非核兵器地帯

核兵器拡散状況
     核保有国      NATOの核共有国      NPTのみ      非核兵器地帯
主な非核兵器地帯条約(発効順)
条約 地域 面積(km²) 発効
南極条約 南極 14,000,000 - 1961-06-23
宇宙条約 宇宙 - - 1967-10-10
トラテロルコ条約 ラテンアメリカ
西インド諸島
21,069,501 33 1969-04-25
海底核兵器禁止条約 海底 - - 1972-05-18
ラロトンガ条約 南太平洋 9,008,458 13 [1]1986-12-11
バンコク条約 東南アジア 4,465,501 10 [2]1997-03-28
モンゴル非核地帯 モンゴル 1,564,116 1 2000-02-28
セメイ条約 中央アジア 4,003,451 5 [3]2009-03-21
ペリンダバ条約 アフリカ大陸 30,221,532 53 2009-07-15
84,000,000 116

非核兵器地帯(ひかくへいきちたい、英語: nuclear-weapon-free zoneNWFZ)は、核兵器条約により禁止した地域である[4]

単に非核地帯(ひかくちたい、英語: Nuclear Free ZoneNFZ)と呼ぶ場合も多いが、より正確には「非核地帯」とは核兵器だけでなく、平和的核爆発原子力発電所なども禁止した地域である。

非核地帯」も参照

概要

非核兵器地帯の条約は、該当地域の各国による核兵器の使用(開発、核実験、保有、配備、実際の使用など)の禁止だけではなく、付随する議定書によって、核保有国非核地帯への核兵器による攻撃や攻撃の威嚇を禁止する内容も含む[4]。こちらは核保有国の条約参加(署名および批准)が必要であり、必ずしも全ての核保有国が参加しているわけではない。この意味では「消極的な安全の保証(NSAs)」(注:保障ではない)と表現される[4]

例えば、南太平洋地域の非核兵器化を定めたラロトンガ条約では、1996年になってイギリスフランスが署名したが、直前の1995年にはフランスが南太平洋地域で核実験を行っている。また2009年11月現在でもアメリカはラロトンガ条約を批准していない。

また、東南アジア地域の非核兵器化を定めたバンコク条約では核保有国である五大国の署名が行われていない。ここから、非核兵器化を進めている地域の中でもその進行度の違い、また核保有国の中でも非核兵器化に積極的な国と消極的な国を、ある程度うかがい知ることができる。また、これらの条約には放射性廃棄物の排出禁止の規程が含まれることが多い。

各地帯をまたがった動きでは、2005年4月26日メキシコで初の非核兵器地帯条約加盟国・署名国会議が開催され、中南米、アフリカ、東南アジア、南太平洋の4つの非核兵器地帯に属する90ヶ国以上が参加した。

国際法によって非核兵器化が規定されている地域

現在までに非核兵器化を進めている地域には、海底・宇宙の他に以下がある。詳細は各条約の項目を参照。なお文中の「五大国」とは、核拡散防止条約(NPT)により核兵器保有が国際的に認められている5カ国 (アメリカロシア(旧ソ連)、イギリスフランス中国)である。

南極

  • 南極条約[4]
    • 1959年12月1日調印、1961年6月23日発効。
    • 加盟国は当初12ヶ国。2004年9月時点で45か国が署名・批准。
    • 五大国も署名・批准。
    • 南極の軍事利用の禁止の他、南緯60度以南の地域におけるすべての核爆発及び放射性廃棄物の処分を禁止を定める。

中南米

南太平洋

東南アジア

アフリカ

  • アフリカ非核兵器地帯条約(ペリンダバ条約)[4]
    • 1996年4月11日調印、2009年7月15日発効。
    • 南アフリカの核兵器廃棄作業が完了し、条約作業が進んだ。
    • 域内の加盟国は、条約の対象国は54カ国、条約発効条件は28か国であり、2009年7月15日に最後の加盟国であるブルンジが批准したことにより条約は即日発効した。
    • 5大国も署名。2009年3月時点ではフランス、中国、イギリスが批准。ロシア、アメリカは批准していない。

中央アジア

モンゴル

その他条約等によって非核兵器化を謳っている地域

国際法上の非核兵器地帯ではない。

東ドイツ

ウクライナ

  • ウクライナ主権宣言
    • 1990年7月16日、核兵器を使用せず、生産せず、保有しないという非核三原則を堅持する国家となることを最高会議で採択。
    • 1996年6月1日レオニード・クチマ大統領が旧ソ連時代配備の核弾頭完全撤去(ロシアへ移送)を発表。ウクライナが非核兵器地帯となった。
    • 日本等は非核兵器地帯と認めていない。

非核兵器化の提案があった地域

東アジア

1991年12月、大韓民国朝鮮民主主義人民共和国が署名。1992年2月、批准書交換。
朝鮮半島における核兵器の実験、生産、保有、配備、使用の禁止。原子力の平和利用は認めるが、ウラン濃縮とプルトニウム再処理の禁止と相互査察の実施を含むという内容であった。
ただし、査察は実行されたことが無いうえ、北朝鮮の核拡散防止条約からの脱退及び核兵器開発の進展により、効力は失った。
北朝鮮核問題」、「六者会合」、「北朝鮮の核実験 (2006年)」、「北朝鮮の核実験 (2009年)」、「北朝鮮の核実験 (2013年)」、「北朝鮮の核実験 (2016年1月)」、および「東北アジア非核地帯条約」も参照

南アジア

  • 非核兵器地帯の提案
1974年12月、国連総会でパキスタンが提案したが、具体化していない。
「インドの核実験 (1974年)」、「インドの核実験 (1998年)」、および「パキスタンの核実験 (1998年)」も参照

中東

  • 中東非核兵器地帯の提案
1974年、国連総会でイランエジプトが提案し、決議が採択されたが、具体化していない[6][7]

東欧

冷戦終了後、NATOの東方拡大までの間、非核兵器地帯化が模索された。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ http://www.opanal.org/Docs/Desarme/NWFZ/SPNFZ_and_Protocols_Status_Report.pdf
  2. ^ http://www.armscontrol.org/act/1997_04/seanfwz
  3. ^ http://www.earthtimes.org/articles/show/260825,nuclear-free-zone-in-central-asia-enters-into-force-saturday.html
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 日本国外務省 (2016年). “「日本の軍縮・不拡散外交」(第七版)(平成28年)/第3部 核軍縮”. 2019年7月7日閲覧。
  5. ^ 中央アジアの非核兵器地帯条約、核保有5カ国が署名 - 朝日新聞
  6. ^ 構想の段階にある非核地帯等 - 外務省
  7. ^ “Disarmament Diplomacy, Issue No. 86, Autumn 2007, Rethinking Security Interests for a Nuclear-Weapon-Free Zone in the Middle East, Rebecca Johnson”. Acronym.org.uk. 2009年9月20日閲覧。

外部リンク

  • これまでに署名された非核兵器地帯条約(外務省サイト)
概念
国際組織
NBC兵器以外
核兵器
戦略兵器削減条約
核実験制限・禁止
核兵器不拡散・禁止
非核兵器地帯
その他の制限・禁止
生物化学兵器
関連項目
カテゴリ カテゴリ
科学
燃料
中性子
原子力
原子力発電
  • 国別(英語版)
  • 経済性(英語版)
  • 安全(英語版)
  • 原子力電池
その他
核医学
画像処理
治療
兵器
核兵器
関連兵器
廃棄物
産物
処理
議論
  • カテゴリ カテゴリ
テーマ

ピースマーク

微笑む太陽
原子力災害
主な反核運動
国際政治、条約
反核団体
国別
  • Australia
  • Austria
  • Canada
  • France
  • Germany
  • India
  • Japan(日本の反核運動)
  • Kazakhstan
  • New Zealand
  • Philippines
  • Spain
  • Switzerland
  • Taiwan
  • United Kingdom
  • United States
人物
メディア
  • Books about nuclear issues
  • Films about nuclear issues
  • en:Nuclear weapons in popular culture
関連項目
  • カテゴリ
  • 表示
  • 編集
典拠管理データベース ウィキデータを編集
  • 現代ウクライナ百科事典
  • 公文書館(アメリカ)