唯識二十論

唯識二十論(ゆいしきにじゅうろん、viṃśatikā-vijñapti-mātratā-siddhi)1巻は、世親によって造られた、唯識の主要な論書である。

内容

『唯識二十論』は、仏教以外の学派や部派仏教や他の大乗仏教の立場から、唯識説に対する批判や疑問に答える形で、唯識説を明らかにしている。そのため、直接的に唯識説を体系付けて説明している『唯識三十頌』とは構成が異なっていることに注意しなくてはならない。

唯識説の根本は「諸法(すべての存在現象)は識にほかならない」という説である。しかし、世親は阿頼耶識も含めて、「識は非識を自性となす」(識の本質は無である)としている。つまり、識を実在と考えず、実在()は識を超えたものであるとみている。これを説明するために、本論では夢の喩えを使って説明するが、修行者(瑜伽行者)が誤まった実在の観念を破るためにはふさわしいが、「識は非識」であることに注意していないと、観念論に陥ってしまう。

この意味で、護法(Dharmapāla)の『成唯識論』の立場とは大きく趣きを異にしている。

テキスト

註釈書

  • 成唯識宝性論 5巻、護法註、大正蔵、巻31 一名『二十唯識順釋論』と呼ばれる。

参考文献

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教義

心王 - 心所 - 煩悩 - 末那識 - 阿頼耶識 - 種子 - 薫習 - 三類境 - 一水四見 - 遍計所執性 - 依他起性 - 円成実性 - 転識得智

インド

弥勒 - 無著 - 世親 - 徳慧 - 安慧 - 親勝 - 歡喜 - 淨月 - 火辨 - 勝友 - 勝子 - 智月 - 陳那 - 無性 - 護法 - 戒賢 - 法称 - 寂護 - 蓮華戒

中国

真諦 - 玄奘 - 基 - 慧沼 - 智周

日本

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