中期ジュラ紀

中期ジュラ紀(ちゅうきジュラき、Middle Jurassic)は、中生代ジュラ紀を三分したうちの2番目の地質時代。1億7410万年前±100万年から約1億6350万年前±100万年にあたり、古い順からアーレニアン期・バッジョシアン期・バトニアン期・カロビアン期に分けられる[1]

地理と環境

1億7000万年前(バッジョシアン期)の大陸配置

パンゲア大陸はまだ存在しており、ほぼ全ての大陸は陸続きであった。このため恐竜は地域ごとの分化というよりも後述する同心円状の分化をしていた[2]。とはいえ当時の中国が海路で分断されているなど[3]、分裂はこの時代に始まりつつあり、地域的な固有性も以前の時代に比べて高まっていたことが予想される[4]

中期ジュラ紀から後期ジュラ紀にかけては、温室効果ガスである二酸化炭素の大気中濃度が上昇していた[3]

動物相

中部ジュラ系の陸成層は全球的に少なく、それゆえ陸上脊椎動物の化石記録も乏しいため、この時代の動物相の多くは明らかになっていない。恐竜鳥盤類からは装盾亜目剣竜類)や鳥脚類が出現した[4]。当時から剣竜類の尾には特徴的なスパイクや小型の装甲があり、また鳥脚類には摩耗に対して咀嚼面を維持するデンタルバッテリー構造があった[3]

竜盤類のうち竜脚類は中期ジュラ紀に生息域を地球全域に拡大させて繁栄を遂げた。南アメリカのパタゴサウルスケティオサウルス科(英語版))などは新竜脚類と比較して基盤的であり、これら基盤的な竜脚類の分布域の中に同心円状に新たな系統の竜脚類が分布していた。この分布の様子は水面の波紋にも喩えられる。この時代に出現した新竜脚類にはディプロドクス上科ティタノサウルス形類がおり、前者はヨーロッパ付近、後者はマダガスカル付近に起源を持つ[2]。なお中国では竜脚類が独自の進化を遂げており、尾に比べて首の長い竜脚類が繁栄した。またシュノサウルスのように尾に棍棒や棘を持つものも出現した[3]

獣脚類ではテタヌラ類やその下位分類群であるコエルロサウルス類が出現した[3]。コエルロサウルス類の中には、後のティラノサウルスを含む分類群であるティラノサウルス上科も出現した。具体的な属にはキレスクスプロケラトサウルス、遅れて中期ジュラ紀最末期から後期ジュラ紀最初期のグアンロンがいた[5]。また、鳥類の特徴を持つ獣脚類もこの頃現れていた。大型で複雑な羽毛、大きな脳を収納できる頭蓋骨、長い前肢といった特徴はアーレニアン - バッジョシアン期頃の1億7000万年前に出現した[6]

出典

  1. ^ “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART(国際年代層序表)”. 日本地質学会. 2021年3月10日閲覧。
  2. ^ a b 『世界の巨大恐竜博2006 生命と環境─進化のふしぎ』日本経済新聞社NHKNHKプロモーション、日経ナショナルジオグラフィック社、2006年、42頁。 
  3. ^ a b c d e グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜辞典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、14頁。ISBN 978-4-320-04738-9。 
  4. ^ a b デイヴィッド・E・ファストヴスキー、デイヴィッド・B・ウェイシャンペル 著、藤原慎一・松本涼子 訳『恐竜学入門 ─かたち・生態・絶滅─』真鍋真監訳、東京化学同人、2015年1月30日、270頁。ISBN 978-4-8079-0856-1。 
  5. ^ 小林快次 (2020年10月29日). “ティラノサウルスの天下はわずか3日!恐竜時代を1年間にしてみたら”. 講談社. 2021年3月25日閲覧。
  6. ^ ダレン・ナイシュ、ポール・バレット 著、吉田三知世 訳『恐竜の教科書 最新研究で読み解く進化の謎』小林快次、久保田克博、千葉謙太郎、田中康平監訳、創元社、2019年2月20日、189頁。ISBN 978-4-422-43028-7。 
冥王代

-

太古代
原生代
古原生代
中原生代
新原生代
古生代
カンブリア紀
テレヌーブ
第二世
第三世
フロンギアン
オルドビス紀
前期
中期
後期
シルル紀
ランドベリ
ウェンロック
ラドロー
プリドリ
  • -
デボン紀
前期
中期
後期
石炭紀
ミシシッピアン
ペンシルバニアン
ペルム紀
シスウラリアン
グアダルピアン
ローピンジアン
中生代
三畳紀
前期
中期
後期
ジュラ紀
前期
中期
後期
白亜紀
前期
後期
新生代
古第三紀
暁新世
始新世
漸新世
新第三紀
中新世
鮮新世
第四紀
更新世
完新世
地球史年表