勝にとどまっていたが、1974年でついに初優勝を果たし、以後1977年まで大会4連覇を達成した。しかし、全米オープンでは、1973年-1976年の4年連続で準優勝と、タイトル獲得には至らなかった。

グーラゴングは1975年6月19日にロジャー・コーリーと結婚し、以後は夫の姓を併用して「イボンヌ・グーラゴング・コーリー」と名乗るようになった。テニスの公式記録では、1975年ウィンブルドンからこの名称で記載されている。 結婚直後の、1975年ウィンブルドンでは、決勝でビリー・ジーン・キングに敗れ、2度目の準優勝になる。翌1976年では、ウィンブルドンと全米オープンの2大会連続で決勝に進出するも、クリス・エバートに苦杯を喫した。1977年5月に長女が誕生するも、出産後直ちに競技生活に戻り、1977年12月の全豪オープンで大会4連覇を飾った。この年の全豪オープンは例年と異なり、年頭の1月開催と年末の12月開催の2度行われ、彼女が優勝したのは、12月大会である。決勝相手は、初めてのグランドスラム優勝した時と同じヘレン・グーレイで 6-3, 6-0 で勝利している。

1980年ウィンブルドンで、イボンヌ・グーラゴング・コーリーは9年ぶり2度目の優勝を達成する。大会第4シードであった彼女は、準決勝で当時の天才少女であった第2シードのトレーシー・オースチンを 6-3, 0-6, 6-4 で破り、4年ぶり5度目の進出となった決勝戦では第3シードのクリス・エバート・ロイドを 6-1, 7-6 のストレートで破って優勝した。母親の選手のウィンブルドンの女子シングルス優勝は大会史上初の快挙であり、さらには、彼女の競技生活最後の優勝となった。

イボンヌ・グーラゴングは女子テニス国別対抗戦「フェデレーション・カップ」(現在の名称はフェドカップ)でも長年オーストラリア代表として活躍し、1971年1973年1974年の3度オーストラリア・チームを優勝に導いた。1983年に32歳で現役を引退し、1988年国際テニス殿堂入り。1993年に『Home! The Evonne Goolagong Story』(イボンヌ・グーラゴング、オーストラリアへ帰る)という題名の自伝を発表し、地元でベストセラーとなった。

Evonne Goolagong

女子テニス協会によるコンピューター・ランキング制度は1973年にスタートしたが、その最初期にあたる1976年4月26日-5月9日の2週間、グーラゴングがコンピューター・ランキングの世界ランキング1位だったことが、長く忘れられていた。しかし、2007年12月、31年後にこの事実が明らかになり、グーラゴングは正式な「31年ぶりの世界ランキング1位認定」を受けるに至った。

4大大会優勝

  • 全豪オープン 女子シングルス:4勝(1974年-1977年)/女子ダブルス:4勝(1971年・1974年-1976年) [1977年の女子シングルス優勝は、12月開催]
  • 全仏オープン 女子シングルス:1勝(1971年)/混合ダブルス:1勝(1972年)
  • ウィンブルドン 女子シングルス:2勝(1971年・1980年)/女子ダブルス:1勝(1974年)
(全米オープン女子シングルスで4年連続準優勝、1973年-1976年)
大会 対戦相手 試合結果
1971年 全仏オープン オーストラリアの旗 ヘレン・グーレイ 6-3, 7-5
1971年 ウィンブルドン オーストラリアの旗 マーガレット・スミス・コート 6-4, 6-1
1974年 全豪オープン アメリカ合衆国の旗 クリス・エバート 7-6, 4-6, 6-0
1975年 全豪オープン チェコの旗 マルチナ・ナブラチロワ 6-3, 6-2
1976年 全豪オープン チェコの旗 レナータ・トマノワ 6-2, 6-2
1977年 全豪オープン オーストラリアの旗 ヘレン・グーレイ・コーリー 6-3, 6-0
1980年 ウィンブルドン アメリカ合衆国の旗 クリス・エバート・ロイド 6-1, 7-6

参考文献

  • Evonne Goolagong Cawley, “Home! The Evonne Goolagong Story” (イボンヌ・グーラゴング、オーストラリアへ帰る) Simon & Schuster Australia, NSW, Australia (1993) ISBN 0-7318-0381-7

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、イボンヌ・グーラゴングに関連するカテゴリがあります。
女子テニス協会シングルス世界ランキング1位

1975年11月3日のWTAランキング導入以降の記録 · (最初に在位した年-最後に在位した年 - 在位総週) · 2020年3月22日のランキング凍結時点
 
イボンヌ・グーラゴング 獲得タイトル

1969-71 · マーガレット・スミス・コート 1972 · バージニア・ウェード 1973 · マーガレット・スミス・コート 1974-76 · イボンヌ・グーラゴング (1977-1月) · ケリー・レイド (1977-12月) · イボンヌ・グーラゴング 1978 · クリス・オニール 1979 · バーバラ・ジョーダン 1980 · ハナ・マンドリコワ 1981 · マルチナ・ナブラチロワ 1982 · クリス・エバート・ロイド 1983 · マルチナ・ナブラチロワ 1984 · クリス・エバート・ロイド 1985 · マルチナ・ナブラチロワ 1986 · 大会開催なし 1987 · ハナ・マンドリコワ 1988-90 · シュテフィ・グラフ 1991-93 · モニカ・セレシュ 1994 · シュテフィ・グラフ 1995 · マリー・ピエルス 1996 · モニカ・セレシュ 1997-99 · マルチナ・ヒンギス 2000 · リンゼイ・ダベンポート 2001・02 · ジェニファー・カプリアティ 2003 · セリーナ・ウィリアムズ 2004 · ジュスティーヌ・エナン・アーデン 2005 · セリーナ・ウィリアムズ 2006 · アメリ・モレスモ 2007 · セリーナ・ウィリアムズ 2008 · マリア・シャラポワ 2009・10 · セリーナ・ウィリアムズ 2011 · キム・クライシュテルス 2012・13 · ビクトリア・アザレンカ 2014 · 李娜 2015 · セリーナ・ウィリアムズ 2016 · アンゲリク・ケルバー 2017 · セリーナ・ウィリアムズ 2018 · キャロライン・ウォズニアッキ 2019 · 大坂なおみ 2020 · ソフィア・ケニン 2021 · 大坂なおみ 2022 · アシュリー・バーティ 2023・24 · アリーナ・サバレンカ

全豪テニス選手権(1922–1968)女単 || 男単 | 男複 • 女複 • 混複
全仏テニス選手権(1925–1967)女単 || 男単 | 男複 | 女複 | 混複
イギリスの旗 ウィンブルドン(オープン化以後)女子シングルス優勝者

(1969) マーガレット・コート / ジュディ・テガート  (1970) マーガレット・コート / ジュディ・テガート  (1971) イボンヌ・グーラゴング / マーガレット・コート  (1972) ケリー・ハリス / ヘレン・グーレイ・コーリー  (1973) マーガレット・コート / バージニア・ウェード  (1974) イボンヌ・グーラゴング・コーリー / ペギー・ミシェル  (1975) イボンヌ・グーラゴング・コーリー / ペギー・ミシェル  (1976) イボンヌ・グーラゴング・コーリー / ヘレン・グーレイ・コーリー  (1977 (1月)) ダイアン・フロムホルツ / ヘレン・グーレイ・コーリー  (1977 (12月)) イボンヌ・グーラゴング・コーリー / ヘレン・グーレイ・コーリー & モナ・シャロウ=ゲラント / ケリー・メルヴィル・レイド   (1978) ベッツィ・ナゲルセン / レナータ・トマノワ  (1979) ジュディ・チャロナー / ダイアン・エバース  (1980) マルチナ・ナブラチロワ / ベッツィ・ナゲルセン  (1981) キャシー・ジョーダン / アン・スミス  (1982) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1983) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1984) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1985) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1985) 開催なし  (1987) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1988) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1989) マルチナ・ナブラチロワ / パム・シュライバー  (1990) ヤナ・ノボトナ / ヘレナ・スコバ  (1991) パティ・フェンディック / メアリー・ジョー・フェルナンデス  (1992) アランチャ・サンチェス・ビカリオ / ヘレナ・スコバ  (1993) ジジ・フェルナンデス / ナターシャ・ズベレワ  (1994) ジジ・フェルナンデス / ナターシャ・ズベレワ   (1995) ヤナ・ノボトナ / アランチャ・サンチェス・ビカリオ  (1996) チャンダ・ルビン / アランチャ・サンチェス・ビカリオ  (1997) マルチナ・ヒンギス / ナターシャ・ズベレワ  (1998) マルチナ・ヒンギス / ミリヤナ・ルチッチ  (1999) マルチナ・ヒンギス / アンナ・クルニコワ  (2000) リサ・レイモンド / レネ・スタブス  (2001) セリーナ・ウィリアムズ / ビーナス・ウィリアムズ  (2002) マルチナ・ヒンギス / アンナ・クルニコワ  (2003) セリーナ・ウィリアムズ / ビーナス・ウィリアムズ  (2004) ビルヒニア・ルアノ・パスクアル / パオラ・スアレス  (2005) スベトラーナ・クズネツォワ / アリシア・モリク  (2006) 晏紫 / 鄭潔  (2007) カーラ・ブラック / リーゼル・フーバー  (2008) アリョーナ・ボンダレンコ / カテリナ・ボンダレンコ  (2009) セリーナ・ウィリアムズ / ビーナス・ウィリアムズ  (2010) セリーナ・ウィリアムズ / ビーナス・ウィリアムズ   (2011) ヒセラ・ドゥルコ / フラビア・ペンネッタ   (2012) スベトラーナ・クズネツォワ / ベラ・ズボナレワ (2013) サラ・エラニ / ロベルタ・ビンチ   (2014) サラ・エラニ / ロベルタ・ビンチ   (2015) ベサニー・マテック=サンズ / ルーシー・サファロバ   (2016) マルチナ・ヒンギス / サニア・ミルザ  (2017) ベサニー・マテック=サンズ / ルーシー・サファロバ  (2018) ティメア・バボシュ / クリスティナ・ムラデノビッチ  (2019) サマンサ・ストーサー / 張帥  (2020) ティメア・バボシュ / クリスティナ・ムラデノビッチ  (2021) エリーズ・メルテンス / アリーナ・サバレンカ  (2022) バルボラ・クレイチコバ / カテリナ・シニャコバ  (2023) バルボラ・クレイチコバ / カテリナ・シニャコバ  (2024) 謝淑薇 / エリーズ・メルテンス

全豪テニス選手権(1922–1968)女複 || 男単 • 女単 | 男複 • 混複
イギリスの旗 ウィンブルドン(オープン化以後)女子ダブルス優勝者
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
  • 20 開催無し
  • 21 デシラエ・クラウチェク&ジョー・ソールズベリー
  • 22 ウェスリー・クールホフ&柴原瑛菜
  • 23 ティム・プッツ&加藤未唯
全仏テニス選手権(1925–1967)混複 || 男単 | 女単 | 男複 | 女複

2021: ガルビネ・ムグルサ
2022: キャロリン・ガルシア
2023: イガ・シフィオンテク

典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • FAST
  • ISNI
  • VIAF
国立図書館
  • ノルウェー
  • ドイツ
  • アメリカ
  • オーストラリア
学術データベース
  • CiNii Books
  • CiNii Research
人物
  • Australian Women's Register
  • Trove(オーストラリア)
    • 1