バラ

曖昧さ回避 この項目では、バラ科バラ属の植物のうち園芸種について説明しています。その他の用法については「バラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
曖昧さ回避 薔薇園」はこの項目へ転送されています。書籍については「薔薇園 (書籍)」をご覧ください。
バラ
ミセス・ハーバート・スティーブンス
ハイブリッド・ティー 1910年
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: バラ属 Rosa

バラ薔薇)は、バラ科バラ属の総称である[1][要ページ番号][2][要ページ番号][3][要ページ番号]。あるいは、そのうち特に園芸種(園芸バラ・栽培バラ)を総称する[1]が鑑賞用や食用とされる[4] )。本項では、後者の園芸バラ・栽培バラを扱うこととする。

バラ属の成形は、低木(灌木)、または木本性のつる植物で、や茎にを持つものが多い。葉は1回奇数羽状複葉。花は5枚の花びらと多数の雄蘂を持つ(ただし、園芸種では大部分が八重咲きである)。北半球温帯域に広く自生しているが、チベット周辺、中国雲南省からミャンマーにかけてが主産地で、ここから中近東ヨーロッパへ、また極東から北アメリカへと伝播した。南半球にはバラは自生しない。

名称

「ばら」の名は和語で、「いばら」の転訛したものと言われる。漢語「薔薇」の字をあてるのが通常だが、この語はまた音読みで「そうび」「しょうび」とも読む。漢語には「玫瑰」(まいかい)や「月季」(げっき)の異称もある[注 1]

ヨーロッパではラテン語rosa に由来する名で呼ぶ言語が多く、また同じ語が別義として「薔薇色」として「ピンク色」の意味をもつことが多い。

分類

バラ属」も参照

バラの分類方法は定まったものがなく、以下に示すのは一例である。 また、バラにはしばしば略式記号が用いられるため、それもともに記述する。

系統別の分類

原種

原産地別の原種
ロサ・カニナ
ロサ・グラウカ

主なもののみ。

  • ヨーロッパの原種
    • ロサ・アルバ(Rosa alba
    • ロサ・カニナRosa canina
    • ロサ・ガリカ(Rosa gallica
    • ロサ・キナモメナ(Rosa cinnamomea
    • ロサ・グラウカ(Rosa glauca
    • ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifolia
    • ロサ・スピノシッシマ(Rosa spinosissma
  • 中近東の原種
    • ロサ・フェティダRosa foetida
    • ロサ・フェティダ・ビコロール(Rosa foetida bicolor
    • ロサ・フェティダ・ペルシアナ(Rosa foetida persiana
    • ロサ・フェッチェンコアナ(Rosa fedtschenkoana
    • ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena
  • 中国の原種
  • 日本の原種
  • 北米の原種
    ロサ・カリフォルニカ
    • ロサ・キンナモメア(Rosa cinnamomea
    • ロサ・ニティダ(Rosa nitida
    • ロサ・カリフォルニカ(Rosa californica
    • ロサ・ヴィルギニアナ(Rosa virginiana
    • ロサ・パルストリス(Rosa palustris
品種改良に使用された原種
    • ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)(Rosa mulitiflora
    • ロサ・ウィクライアナ (テリハノイバラ)(Rosa wichuraiana
    • コウシンバラRosa chinensis
    • ロサ・ガリカ(Rosa gallica
    • ロサ・アルバ(Rosa alba
    • ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena
    • ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifola
    • ロサ・フェティダRosa foetida
    • ロサ・モスカータ(Rosa moschata
    • ロサ・ギガンティアRosa gigantea

園芸品種

スブニール・ドゥ・ラ・マルメゾン(O)
ガリカ
イングリット・バーグマン(HT)、剣弁高芯咲き。
グラハム・トーマス(ER)、オールドローズの花容に黄色の花色は画期的であった。
オールドローズ(O)

後述の「ラ・フランス」より前の品種をいう。野生の原種であるワイルドローズを含めるが、含めない場合もある。主な系列としてガリカ、ダマスク、アルバ、ケンティフォリア(センティフォリア)などがある。優雅な花形に豊かな香りが特徴である。また一季咲きのものが多い。

  • アルバ(Alba)(A)
  • ケンティフォリア(Centifolia)(C)
  • ダマスク(Damask)(D) - 香水などに利用される、香りの良い系統。
  • ガリカ(Gallica)(G) - 赤や桃色の品種。背丈が低く、香りのあるものが多い。
  • ブルボン(Bourbon)(B)
  • ノワゼット(Noisette)(N) - つる性の系統。
  • ティ(Tea)(T)
  • チャイナ(China)(Ch) - 背丈の低い系統。
  • モス(Moss)(M) - ケンティフォリアとダマスクの派生種、の様なものがつく。
  • ポートランド(Portland)(P)
  • ポリアンサ(Polyantha)(Pol) - 小型で連続開花性に優れ、房状に花をつける系統。フロリバンダの元となった品種。
  • ランブラー(Rambler)(R) - テリハノイバラを元に品種改良され、長くしなやかな枝を持つ系統。
  • エグラテリア・ローズ(Eglanteria Roses)
  • ハイブリッド・パーペチュアル(H.Perpetual)
  • ハイブリッド・フェティダ (H.foetida) (HFt)
  • ハイブリッド・マクランタ(H.Macrantha)
  • ハイブリッド・ムスク(H.Musk)(HMsk)
  • ハイブリッド・モエシー(H.Moyesii)(HMoy)
  • ハイブリッド・センパビエレン(H.Semperviren)
  • ハイブリッド・ムルティフローラ(H.Multiflora)(HMult)
  • ハイブリッド・ルゴサ(H.Rugosa)(HRg)
モダンローズ

後述の「ラ・フランス」以降に作出されたものを指す。

  • ハイブリッド・ティー(Hybrid Tea)(HT) - 木立性で四季咲きの品種。
  • フロリバンダ(Floribunda)(FもしくはFL) - 木立性で四季咲き、房状に花をつける。
  • ミニチュア(Miniature)(Min) - 小型の品種。
  • つるハイブリッド・ティー(Climbing Hybrid Tea)(CLHT) - ハイブリッド・ティーの枝変わり。
  • つるフロリバンダ(Climbing Floribunda)(CLFもしくはCLFL) - フロリバンダの枝変わり。
  • つるミニチュア(Climbing Miniature)(CLMin) - ミニチュアの枝変わり。
  • つる(Climbing)(CL)
  • シュラブ(Shrub)(SもしくはSh)
  • イングリッシュ・ローズ(English Roses) (ER) - 1969年デビッド・オースチンが発表した、世界初の四季咲き性品種シリーズ[5]。国際登録ではシュラブローズで登録。
  • 修景用(Landscape Roses)(LS)
  • ハイブリッド・コルデシー(H.Kordesii)

など

花弁の数による分類

  • コクテール(カクテル)(CL) 一重咲き。
    コクテール(カクテル)(CL) 一重咲き。
  • つるバラサリー・ホルムズ(CL) 原種を親に持つ、一重咲き。
    つるバラサリー・ホルムズ(CL) 原種を親に持つ、一重咲き。

花型による分類

  • セプタード・アイル(ER) カップ咲き。
    セプタード・アイル(ER) カップ咲き。
  • アブラハム・ダービー(ER) ロゼット咲き。
    アブラハム・ダービー(ER) ロゼット咲き。
  • 平咲き
  • カップ咲き
  • ロゼット咲き
  • クオーター咲き
  • ポンポン咲き
  • 剣弁高芯咲き
  • 半剣弁高芯咲き
  • 丸弁抱え咲き

花期による分類

  • 一季咲き
  • 返り咲き
  • 繰り返し咲き
  • 四季咲き

樹形による分類

  • 木立性 (ブッシュ)
  • 半つる性 (シュラブ)
  • つる性 (クライミング)

その他、小型つる性 (ショートクライマー)、大型つる性 (ロングクライマー)、枝垂れ状 (ランブラー)、匍匐性 (グラウンドカバー)など細かく分類される場合がある。

用途

花を鑑賞するため栽培されることが圧倒的に多いが、他にもダマスクローズ(Damask rose)の花弁から精油を抽出した「ローズオイル(Rose oil)」は、香水の原料やアロマセラピーに用いられる。

花弁を蒸留すると香水となるバラ油(ローズオイル)と副産物の液体「ローズウォーター(rose water)」が得られる。

ローズウォーター
ローズウォーターは、中東インドなどでデザートの香りづけ[6] に用いられるほか、化粧水としても利用される。宗教施設の清掃、中世においては医薬品・点眼薬ともされた[7]
食用としては、農薬のかかっていない花弁をエディブル・フラワーとして生食したり、花弁をジャムや砂糖漬けに加工したり、乾燥させてハーブティーとして飲用し香りを楽しむ。また、乾燥した花弁をガラムマサラに調合したり、ペルシャ料理では薬味として用いる。

またバラの実である「ローズヒップ」は、ビタミンCを多量に含み強い酸味がある。花弁と同様に、ローズヒップオイルやローズヒップティーとして利用される。

栽培の歴史

西洋

バラが人類の歴史に登場するのは古代バビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』である。この詩の中には、バラの棘について触れた箇所がある[8]

紀元前1500年頃の古代オリエントの地では約4種の野生バラがあり、ここから交雑によっていくつかの品種が誕生したといわれている[9]。バラはギリシャ時代を経て古代ローマへと伝播し、ヨーロッパの文化に定着することとなる[9]

古代ギリシアローマでは、バラは愛の女神アプロディテもしくはウェヌス(ヴィーナス)と関係づけられた[8]。また香りを愛好され、香油も作られた。プトレマイオス朝エジプトの女王クレオパトラはバラを愛好し[8]ユリウス・カエサルを歓待したときもふんだんにバラの花や香油を使用したと伝えられている。

ローマにおいてもバラの香油は愛好され、北アフリカや中近東の属州で盛んにバラの栽培が行われた。クレオパトラと同様にバラを愛した人物に、暴君として知られる第5代ローマ皇帝ネロがいる[8]。彼がお気に入りの貴族たちを招いて開いた宴会では、庭園の池にバラが浮かべられ、バラ水が噴き出す噴水があり、部屋はバラで飾られ、皇帝が合図をすると天井からバラが降り注ぎ、料理にもバラの花が使われていたと伝えられる。

中世ヨーロッパではバラの美しさや芳香が「人々を惑わすもの」としてキリスト教会によってタブーとされ、修道院薬草として栽培されるにとどまった[8]

イスラム世界では、白バラはムハンマドを表し、赤バラが唯一神アッラーを表すとされた。また、香油などが生産され愛好された。『千夜一夜物語』などやウマル・ハイヤームの『ルバイヤート』にもバラについての記述がある。

十字軍以降、中近東のバラがヨーロッパに紹介され、ルネサンスの頃には再び人々の愛好の対象になった。イタリアボッティチェッリの傑作「ヴィーナスの誕生」においてもバラが描かれ、美の象徴とされているほか、ダンテの『神曲』天国篇にも天上に聖人や天使の集う純白の「天上の薔薇」として登場する。またカトリック教会聖母マリアの雅称として「奇しきばらの花」(Rosa Mystica)と呼ぶようになる。

バラの母ジョゼフィーヌ皇后

ナポレオン・ボナパルト皇后ジョゼフィーヌはバラを愛好し、夫が戦争をしている間も、敵国とバラに関する情報交換や原種の蒐集をしていた。ヨーロッパのみならず日本や中国など、世界中からバラを取り寄せマルメゾン城に植栽させる一方、ルドゥーテに「バラ図譜」を描かせた[8]

このころにはアンドレ・デュポンによる人為交配(人工授粉)による育種の技術が確立された[8]。ナポレオン失脚後、またジョゼフィーヌ没後も彼女の造営したバラ園では原種の蒐集、品種改良が行われ、19世紀半ばにはバラの品種数は3千種を超え、これが観賞植物としての現在のバラの基礎となった。

モダンローズの誕生

ハイブリッド・ティー(HT)系の誕生

1867年フランスのギョーがハイブリッド・パーペチュアル系の「マダム・ビクトル・ベルディエ」を母にティー系の「マダム・ブラビー」を交配して「ラ・フランス」を作出し、これがモダンローズの第1号となり、品種改良が一層進むことになった。「ラ・フランス」が冬を除けば一年中花を咲かせる性質は「四季咲き性」といわれ、画期的なものであった。

英国のベネットはこれに追随し、ティー系「デボニエンシス」とハイブリッド・パーペチュアル系「ビクトール・ベルディエ」を交配し、「レディ・マリー・フィッツウィリアム」を1882年に作り出し、これを新しいバラの系統として「ハイブリッド・ティー」系と命名した。ベネットの新品種は整った花容から、交配の親として広く利用されていった。

黄色いバラの誕生

当時のハイブリッド・ティー系には純粋な黄色の花はなかった。そこで、黄色のハイブリッド・ティー系の品種を作り出すことが課題とされた。1900年にフランスのジョセフ・ペルネ=デュシェ (Joseph Pernet-Ducher) が「アントワーヌ・デュシェ」の実生に原種の「ロサ・フェティダ(オーストリアン・イエロー)」をかけあわせて「ソレイユ・ドール」を作出、黄バラ第1号となった。しかし「ソレイユ・ドール」は「四季咲き性」がないので、一層の改良が加えられ、1907年には四季咲き性の「リヨン・ローズ」、さらに1920年には完全な黄色のバラ「スブニール・ド・クロージュ」を完成させた。ドイツのコルデスは「スブニール・ド・クロージュ」の子の「ジュリアン・ポタン」から1933年に「ゲハイムラート・ドイスゲルヒ(ゴールデン・ラピチュア)」を作出した。これが今の黄色のバラの親である。

欧米での品種改良の進展

コルデスは黄色のみならず、赤バラの改良にも尽力した。1935年に「クリムゾン・グローリー」を作り出し、これが後世の赤バラの品種改良に広く利用されることになる。英国では1912年に「オフェリア」を発表、花容、芳香に優れるだけでなく実をつけ易いことから、多くの品種の親になる。このようなヨーロッパでの品種改良は、第二次世界大戦で中断する。品種改良の中心は、戦火に見舞われないアメリカ合衆国に移る。1940年にラマーツが「クリムゾン・グローリー」から「シャーロット・アームストロング」を作り出し、フランスのメイアンの「マダム・アントワーヌ・メイアン」がアメリカで「ピース」と名づけられ、1945年に売り出された。「ピース」は大きな花をつけることから「巨大輪」と呼ばれ、品種改良に利用されるとともに、戦後のバラの流行を作り出すことになる。

フロリバンダ系(FL)の誕生

デンマークのポールセン兄弟が従来ある「ドワーフ・ポリアンサ系」の花を大きくし、北ヨーロッパの寒さに耐えられる品種を作出しようとしていた。1911年にポリアンサ系の「マダム・ノババード・レババースル」とランブラー系の「ドロシー・パーキンス」をかけ合わせ「エレン・ポールセン」を作り出し、続く1924年にはポリアンサ系の「オルレアンローズ」とハイブリッド・ティー系「レッドスター」の交配で「エルゼポールセン」「キルステンポールセン」などを出し、「ハイブリッド・ポリアンサ系」と命名された。

これを受けて、アメリカのブーナーなどが改良を続け、この系統は「フロリバンダ(英語版)系」と命名された。さらにドイツのコルデスが1940年に「ピノキオ」を発表した。ブーナーがこれに追随して「レッド・ピノキオ」「ラベンダー・ピノキオ」を発表し、これがフロリバンダ系の完成と言われる。

その後、フロリバンダ系の改良は色の多様性を求めることに重点がおかれ、1944年にはドイツのタンタウが「フロラドラ」、1949年ブーナーが「マスケラード」を、1951年にコルデスが「インデペンデンス」を作出した。「フロリバンダ系」は新しい系統であるが、切り花ではスプレーバラとして利用されるため、多くの品種が作り出されることとなった、またハイブリッド・ティーとの交配も試みられ、ますます多様性を強めている。

青いバラへの挑戦

「青いバラ (サントリーフラワーズ)」も参照

青い色素を持つ原種バラは発見されておらず、交配育種法では完全に青いバラの作出は不可能とされてきた。いくつかの品種は「青バラ」と呼ばれるが、それらは主に赤バラから赤い色素を抜くことで紫や藤色といった青系色にしたものである。

しかし、純粋な青さを湛えたバラを作り出すことは、青いチューリップと同様に世界中の育種家の夢であり、各国で品種改良競争が行われた。オールド・ローズでは「カーディナル・ド・リシュリュー」が青バラとして知られていた。1957年、アメリカのフィッシャーが「スターリング・シルバー」を出し青バラの決定版とされた。しかし、その後も品種改良がなされ、1957年にはタンタウが一層青い「ブルームーン」を、コルデスが1964年に「ケルナーカーニバル」、1974年にフランスのメイアンが「シャルル・ド・ゴール」を発表した。日本でも青いバラに対する挑戦は盛んで、今日までに数多くの品種が生み出され、世界でも注目を浴びている。2008年現在、一般的な交配による品種改良では、岐阜県の河本バラ園が2002年に発表した「ブルーヘブン」、アマチュア育成家である小林森治が1992年に発表した「青龍」や2006年に発表した「ターンブルー」等が、青に近い品種として知られている。

一方、サントリーの福井祐子らの研究により、バラ独自の青い色素が発見され[10]、「ロザシアニン」(Rosacyanin) と命名された。しかし、この色素を持つ「青龍」は花粉をほとんど出さないために、交配親としては不向きとされており、遺伝子操作に頼らない青バラへの道は依然険しく長いままではある。

中国

中国のの末期の詩人高駢821年-887年)の七言絶句『山亭夏日』には薔薇(しょうび)としてバラが詠まれている[11][要文献特定詳細情報][12][13]。『和漢古典植物名精解』によると「牆薇 (墻薇・薔薇)」という表記の起源について考察がある[14]

中国の庭園で伝統的に栽培されたバラは8種である[9]18世紀に中国を旅したヨーロッパ人が中国庭園で見たバラは、灌木性で四季咲き、多くは重弁の品種群であった[9]。特に華中地域では優れたバラ類が庭園に栽培されており、ヨーロッパにも持ち込まれた[15]

カール・フォン・リンネ1753年、ロサ・インディカ(R. indica) について年報『植物の種Species Plantarum に掲載した[16]。またジャカン1768年ロサ・キネンシスR. chinensis) について植物誌『Observationum Botanicarum Pars III』に記載した[16][注 2]。これらは赤花の園芸品種であったが、近縁の品種であったと考えられている[16]。中国のバラはヨーロッパに先んじて日本へも伝来した[16]

詳細は「ロサ・キネンシス」を参照

日本

近代以前

日本はバラの自生地として世界的に知られており、品種改良に使用された原種のうち3種類(ノイバラ[17]テリハノイバラハマナス)は日本原産である。ノイバラの果実は利尿作用があるなど薬用として利用された[注 3]

古くバラは「うまら」「うばら」と呼ばれ[14]、『万葉集』にも「みちのへの茨(うまら)の末(うれ)に延(ほ)ほ豆のからまる君をはかれか行かむ」という歌がある[19]。『常陸国風土記』の茨城郡条には、「穴に住み人をおびやかす土賊の佐伯を滅ぼすために、イバラを穴に仕掛け、追い込んでイバラに身をかけさせた」とある。常陸国にはこの故事にちなむ茨城(うばらき)という地名があり、茨城県の県名の由来ともなっている[20]

また、中国で栽培されていたバラもその多くは江戸時代までに日本に渡来している[9]。江戸時代には身分・職業を問わず園芸が流行したが、中国原産のバラであるモッコウバラコウシンバラなどが園芸品種として栽培されていた。江戸時代に日本を訪れたドイツ人ケンペルも「日本でバラが栽培されている」ことを記録している。また与謝蕪村が「愁いつつ岡にのぼれば花いばら」の句を残している。

明治以後

このように日本人にゆかりのある植物であるが、バラが日本でも愛好されるようになるのは明治以降である。

明治維新を迎えると、明治政府は「ラ・フランス(和名:天地開) 」を農業試験用の植物として取り寄せ、青山官制農園(現:東京大学農学部)で栽培させた。香りを嗅ごうと見物客がしばしば訪れたので、株には金網の柵がかけられたという。

その後、バラが接ぎ木で増やせることから、優秀な接ぎ木職人のいる東京郊外の埼玉県川口市安行や、京阪神郊外の兵庫県宝塚市山本で栽培が行われるようになった。バラは皇族華族、高級官僚といったパトロンを得て、日本でも徐々に愛好され始め、生産量も増え始めた。

大正から昭和の頃に普及し、宮沢賢治が「グリュース・アン・テプリッツ(和名:日光) 」を愛し、北原白秋の詩にもバラが登場するなど、日本文学においてバラが題材とされることも増えた。

しかし第二次世界大戦下では、日本でもバラなどの花卉より野菜などの栽培が優先され、生産は一旦停滞した。

戦後

戦後すぐの1948年には東京・銀座でバラの展示会が開かれた。さらに1949年には神奈川県横浜市でバラの展示会が開かれ、そのときにはアメリカから花を空輸して展示用の花が揃えられた。鳩山一郎吉田茂などのバラ愛好家は戦後日本でのバラの普及に貢献した。高度経済成長の波に乗って日本でもバラは普及し、農業試験場を中心に品種改良が行われるようになった。また戦後進められたインフラ整備の一環として、公立・私立の植物園公園等が全国各地に設置され、その中にはバラ園で知られる施設もある。

戦後個人栽培家が増えると、ハイブリッドティーの花の出来栄えを競うコンテストが盛んに行われた。これは菊の品評会と同様に栽培技術を競うもので、栽培技術の向上につながった。バラは切り花としても普及し、日本においても花卉としてバラはキクカーネーションと並ぶ生産高があり、ハウス栽培で年中市場に供給されている。近年は一般家庭でもガーデニングが流行し、オールドローズなどが植栽素材として再び注目を集め、多くの人に愛好されるようになった。

大手私鉄の参入

1950年代には、大手私鉄各社が沿線開発の一環としてバラ園の造営を行うようになり、各地にバラ園が開園された。

京阪電気鉄道は戦前から大阪府枚方市菊人形の展示などを行っていたが、秋の風物である菊に対し、春の風物としてバラ園を開園し集客を図ることとした。同社は「東洋一のバラ園」の造園を企画し、当時は日本人でただ一人の英国園芸協会会員で、バラの導入や品種改良で実績のあった岡本勘治郎をバラ園造営の監督に迎えた[21]1955年に京阪ひらかた園芸企画(現:京阪園芸)を設立、同年12月23日ひらかたパーク内に「ひらかた大バラ園」を開園した[22]。現在は「ひらかたパーク・ローズガーデン[23]」の名称で営業している。

関東でも同時期に、京成電鉄が戦前から千葉県習志野市で直営していた遊園地「谷津遊園」内に、1957年にバラ園を開園。谷津遊園でも秋には菊人形展が行われていた。1959年には京成バラ園芸を設立するとともに、千葉県八千代市に「京成バラ園」を開園した[24]。谷津遊園の閉鎖後もバラ園は習志野市営「谷津バラ園」として残されている。

続いて小田急電鉄の直営遊園地「向ヶ丘遊園」にも1958年に「ばら苑」が開園。向ヶ丘遊園の閉鎖後は川崎市により「生田緑地ばら苑」として保全されている。また東京都調布市にあった京王帝都電鉄の直営遊園地「京王遊園」に1952年に開園した東京菖蒲園(のち京王百花苑)は1997年に「京王フローラルガーデンANGE」としてリニューアルされ「ローズガーデン」が設置された(2021年閉鎖)。

大手私鉄系園芸・造園会社の中でも、とりわけ京阪園芸と京成バラ園芸の2社は、沿線観光施設としてバラ園を運営するだけでなく、バラの育種も手がけ新品種を多数作出している。このように農業試験場や種苗会社だけでなく、鉄道事業者がバラの育種を牽引している点は日本の特徴である。

バラ生産

バラ園

バラ園はバラを育てて展示鑑賞するための庭園。

詳細は「ローズ・ガーデン」および「:en:Rose garden」を参照

日本のバラ園は以下を参照。

バラの施設一覧を表示するには右の [表示] をクリックしてください。

日本

  • はぼろバラ園
    はぼろバラ園
  • いわみざわ公園バラ園
    いわみざわ公園バラ園
  • 生田緑地ばら苑
    生田緑地ばら苑
  • ぎふワールド・ローズガーデン
    ぎふワールド・ローズガーデン
  • 荒牧バラ公園
    荒牧バラ公園
  • 大阪府立花の文化園
    大阪府立花の文化園

北海道

東北

関東(東京を除く)

東京

甲信越

  • 寺尾中央公園 バラ園(新潟県新潟市西区)
  • 冬鳥越スキーガーデン バラ園(新潟県加茂市大)
  • お杉ばら園(新潟県新潟市西蒲区
  • 二宮家バラ園(新潟県北蒲原郡聖籠町
  • 国営越後丘陵公園 バラ園(新潟県長岡市
  • 小平花木園 バラ園(長野県上伊那郡箕輪町
  • 山梨県立フラワーセンターハイジの村ヨーロピアン・ローズガーデン「バラ回廊」(山梨県北杜市明野町)
  • みさかの湯 ローズガーデン(山梨県笛吹市御坂町)
  • 河口湖音楽と森の美術館 ローズガーデン(山梨県南都留郡富士河口湖町
  • 芸術の森公園 バラ園(山梨県甲府市貢川)
  • 東光寺バラ園(甲府TDK跡地のバラ)(山梨県甲府市東光寺町)
  • TDK株式会社旧甲府工場 バラ園(山梨県南アルプス市
  • 石和温泉駅前バラ花壇(山梨県笛吹市石和町)
  • 山梨ワイン王国 ローズガーデン(山梨県甲府市猪狩町)
  • ハーブ庭園旅日記 ローズガーデン(山梨県甲州市勝沼町)
  • ローズガーデンフェアリーテイルズ(山梨県北杜市高根町)
  • 一本木公園 バラ園(長野県中野市)− 別名バラ公園。1984年(昭和59年)に開園した後、須坂市在住の元高校教諭黒岩喜久雄が40年をかけて個人で蒐集していたバラ180種180株を寄贈。度々バラ苗を追加して寄贈するかたわら、公園のバラの管理にもボランティアで積極的に関わった。現在は570種1200株が植栽され、春と秋の年2回バラまつりが開催されている。指定管理者団体の「一本木公園バラの会」が「信州一」といわれる[誰?]園の維持管理にあたっている。
  • しんわの丘ローズガーデン(長野県伊那市高遠町)
  • 軽井沢タリアセン バラ園(長野県北佐久郡軽井沢町
  • 豊科近代美術館 バラ園(長野県安曇野市豊科)
  • 信州夢ばらの里(長野県埴科郡坂城町
  • 夢ハーベスト農場ハーブ&ローズガーデン(長野県小諸市八満)
  • さかき千曲川バラ公園(長野県埴科郡坂城町)
  • 蓼科高原 バラクラ イングリッシュ ガーデン(長野県茅野市北山栗平)
  • みらいバラ園(長野県伊那市長谷黒河内)
  • メルヘンローズガーデン(長野県上水内郡信濃町)
  • 軽井沢レイクガーデン バラ園(長野県北佐久郡軽井沢町)
  • 南信州四季彩の丘スイートガーデン バラ園(長野県飯田市山本)

東海

  • 虹の郷 バラ園(静岡県伊豆市
  • 島田市ばらの丘公園(静岡県島田市) - 350種類、日本第6位の約8700株を栽培。
  • アカオハーブ&ローズガーデン(静岡県熱海市熱海)
  • エルローザ杉山バラ園(静岡県駿東郡清水町)
  • おかみさんのバラ園(静岡県伊豆の国市
  • はままつフラワーパーク ローズガーデン(静岡県浜松市中央区)
  • リビングローズガーデン御殿場(静岡県御殿場市深沢)
  • 河津バガテル公園ローズガーデン(静岡県賀茂郡河津町) - 日本第3位の1100品種を栽培。規模は約5000本。
  • 原里ばら園(静岡県御殿場市)
  • 天城高原ベゴニアガーデン内ローズガーデン(静岡県伊東市天城高原 天城東急リゾート)
  • 田貫湖ハーバル・ガーデン バラ園(静岡県富士宮市猪之頭)
  • 磐田農業高校 バラ園(静岡県磐田市中泉)
  • 浜名湖ガーデンパーク バラ園(静岡県浜松市中央区)
  • 富士市広見公園 バラ園(静岡県富士市伝法)
  • 富士市中央公園 バラ園(静岡県富士市永田町)
  • 河本バラ園(岐阜県
  • ぎふワールド・ローズガーデン バラ園(岐阜県可児市) - 2003年世界バラ会議の優秀庭園賞を日本で初めて受賞。7000品種・6万1000株でともに日本第1位の規模。
  • 神戸町ばら公園 イングリッシュローズガーデンG(岐阜県安八郡神戸町柳瀬)
  • 各務原浄化センター バラ園(岐阜県各務原市前渡西町)
  • 岐阜市畜産センター公園 バラ園(岐阜県岐阜市椿洞)
  • 香愛ローズガーデン(岐阜県飛騨市河合町)
  • 大野町バラ公園(岐阜県揖斐郡大野町)
  • 日本大正村 バラ園(岐阜県恵那市明智町)
  • 薔薇館イングリッシュガーデン(岐阜県岐阜市則武中)
  • 西尾市憩の農園 西尾市バラ園(愛知県西尾市寄住町)
  • GAタワーローズガーデン(愛知県名古屋市中区)
  • 猿渡公園 バラ園(愛知県刈谷市半城土西町)
  • 奥殿陣屋バラ園(愛知県岡崎市奥殿町)
  • 王子バラ園(愛知県春日井市王子町)
  • 国営木曽三川公園 バラ園(愛知県稲沢市祖父江町)
  • 市民四季の森 バラ園(愛知県小牧市大草)
  • 庄内緑地公園 バラ園(愛知県名古屋市西区)
  • 西山公園 バラ園(愛知県豊田市西山町)
  • 鶴舞公園 バラ園(愛知県名古屋市昭和区)
  • 東山動植物園 バラ園(愛知県名古屋市千種区)
  • 日本モンキーパーク バラ園(愛知県犬山市犬山官林)
  • 豊橋総合動植物公園 バラ園(愛知県豊橋市大岩町)
  • 神宮バラ園(三重県伊勢市宇治中之切町)
  • なばなの里 バラ園(三重県桑名市長島町)
  • 高根山バラ園(三重県志摩市磯部町)
  • 松阪農業公園ベルファーム バラ園(三重県松阪市伊勢寺町)
  • 三重県立津東高等学校のバラ園(三重県津市一身田上津部田)
  • 志摩ローズファーム バラ園(志摩市阿児町)
  • 南部丘陵公園 バラ園(四日市市西日野町)

北陸

  • 富山県花総合センター エレガガーデンバラ花壇(富山県砺波市高道)
  • フォレストフローラル氷見あいやまガーデン バラ園(富山県氷見市稲積)
  • おとぎの森公園 バラ園(富山県高岡市佐野)
  • 金沢南総合運動公園 バラ園(石川県金沢市富樫)
  • 金沢・姉妹都市公園 バラ園(石川県金沢市駅西新町)
  • ばら観音大津峰山大光寺(石川県羽咋郡志賀町)
  • 友好のバラ園(石川県小松市末広町)
  • レインボーライン山頂公園 バラ園(福井県三方上中郡若狭町)
  • ゆりの里公園バラ園(福井県坂井市春江町)

近畿

中国

  • とっとり花回廊 バラ園(鳥取県西伯郡南部町)
  • 松江イングリッシュガーデン バラ園(島根県松江市西浜佐陀町)
  • 香木の森公園 バラ園(島根県邑智郡邑南町)
  • 大根島ローズランド(島根県松江市八束町)
  • RSKバラ園岡山県岡山市) - 国内第5位の約1万5千株を栽培。品種は300種。
  • グリーンヒルズ津山 バラ園(岡山県津山市大田)
  • 深山公園 深山イギリス庭園 バラ園(岡山県玉野市)
  • 岡山市半田山植物園 バラ園(岡山県岡山市法界院)
  • 熊山英国庭園 バラ園(岡山県赤磐市殿谷)
  • もりおか友遊ハウスバラ園(岡山県和気町)
  • ばら公園(広島県福山市) − 1956年(昭和31年)戦災復興事業で設置された南公園(当時)に付近住民が植樹・栽培した1000株の苗木をきっかけに、1961年(昭和36年)から都市計画公園としてバラ花壇中心の整備が行われた。1976年(昭和51年)通称「バラ公園」を正式の公園名に、1985年(昭和60年)には「ばら公園」に改称している。2006年(平成18年)世界バラ会議で、靱公園と共に優秀庭園賞に選定された[29]
  • 湧永満之記念庭園 バラ園(広島県安芸高田市甲田町)
  • 広島市植物公園 バラ園(広島市佐伯区)
  • 緑町公園 バラ園(広島県福山市緑町)
  • 広島平和記念公園 バラ園(広島市中区)
  • ヒロローズガーデン(広島県府中市元町)
  • 蜂ヶ峯総合公園 バラ園(山口県玖珂郡和木町)
  • グリーンヒル・アトー バラ園(山口県山口市阿東徳佐下)
  • 冠山総合公園 バラ園(山口県光市大)
  • 山口県立江汐公園 バラ園(山口県山陽小野田市大)
  • やまぐちフラワーランド バラ園(山口県柳井市新庄)
  • リフレッシュパーク豊浦 バラ園(山口県下関市豊浦町)
  • 吉香公園 バラ園(山口県岩国市横山二丁目)
  • 下関市園芸センター(山口県下関市富任町)

四国

  • 徳島中央公園 バラ園(徳島県徳島市徳島町)
  • 藍住町バラ園(徳島県板野郡藍住町)
  • キナシばら園(香川県高松市鬼無町)
  • 高松市サンポート バラ園(香川県高松市サンポート)
  • 番の州公園 バラ園(香川県坂出市番の州公園)
  • 瓦のふるさと公園 バラ園(愛媛県今治市菊間町)
  • 伊予三島運動公園 バラ園(愛媛県四国中央市中之庄町)
  • 東予高バラ園(愛媛県西条市周布)
  • よしうみバラ公園(愛媛県今治市)- 国内第10位の約6500株を栽培し、品種は400種類。
  • ローズティーガーデン(高知県高岡郡四万十町)
  • イングリッシュガーデンハウス(高知県香南市香我美町)
  • 鷹匠公園バラ園(高知県高知市鷹匠町)

九州

苗木生産施設

バラのイベント

育種家と研究家収集家

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日本

イギリス

  • ジャック・ハークネス
  • デヴィッド・オースティン("イングリッシュ"・ローズ)
  • ポール・バーデン(英語版) 専門は園芸種のオールドローズならびにその後の栽培種[30][リンク切れ]、珍しい品種
  • ピーター・ビールズ
  • フライヤー社
  • マグレディ社

イギリスNCCPG(英語版)が推進する全国の園芸種の保存庫(英語版)では、#オースティン#ビールズがそれぞれ専門の分野を維持してきた。王立ローズ・ソサエティ(英語版)(RNRS=1876年-2017年)は両分野を「ヨーロッパのバラの歴史遺産」に指定し、1900年以前のシュラブローズを維持したモティスフォント修道院(英語版)、コレクションを維持したバーミンガム大学付属ウィンターボーン植物園(英語版)とともに讃えている。

フランス

  • ジャン=バティスト・ギヨー(フランス語版、ドイツ語版、英語版):父と2代の育種家
  • メイアン
  • デルバール社
  • ドリュ社
  • ジュール・グラヴロー(フランス語版、英語版)
  • 大ペルネ(フランス語版、ドイツ語版、英語版):子息ジョゼフ・ペルネ=ドゥシェ(英語版)もバラの育種家。

ドイツ

オランダ

  • デイルスター社
  • インタープランツ社
  • ジョセフ・ペーター・ダッチャー

アメリカ合衆国

  • ジャクソン・アンド・パーキンス社(英語版、フランス語版)
  • トム・キャルース(フランス語版):ウィークスローズ社のバラの育種家、9つの「オール・アメリカン・セレクション賞」を受賞。
  • ポール・ケスム(Paul Chessum)
  • コナード・パイル社(英語版、フランス語版):スター・ローズ社に改称。
  • ルドルフ・ムーア:シークオイア・ナーサリ―を営む。ミニチュアローズの専門家。
  • グリフィス・バック(英語版)アイオワ州立大学園芸学の教授職(1948年–1985年)、90近いバラの品種を作成した[注 6][要出典]

チェコ

バラの品種名になった固有名詞

バラの品種名になった固有名詞の一覧を表示するには右の [表示] をクリックしてください。

人名

「プリンセス・オブ・ウェールズ」(FL)
Harkness(1997)
「ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ」(HT)
Jackson&Perkins(1999)

神話、伝承

地名、国名、建造物

スカーレット・イワミザワ(HT)

その他

バラに関する文化

シンボルとしてのバラ

  • sub rosa(英語版) - 「バラの下で」を意味するラテン語でスブ・ロサーと読む。ローマ神話などで沈黙の神ハルポクラテスへの贈り物にバラが用いられたという神話が由来で秘密をバラさないことを示すシンボルとなった。フランス語で、Découvrir le pot aux roses (バラの鉢を発見する)という慣用句は、真実の発見を意味する。
  • 黄金のバラ - ローマのカトリック教会の教皇が伝統的に祝福を行う。敬意や愛情の証として教会や国家元首などに贈られる造花。
  • バラ窓 - 聖女マリアの象徴として、教会のステンドグラスのモチーフであった。
  • シーリング・ローズ(英語版)。ローマ時代、バラの花を天井につるした宴会の内容は口外してはならないという習慣から[33]。
    シーリング・ローズ(英語版)。ローマ時代、バラの花を天井につるした宴会の内容は口外してはならないという習慣から[33]
  • サン・ドニ修道院南翼廊のバラ窓
    サン・ドニ修道院南翼廊のバラ窓

国や自治体の花

以下、バラをシンボルとする国・地域・自治体名を明確にするため、太字で表記。

アジア

アフリカ

ヨーロッパ

北アメリカ

慣用句・熟語

  • under the rose - 秘密の意味。
  • 茨の道 - 辛く険しい道のりのこと。
  • 青いバラ(the blue rose) - 神の祝福、または、不可能の意。
  • きれいなバラには棘がある - 外見の美しさに気を取られると危険な目に会う事がある。
  • There's no rose without a thorn. - 「棘のないバラは無い」または「世に完全な幸福はない」。フランスでは「誰にでも弱点がある」という意味。
  • Run for the roses - ケンタッキーダービーの意。

ギャラリー

  • 薔薇の品種「ロイヤルプリンセス」
    薔薇の品種「ロイヤルプリンセス」
  • 京成バラ園芸2020年発表品種「令の風(Reinokaze)」
    京成バラ園芸2020年発表品種「令の風(Reinokaze)」
  • 日本・河合伸志 作出のバラ「ローズドゥクミコ」
    日本・河合伸志 作出のバラ「ローズドゥクミコ」
  • フランス・デルバール社作出「ストロベリーアイス」
    フランス・デルバール社作出「ストロベリーアイス」
  • イギリス・McGredy作出「レッドライオン」
    イギリス・McGredy作出「レッドライオン」
  • 寺西菊雄 作出品種「スイートムーン」
    寺西菊雄 作出品種「スイートムーン」
  • 京成バラ園芸作出のバラの品種「かぐや姫」
    京成バラ園芸作出のバラの品種「かぐや姫」
  • アメリカ・ジャクソン&パーキンス作出品種「シークレットパヒューム」
    アメリカ・ジャクソン&パーキンス作出品種「シークレットパヒューム」
  • 京成バラ園作出のバラの品種「希望(きぼう)」
    京成バラ園作出のバラの品種「希望(きぼう)」
  • 京成バラ園作出のバラの品種「初恋(はつこい)」
    京成バラ園作出のバラの品種「初恋(はつこい)」
  • 京成バラ園作出のバラの品種「凛(りん)」
    京成バラ園作出のバラの品種「凛(りん)」
  • ヨハネパウロ2世(HT)
    ヨハネパウロ2世(HT)
  • 品評会でも使用される品種「ロイヤルハイネス」
    品評会でも使用される品種「ロイヤルハイネス」
  • 京成バラ園作出の品種「ミスターローズ」
    京成バラ園作出の品種「ミスターローズ」
  • ウェディングベルズ(HT)
    ウェディングベルズ(HT)
  • ピンクグルーテンドルスト(OL)
  • ピンクパンサー(HT)
    ピンクパンサー(HT)
  • ブルームーン(HT)
    ブルームーン(HT)
  • 花音(HT)
    花音(HT)
  • 千代(HT)
    千代(HT)
  • マヌウ・メイアン (HT)
    マヌウ・メイアン (HT)
  • メヌエット(FL)
    メヌエット(FL)
  • レッドシャトー(HT)
    レッドシャトー(HT)
  • カウンティー・オブ・チェシャー(S)
    カウンティー・オブ・チェシャー(S)
  • ローズミュージック(HT)
    ローズミュージック(HT)
  • ラ・フランス(HT)
    ラ・フランス(HT)
  • ソレイユ・ドール(HFt)
    ソレイユ・ドール(HFt)
  • ピース(マダム・アントワーヌ・メイアン)(HT)
    ピース(マダム・アントワーヌ・メイアン)(HT)
  • アンバークイーン(FL)
    アンバークイーン(FL)
  • 「シャルル・ド・ゴール」、HT、メイアン(1974)
    「シャルル・ド・ゴール」、HT、メイアン(1974)
  • サントリーフラワーズの青いバラ「アプローズ」(2004)
    サントリーフラワーズの青いバラ「アプローズ」(2004)
  • 紫雲(鈴木省三 1984作、大輪・四季咲き HT)
    紫雲(鈴木省三 1984作、大輪・四季咲き HT)
  • 日本で作出されたバラの一つ「朝雲(あさぐも)」
    日本で作出されたバラの一つ「朝雲(あさぐも)」

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ なお、「玫瑰」は中国語においてはハマナスを指す。
  2. ^ Jacquin, Nikolaus Joseph. Observationum botanicarum iconibus ab auctore delineatis illustratarum. pars I- [-IV et ultima]; Readex Microprint, 19--. Landmarks 2 ; monographs.NCID BB01405064 写本、名古屋大学所蔵。
  3. ^ 今戸らによると「(前略)民間療法において、果皮は緩下、利尿を目的に、偽果(種子を含む)は利尿、通風リウマチ座骨神経痛などに用いられ(後略)[18]」という。
  4. ^ ハマナスは皇后雅子お印[25]
  5. ^ 2013年にリニューアルされるまでは243種、株数は国内第4位の2万2千株だった。
  6. ^ バックの作出したバラは耐病性と耐寒性に優れていることで有名。

出典

  1. ^ a b 小林 1972
  2. ^ 亀岡 1993
  3. ^ 日外アソシエーツ 2008
  4. ^ 「食べるバラが好調 愛知の法人 加工品売り上げ5倍に」『日本農業新聞』』、2020年3月19日、8面。2020年3月21日閲覧。
  5. ^ “【デビッド・オースチン・ロージズ史 Vol.2】逆境から栄光への道とデビッド・オースチン・ファミリーの力”. GardenStory (2019年7月7日). 2023年10月16日閲覧。
  6. ^ “TOTOSK KITCHEN Vol. 24 ローズウォーターにんじんのローズグラタン”. dacapo (ダカーポ) the web-magazine. 2016年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月18日閲覧。
  7. ^ Bourrin, Jeanne (フランス語). La Rose et la mandragore. p. 162  ISBN 2-87686-072-4.
  8. ^ a b c d e f g “バラをたどる:バラの歴史”. 蓬田バラの香り研究所. 2019年6月6日閲覧。
  9. ^ a b c d e 中尾 2006, p. 452.
  10. ^ 福井祐子「バラ花弁の新規色素Rosacyanin類の構造 (口頭発表の部)」『天然有機化合物討論会講演要旨集』第42巻第(0)号、2000年、55-60頁、doi:10.24496/tennenyuki.42.0_55、NAID 110006681912。 
  11. ^ 全唐詩』巻598所収。
  12. ^ “高駢:山亭夏日”. Web漢文大系. 2019年6月8日閲覧。
  13. ^ 甲斐 2007, pp. 470–479
  14. ^ a b 木下 2017, pp. 469-
  15. ^ 中尾 2006, p. 453.
  16. ^ a b c d 田中敏夫. “花の女王バラを紐解く「チャイナローズ~中国生まれのバラ」”. GARDEN STORY. 株式会社タカショー. 2019年1月6日閲覧。
  17. ^ 木下 2017, pp. 469、670、474、475、679
  18. ^ 今戸 et al. 2010, pp. 409–409
  19. ^ 井上 1932, pp. 59, 「みちのへの」
  20. ^ 『都道府県展望』 1971, pp. 52-52(コマ番号0030.jp2)
  21. ^ 東洋一のバラ園と岡本勘治郎 京阪園芸
  22. ^ 会社沿革 京阪園芸
  23. ^ ローズガーデン ひらかたパーク
  24. ^ 会社の歩み 京成バラ園芸
  25. ^ “天皇皇后両陛下 結婚30年 皇后さまのお印、津波に耐えた「奇跡のハマナス」が陸前高田市の「全国植樹祭」で10年以上ぶりに里帰り”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2023年6月8日). 2023年7月8日閲覧。
  26. ^ 「日本一長い“バラのトンネル” 川島平成の森公園、ライトアップも」『埼玉新聞』埼玉新聞社、2016年5月14日。2016年5月21日閲覧。オリジナルの2016年5月15日時点におけるアーカイブ。
  27. ^ “県内最大の「バラ園」伊奈町制施行記念公園”. 埼玉商工会連合会. 2019年6月6日閲覧。
  28. ^ “バラ園(町制施行記念公園)”. 伊奈町 (2019年5月31日). 2019年6月6日閲覧。
  29. ^ “Bara Koen (The Rose Park)”. World Federation of Rose Societies. 2018年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月6日閲覧。
  30. ^ “Index of /~paul”. Raindrop (22-Dec-2015). 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月8日閲覧。
  31. ^ “かのやばら園植栽図鑑”. かのやばら園. 2014年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月18日閲覧。
  32. ^ “靭公園バラ園”. 大阪市花と緑の情報サイト. 2015年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月7日閲覧。
  33. ^ “余録:英語で「バラの下で(under the rose)」が…”. 毎日新聞. 2022年7月6日閲覧。

参考文献

主な執筆者順。

  • 井上通泰「みちのへの」『万葉集新考』 20 (上)、歌文珍書保存会、1932年(昭和2年)、59頁。NDLJP:1192534。 国立国会図書館デジタルコレクション。
  • 今戸 奈保子、旭 聡夫、長友 暁史、小崎 敏雄、西田 典永「ローズヒップエキスの単回および28日間反復投与毒性試験」『日本トキシコロジー学会学術年会』第37巻第0号、日本毒性学会、2010年、409-409頁、doi:10.14869/toxp.37.0.409.0。 
  • 甲斐 勝二(著)、立命館大学人文学会(編)「高駢「山亭夏日」小考--「一架薔薇滿院香」と「滿架薔薇一院香」について考えたこと」『立命館文學』第598号、立命館大学人文学会、京都、2007年、470-479頁。 掲載誌別題『The journal of cultural sciences』
  • 亀岡泰家 著「バラ」、フランク・B・ギブニー 編『ブリタニカ国際大百科事典』(第2版改訂版)ティービーエス・ブリタニカ、1993年。 
  • 木下武司「第1節『萬葉集』の二つのイバラ:「うまら」と蕀原」『和漢古典植物名精解』和泉書院、大阪、2017年2月、469-頁。全国書誌番号:22866145。 〈索引(植物名ほか)=し〉「牆薇(墻薇・薔薇)」。
  • 小林義雄 著「バラ」、相賀徹夫 編『植物』〈万有百科大事典 19〉1972年。 
  • 「県名の由来――茨城県・埼玉県・千葉県・神奈川県」『都道府県展望』第9号(通号第156号)、全国知事会、東京、1971年9月、52-52(コマ番号0030.jp2)、doi:10.11501/2786011。 公開は国立国会図書館館内、図書館・個人送信。
  • 中尾佐助『中尾佐助著作集』 6巻、北海道大学出版会、2006年。ISBN 4832929011。 
  • 日外アソシエーツ 編「バラ」『植物3.2万名前大辞典』紀伊國屋書店、2008年。 

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、バラに関連するメディアおよびカテゴリがあります。
ウィキクォートに薔薇に関する引用句集があります。