2005年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第101回ワールドシリーズ(101st World Series)は、10月22日から26日にかけて計4試合が開催された。その結果、シカゴ・ホワイトソックス(アメリカンリーグ)がヒューストン・アストロズ(ナショナルリーグ)を4勝0敗で下し、88年ぶり3回目の優勝を果たした。
ホワイトソックスは、1919年シリーズにおいて8選手が賭博師と結託し八百長を仕組んだとして、コミッショナーのケネソー・マウンテン・ランディスによって1921年に永久追放処分を下された、いわゆる "ブラックソックス事件" を起こしている。それ以降はシリーズ優勝から見放され、出場も1959年の一度きりにとどまっていたことから、事件によって球団に呪いがかけられたとする都市伝説 "ブラックソックスの呪い" あるいは "シューレス・ジョー・ジャクソンの呪い" がファンの間で定着した[3]。今シリーズ制覇により、ホワイトソックスはその呪いを解いた。アストロズは2012年シーズン終了後にナショナルリーグからアメリカンリーグへ転籍したため、再転籍がない限り、ナショナルリーグの球団としてシリーズに出場するのは今回が最初で最後となる。シリーズMVPには、優勝を決めた第4戦で先制・決勝の適時打を放つなど、4試合で打率.438・1本塁打・3打点・OPS 1.214という成績を残したホワイトソックスのジャーメイン・ダイが選出された。
ワールドシリーズまでの道のり
両チームの2005年
10月16日にまずアメリカンリーグでホワイトソックス(中地区)が、そして19日にはナショナルリーグでアストロズ(中地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。
ホームフィールド・アドバンテージ
7月12日にミシガン州デトロイトのコメリカ・パークで開催されたオールスターゲームは、アメリカンリーグがナショナルリーグに7-5で勝利した。この結果、ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、アメリカンリーグ優勝チームに与えられることになった。このオールスターには、ホワイトソックスからは投手がマーク・バーリーとジョン・ガーランド、野手がポール・コネルコとスコット・ポドセドニックの計4人が選出された。一方のアストロズからは、投手がロジャー・クレメンス、ブラッド・リッジとロイ・オズワルト、野手がモーガン・エンスバーグの計4人が名を連ねた。試合では全5投手が1イニング以上の登板機会を得たものの、ホワイトソックスの投手とアストロズの打者の対戦や、アストロズの投手とホワイトソックスの打者の対戦は、いずれも実現しなかった。
両チームの過去の対戦
1997年から始まったレギュラーシーズン中のインターリーグでは、同年から2000年の4年連続で3試合ずつの計12試合が組まれ、ホワイトソックスが7勝5敗で勝ち越している[4]。直近の対戦は2000年6月にアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークで3連戦が行われ、ホワイトソックスが2勝1敗で勝ち越した。
試合結果
2005年のワールドシリーズは10月22日に開幕し、途中に移動日を挟んで5日間で4試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月22日(土) | 第1戦 | ヒューストン・アストロズ | 3-5 | シカゴ・ホワイトソックス | U.S.セルラー・フィールド | |
10月23日(日) | 第2戦 | ヒューストン・アストロズ | 6-7x | シカゴ・ホワイトソックス |
10月24日(月) | | 移動日 | |
10月25日(火) | 第3戦 | シカゴ・ホワイトソックス | 7-5 | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク |
10月26日(水) | 第4戦 | シカゴ・ホワイトソックス | 1-0 | ヒューストン・アストロズ |
優勝:シカゴ・ホワイトソックス(4勝0敗 / 88年ぶり3度目) |
第1戦 10月22日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
9回表、ボビー・ジェンクスがアダム・エバレットを空振り三振に仕留めて試合終了、ホワイトソックスが先勝(31秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ヒューストン・アストロズ | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 7 | 1 |
シカゴ・ホワイトソックス | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | X | 5 | 10 | 0 |
- 勝:ホセ・コントレラス(1勝) 敗:ワンディ・ロドリゲス(1敗) S:ボビー・ジェンクス(1S)
- 本塁打
HOU:マイク・ラム1号ソロ
CWS:ジャーメイン・ダイ1号ソロ、ジョー・クリーディ1号ソロ - 審判
[球審]ジョー・ウェスト
[塁審]一塁: ジェフ・ネルソン、二塁: ジェリー・レイン、三塁: デリル・カズンズ
[外審]左翼: ゲイリー・シダーストロム、右翼: エンジェル・ヘルナンデス - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時5分 試合時間: 3時間13分 観客: 4万1206人 気温: 53°F(11.7°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第2戦 10月23日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回裏、アンディ・ペティットが一塁走者の井口資仁を牽制球でアウトにしイニング終了(23秒) |
7回裏、ポール・コネルコの満塁本塁打でホワイトソックスが逆転(1分45秒) |
9回表、先頭打者ジェフ・バグウェルが今シリーズ初安打となる中前打を放つ(31秒) |
そこから二死二・三塁となり、ホセ・ビスカイーノが初球を左前へ運んでバグウェルら2走者が生還、アストロズが土壇場で同点に(59秒) |
その裏、スコット・ポドセドニックの本塁打でホワイトソックスがサヨナラ勝利(2分4秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ヒューストン・アストロズ | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 9 | 0 |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1x | 7 | 12 | 0 |
- 勝:ニール・コッツ(1勝) 敗:ブラッド・リッジ(1敗)
- 本塁打
HOU:モーガン・エンスバーグ1号ソロ
CWS:ポール・コネルコ1号満塁、スコット・ポドセドニック1号ソロ - 審判
[球審]ジェフ・ネルソン
[塁審]一塁: ジェリー・レイン、二塁: デリル・カズンズ、三塁: ゲイリー・シダーストロム
[外審]左翼: エンジェル・ヘルナンデス、右翼: ジョー・ウェスト - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時16分 試合時間: 3時間11分 観客: 4万1432人 気温: 45°F(7.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第3戦 10月25日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
マイケル・マクドナルドによる試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』独唱(2分12秒) |
5回表、先頭打者ジョー・クリーディの本塁打でホワイトソックスが1点を返す(28秒) |
9回裏、オーランド・ヘルナンデスが二死満塁の危機を凌ぎ、試合は延長戦へ(25秒) |
延長14回表、ジェフ・ブラムのソロ本塁打でホワイトソックスが1点を勝ち越し(28秒) |
その裏二死一・三塁からマーク・バーリーが登板、アダム・エバレットを遊飛に打ち取り試合を締める(52秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | R | H | E |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 14 | 3 |
ヒューストン・アストロズ | 1 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 8 | 1 |
- 勝:ダマソ・マルテ(1勝) 敗:エセキエル・アスタシオ(1敗) S:マーク・バーリー(1S)
- 本塁打
CWS:ジョー・クリーディ2号ソロ、ジェフ・ブラム1号ソロ
HOU:ジェイソン・レーン1号ソロ - 審判
[球審]ジェリー・レイン
[塁審]一塁: デリル・カズンズ、二塁: ゲイリー・シダーストロム、三塁: エンジェル・ヘルナンデス
[外審]左翼: ジョー・ウェスト、右翼: ジェフ・ネルソン - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時39分 試合時間: 5時間41分 観客: 4万2848人 気温: 61°F(16.1°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第4戦 10月26日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ホワイトソックスの先発投手フレディ・ガルシアはアストロズ打線を7回無失点に封じる(1分55秒) |
7回裏、アダム・エバレットの飛球を左翼手スコット・ポドセドニックが滑り込んで捕り、ポテンヒットとなるのを阻止(39秒) |
8回表二死三塁、ジャーメイン・ダイの中前打でホワイトソックスが先制(53秒) |
9回裏一死二塁、代打クリス・バークのファウルを遊撃手フアン・ウリーベが客席へ突入しながら捕球(1分3秒) |
次打者の代打オーランド・パルメイロをボビー・ジェンクスが遊ゴロに打ち取り試合終了、ホワイトソックスの優勝が決定(32秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 8 | 0 |
ヒューストン・アストロズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 |
- 勝:フレディ・ガルシア(1勝) 敗:ブラッド・リッジ(2敗) S:ボビー・ジェンクス(2S)
- 審判
[球審]デリル・カズンズ
[塁審]一塁: ゲイリー・シダーストロム、二塁: エンジェル・ヘルナンデス、三塁: ジョー・ウェスト
[外審]左翼: ジェフ・ネルソン、右翼: ジェリー・レイン - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時41分 試合時間: 3時間20分 観客: 4万2936人 気温: 65°F(18.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
脚注
注釈
- ^ 殿堂入りは指導者としてではなく、指名打者としての功績が評価されてのもの。
- ^ 殿堂入りは指導者としてではなく、外野手としての功績が評価されてのもの。
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2020年3月28日閲覧。
- ^ Paul Sullivan, Tribune Staff Writer, "FOILED AGAIN . . . AND AGAIN," Chicago Tribune, May 6, 1997. 2020年3月28日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年6月10日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、2005年のワールドシリーズに関連するカテゴリがあります。
ウィキニュースに関連記事があります。
- アメリカ・大リーグ、ホワイトソックス88年ぶりでワールドシリーズを制する
- MLB.com Postseason History(英語)
- ESPN.com(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 2005 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第4戦:2005 World Series, Game 4: White Sox @ Astros
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カテゴリ |
シカゴ・ホワイトソックス 2005年のワールドシリーズ ロースター |
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シカゴ・ホワイトソックス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ優勝(3回) | |
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ワールドシリーズ敗退(2回) | |
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リーグ優勝(6回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - シャーロット・ナイツ(AAA級)
- バーミングハム・バロンズ(AA級)
- ウィンストン・セイラム・ダッシュ(High-A級)
- カナポリス・キャノンボーラーズ(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・ホワイトソックス (Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・ホワイトソックス(Rookie級)
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ヒューストン・アストロズ |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ敗退(3回) | |
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リーグ優勝(5回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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