フェラーリ・SF15-T

フェラーリ・SF15-T
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー シモーネ・レスタ
先代 フェラーリ・F14 T
後継 フェラーリ・SF16-H
主要諸元
エンジン フェラーリ 059/4
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム フェラーリ
ドライバー ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル
フィンランドの旗 キミ・ライコネン
出走時期 2015年
初戦 2015年オーストラリアGP
初勝利 2015年マレーシアGP
出走優勝ポールFラップ
19313
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フェラーリ SF15-T (Ferrari SF15-T) は、スクーデリア・フェラーリ2015年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。

概要

前年型との最大の違いはパワーユニットにあり[1]、空力を優先した構造を一新し、パワーと信頼性を重視した物となった[2]。内燃機関の点火システムにドイツのマーレ社が供給するジェットイグニッション(Turbulent Jet Ignition)を採用[3]。副燃焼室(サブチャンバー)で点火した燃料を「種火」としてシリンダー内に放射し、シリンダー内の燃焼効率を高めることで、非常に薄い混合気リーンバーンして、パワーと燃費を改善した。

この年のレギュレーション変更により、マシンのデザインは「ショートノーズ派」と「ロングノーズ派」に二分されたが、フェラーリの選択は「ロングノーズ」だった[4]。前年同様に前後ともサスペンションはプルロッドが採用されている。

最終的には3勝を記録し、表彰台獲得数も大幅に増加。特に3勝目のシンガポールGPでは、フェラーリとしては2012年以来のポール・トゥ・ウィンを成し遂げた。時のチーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは「新体制の効果」だとしたが、前年までフェラーリに在籍し、チーフデザイナーだったニコラス・トンバジスは「今季のフェラーリF1カー (SF15-T) は自分の作品だ」と主張し、暗にフェラーリ首脳を批判した[5]。アリバベーネによるとニコラス・トンバジスら旧技術陣の離脱が決まった後にチーフデザイナーのシモーネ・レスタとロリー・バーンにドライバーのキミ・ライコネンに合った重量バランスがフロント寄りのマシンへの改良を指示し、それを開幕までに達成できた事が躍進につながったと述べている[6]

2015年シーズン

開幕前のヘレステストではさっそく新パワーユニットの効果が表れ、シーズンへの期待が高まった[7]、チーム代表のアリバベーネは「2勝が目標」と語っていた[8]。開幕戦では信頼性を重視した仕様のパワーユニットだったが[9]、ベッテルが3位表彰台を獲得。第2戦マレーシアGPではベッテルが移籍後初勝利を飾った。

シーズン前半はベッテルが表彰台の常連となり、第10戦ハンガリーGPで2勝目をあげた。続くベルギーGPはフェラーリにとって900戦目の記念すべきレースだったが決勝ではレース終盤3位走行中のベッテル車のタイヤがバースト、リタイヤするが12位完走扱い[10]。第13戦シンガポールGPではメルセデス勢以外での唯一のポールポジションを獲得し[11]、レースでも3勝目を飾った。 一方で、ライコネンは予選においてトラブルやペナルティーで後れを取ることがあり、第2戦マレーシアGPではコンディションを読み間違い予選11位、第8戦オーストリアGPではチームとのコミュニケーションのミスで予選14位、ベルギーGPではトラブルで予選16位と浮き沈みが激しかった。それでも、完走したレースは全て入賞圏内であり、前年より成績は向上した。

最終的には第15戦ロシアGPでライコネンが8位に終わった結果、メルセデスAMGチームのコンストラクターズタイトル獲得が確定。すると流れが悪くなり、第16戦アメリカGPでは2台ともエンジン交換ペナルティーによりベッテルは13位、ライコネンは18位からのスタート(決勝はベッテル3位表彰台、ライコネンリタイア)。第17戦メキシコGPではライコネンがギヤボックス交換により18位スタート (タイムは15位)ながらもベッテルが3位に食い込んだが、2台ともリタイヤと失速した。それでも、残り2戦はメルセデス勢の後ろでゴールするなど、最後に気を吐いた。総じてみれば、ベッテルが常に表彰台圏内を争ったのに対し、ライコネンは予選の失敗を決勝で取り戻した場面もあったが、ミスが目立ち精彩を欠いたシーズンとなった。

スペック

[12]

シャーシ

エンジン

  • エンジン名:フェラーリ 059/4
  • 気筒数・角度:V型6気筒・90度
  • 排気量:1,600cc
  • 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)
  • シリンダーブロック:砂型鋳造アルミニウム
  • ターボ:シングル
  • バルブ数:24
  • バルブ駆動:圧搾空気式
  • ピストンボア:80mm
  • ピストンストローク:53mm
  • 燃料シェル V-Power
  • 潤滑油:シェル Helix Ultra

ERS システム

  • バッテリー出力:4MJ(1周あたり)
  • MGU-K 出力:120kW
  • MGU-K 最高回転数:50,000 rpm
  • MGU-H 最高回転数:125,000 rpm

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
AUS
オーストラリアの旗
MAL
マレーシアの旗
CHN
中華人民共和国の旗
BHR
バーレーンの旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
AUT
オーストリアの旗
GBR
イギリスの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
SIN
シンガポールの旗
JPN
日本の旗
RUS
ロシアの旗
USA
アメリカ合衆国の旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ABU
アラブ首長国連邦の旗
2015 5 ドイツの旗 ベッテル 3 1 3 5 3 2 5 4 3 1 12† 2 1 3 2 3 Ret 3 4 428 2
7 フィンランドの旗 ライコネン Ret 4 4 2 5 6 4 Ret 8 Ret 7 5 3 4 8 Ret Ret 4 3

脚注

ウィキメディア・コモンズには、フェラーリ・SF15-Tに関連するカテゴリがあります。
[脚注の使い方]
  1. ^ 戦闘力を上げたフェラーリ・エンジン TOPNEWS 2015年2月5日
  2. ^ 今年のフェラーリは格段によくなるだろうと技術イラストレーター TOPNEWS 2015年2月25日
  3. ^ “F1技術解説 フェラーリPU開発の軌跡(1):これまでの苦闘から、いかにメルセデスに追い付いたのか”. AUTOSPORT Web (2019年1月5日). 2019年10月2日閲覧。
  4. ^ フェラーリはショートノーズ導入を見送り TOPNEWS 2015年5月6日
  5. ^ 今季のフェラーリF1カーは自分の作品だと元チーフデザイナーTOPNEWS 2015年9月1日
  6. ^ アリバベーネ、キミに合ったマシン造りの経緯語るas-web.jp 2015年4月27日
  7. ^ 今年のフェラーリエンジンはメルセデスと大差ないとザウバーのルーキー TOPNEWS 2015年2月3日
  8. ^ フェラーリは2015年F1タイトルを狙えるか TOPNEWS 2015年2月21日
  9. ^ フェラーリ、初戦にはコンサバなエンジンを投入 ESPN F1 2015年3月9日
  10. ^ フェラーリ、アグレッシブな戦略を採るも失敗 ESPN F1 2015年8月24日
  11. ^ ベッテル、ポール獲得は「ファンタスティック」 ESPN F1 2015年9月20日
  12. ^ "[1]".Scuderia Ferrari F1 car 2015 2015年3月29日閲覧。

外部リンク

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イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ
チーム首脳
チームスタッフ
  • イタリアの旗 ディエゴ・イオベルノ(英語版) (スポーティングディレクター)
  • イタリアの旗 エンリコ・カルディール(英語版) (車体開発責任者)
  • フランスの旗 ロイック・ビゴワ (チーフエアロダイナミシスト)
  • イギリスの旗 ラビン・ジェイン (ストラテジーディレクター)
  • イギリスの旗 ジョック・クリア (FDAコーチ)
  • 南アフリカ共和国の旗 ロリー・バーン (開発アドバイザー)
  • スペインの旗 イニャキ・ルエダ(英語版) (前ストラテジーディレクター)
F1ドライバー
F1車両
主なスポンサー
関連組織
※役職等は2023年3月時点。
  • 過去のチーム関係者
F1チーム関係者
創設者
主なチーム首脳
主なスタッフ
主なF1ドライバー
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
※年代と順序はフェラーリで初出走した時期に基づく。 ※フェラーリにおいて優勝したドライバーを中心に記載。太字はフェラーリにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。斜体はフェラーリにおいて優勝がないものの特筆されるドライバー。
  • スポーツカーレース
  • Template:スクーデリア・フェラーリ (スポーツカーレース) を参照。