おらおらでひとりいぐも

おらおらでひとりいぐも
著者 若竹千佐子
イラスト 小幡彩貴
発行日 2017年11月17日
発行元 河出書房新社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 168
公式サイト www.kawade.co.jp
コード ISBN 978-4-309-02637-4
ISBN 978-4-309-41754-7(文庫版)
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おらおらでひとりいぐも』は、若竹千佐子小説。2017年11月17日に河出書房新社から刊行され[1]、2020年6月25日に文庫化された[2]。第54回文藝賞、第158回芥川龍之介賞受賞作[3][4]。2018年2月時点で累計発行部数は50万部を突破している[5]

一人称三人称が混交され、一人称は東北方言南部弁)、三人称は標準語で書かれている[6]。タイトルは宮沢賢治「永訣の朝」の一節[注 1]

2020年11月6日に映画版が公開[8]

あらすじ

75歳の老女桃子は、夫に先立たれ、娘とも疎遠の生活を送っている。その生活の中で、脳内で他者と会話をするようになる。桃子さんの心の声=寂しさたちと一緒に、郷里との別離、夫周造との出会い、必死だけど笑いの絶えない子育ての日々と、そしてひとりきりになった今を、行き来していく。孤独な桃子さんは、寂しさたちといつの間にかにぎやかな毎日に。そんな桃子さんの求めていたものは何か-

登場人物

書誌情報

単行本
  • 若竹千佐子 『おらおらでひとりいぐも』 河出書房新社、2017年11月17日発売、ISBN 978-4-309-02637-4
文庫本
  • 若竹千佐子 『おらおらでひとりいぐも』 河出文庫、2020年6月25日発売、ISBN 978-4-309-41754-7

映画

おらおらでひとりいぐも
Ora, Ora Be Goin' Alone
監督 沖田修一
脚本 沖田修一
原作 若竹千佐子
製作 竹内文恵
西ヶ谷寿一
西宮由貴
製作総指揮 豊島雅郎
濱田健二
出演者 田中裕子
蒼井優
東出昌大
濱田岳
青木崇高
宮藤官九郎
田畑智子
黒田大輔
山中崇
岡山天音
三浦透子
六角精児
大方斐紗子
鷲尾真知子
音楽 鈴木正人
主題歌 ハナレグミ『賑やかな日々』
撮影 近藤龍人
編集 佐藤崇
制作会社 東映東京撮影所
アスミック・エース
製作会社 『おらおらでひとりいぐも』製作委員会
配給 アスミック・エース
公開 日本の旗 2020年11月6日
上映時間 137分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 1億2506万円[9]
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2020年11月6日に公開[8][10]。監督は沖田修一[8]、主演は田中裕子[8](7年ぶり)。

第33回東京国際映画祭では特別招待作品として、11月3日にワールドプレミア上映が行われた[11]

あらすじ

75歳の日高桃子は夫の周造に先立たれて一人暮らしをしている。病院と図書館通いの繰り返しで、借りた本から「地球46億年の記憶ノート」を作る趣味はあるものの、馴染の図書館職員からサークルに誘われても挑戦する気は起きない。 そんな桃子の前に、おばさんコスプレの三人の男が現れる。時に桃子の独り言に茶々を入れ、時に素直な気持ちを代弁する「寂しさ1~3」という“心の声”である。だから、妄想の世界では賑やかな毎日へと変わっていく。 時々若い頃を思い出す。1964年、田舎を逃げ出すように上京した桃子は、食堂で働くうち常連客の周造に出会い結婚する。言いなりにならない「新しい女」になると決心していたが、「愛は曲者で、古い生き方に絡めとられた」と今は思う。 あれから55年、子どもたちは巣立ち、夫との平穏な日々をと思っていた矢先の夫の死である。息子や娘は疎遠になり、それよりも時々訪れるお巡りさんや車の営業マンの方が近しい。 最初は独り言に茶々を入れる「寂しさ」たちを無視していた桃子だったが、やがて掛け合いのようになり、いつしか一緒に戯れるようになっている。 生きる意味を模索する桃子は、過去の幸せだった頃の家族との思い出をたどり、自分の心の声たちと対話し、好奇心に満ちた妄想に浸るうち、今の自分があるのは「周造の計らい」だったと思えてくる。 自分の人生を振り返ると、一番輝いていたのはここ数年である。娘時代の自分に戻り、一人で生きる自由を得て、今まで見えなかった世界に出会えたのだ。 夫の墓参りをして「おらひとりでいぐも」と誓い、それ以来、妄想はより過激になる。卓球サークルへの誘いにも応じることにし、そして「おらたち、おめだ」と合唱する“心の声”と一緒に踊り出した。

キャスト

スタッフ

脚注

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注釈

  1. ^ 厳密には詩の本文では「Ora Orade Shitori egumo」とローマ字で表記されている[7]。この言葉は賢治の妹である宮沢トシの発話として記されたものである。
  2. ^ 東北弁祖母を意味する。

出典

  1. ^ “おらおらでひとりいぐも(単行本)”. 河出書房新社. 2020年7月15日閲覧。
  2. ^ “おらおらでひとりいぐも(文庫本)”. 河出文庫. 河出書房新社. 2020年7月15日閲覧。
  3. ^ “第54回文芸賞に63歳の若竹千佐子さん 「おらおらでひとりいぐも」”. 産経ニュース (2017年9月13日). 2020年6月18日閲覧。
  4. ^ “若竹千佐子:芥川賞受賞に「人生の終盤でこんな晴れがましいことが…」”. MANTANWEB(まんたんウェブ). 株式会社MANTAN (2018年1月16日). 2020年6月18日閲覧。
  5. ^ 『芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』 受賞24日で、50万部突破』(プレスリリース)河出書房新社、2018年2月9日。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000012754.html2022年1月22日閲覧 
  6. ^ “『おらおらでひとりいぐも』芥川賞候補入り記念公開 登場人物を立体的に表すためにも方言を使いました──保坂和志×若竹千佐子(2/4)”. Web河出. 河出書房新社 (2017年12月21日). 2020年6月18日閲覧。
  7. ^ 宮沢賢治『春と修羅』 - 青空文庫
  8. ^ a b c d e “田中裕子と蒼井優が2人1役、沖田修一監督で小説「おらおらでひとりいぐも」映画化”. 映画ナタリー. ナターシャ (2020年1月20日). 2020年6月18日閲覧。
  9. ^ 『キネマ旬報』2021年3月下旬特別号 p.52
  10. ^ “「おらおらでひとりいぐも」大島依提亜がディレクションしたポスター公開”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年10月21日). https://natalie.mu/eiga/news/401546 2020年10月21日閲覧。 
  11. ^ “特別招待作品『おらおらでひとりいぐも』Ora, Ora Be Goin' Alone”. 第33回東京国際映画祭 10.31-11.9. 2020年10月6日閲覧。
  12. ^ a b c d “東出昌大、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、『おらおらでひとりいぐも』出演へ ビジュアルも公開”. Real Sound (株式会社blueprint). (2020年6月22日). https://realsound.jp/movie/2020/06/post-571697.html 2020年7月15日閲覧。 
  13. ^ “映画『おらおらでひとりいぐも』主題歌がハナレグミの新曲に決定 沖田修一監督が作詞に初挑戦”. Real Sound (株式会社blueprint). (2020年7月15日). https://realsound.jp/movie/2020/07/post-585532.html 2020年7月15日閲覧。 

外部リンク

  • 若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」特設サイト
  • おらおらでひとりいぐも:若竹千佐子 - 河出書房新社
  • おらおらでひとりいぐも:若竹千佐子 - 河出書房新社(文庫版)
  • 映画『おらおらでひとりいぐも』公式サイト
  • 映画『おらおらでひとりいぐも』公式 (@oraora_movie) - X(旧Twitter)
  • 映画『おらおらでひとりいぐも』 (oraora.movie) - Facebook
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