スラッシュ分布

スラッシュ
確率密度関数
累積分布関数
x ( , ) {\displaystyle x\in (-\infty ,\infty )}
確率密度関数 { φ ( 0 ) φ ( x ) x 2 x 0 1 2 2 π x = 0 {\displaystyle {\begin{cases}{\frac {\varphi (0)-\varphi (x)}{x^{2}}}&x\neq 0\\{\frac {1}{2{\sqrt {2\pi }}}}&x=0\\\end{cases}}}
累積分布関数 { Φ ( x ) [ φ ( 0 ) φ ( x ) ] / x x 0 1 / 2 x = 0 {\displaystyle {\begin{cases}\Phi (x)-\left[\varphi (0)-\varphi (x)\right]/x&x\neq 0\\1/2&x=0\\\end{cases}}}
期待値 存在しない
中央値 0
最頻値 0
分散 存在しない
歪度 存在しない
尖度 存在しない
モーメント母関数 存在しない
特性関数 2 π ( φ ( t ) + t Φ ( t ) max { t , 0 } ) {\displaystyle {\sqrt {2\pi }}{\Big (}\varphi (t)+t\Phi (t)-\max\{t,0\}{\Big )}}
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確率論におけるスラッシュ分布(スラッシュぶんぷ、: slash distribution)は、標準正規分布に従う確率変数を、それとは独立に一様分布に従う確率変数で割った商が従う確率分布である[1]。言い換えると、確率変数 Z が平均0、分散1の正規分布に従い、確率変数 U が [0,1] 上の一様分布に従い、ZU が独立であるとき、XZ / U はスラッシュ分布に従う。スラッシュ分布は 比分布(英語版)の一例である。この分布はウィリアム・H・ロジャースとジョン・テューキーの1972年の論文において命名された[2]

確率密度関数f(x)は

f ( x ) = φ ( 0 ) φ ( x ) x 2 = 1 2 π 1 exp ( x 2 / 2 ) x 2 {\displaystyle f(x)={\frac {\varphi (0)-\varphi (x)}{x^{2}}}={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}{\frac {1-\exp(-x^{2}/2)}{x^{2}}}}

ここで φ(x) は標準正規分布の確率密度関数である[3]特異点 x = 0 は除去可能である:

lim x 0 f ( x ) = φ ( 0 ) 2 = 1 2 2 π {\displaystyle \lim _{x\to 0}f(x)={\frac {\varphi (0)}{2}}={\frac {1}{2{\sqrt {2\pi }}}}}

累積分布関数F(x)は

F ( x ) = Φ ( x ) φ ( 0 ) φ ( x ) x = 1 2 erfc ( x / 2 ) 1 2 π 1 exp ( x 2 / 2 ) x {\displaystyle F(x)=\Phi (x)-{\frac {\varphi (0)-\varphi (x)}{x}}={\frac {1}{2}}\operatorname {erfc} (-x/{\sqrt {2}})-{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}{\frac {1-\exp(-x^{2}/2)}{x}}}

ここでΦ(x)は標準正規分布の累積分布関数、erfcは相補誤差関数である。確率密度関数と同様に特異点 x = 0 は除去可能である:

F ( 0 ) = 1 2 {\displaystyle F(0)={\frac {1}{2}}}

スラッシュ分布の最もありふれた使途はシミュレーションの研究におけるものである。この分布は正規分布よりは裾が重くコーシー分布ほどは病的でないという点で便利である[3]

脚注

  1. ^ Davison, Anthony Christopher; Hinkley, D. V. (1997). Bootstrap methods and their application. Cambridge University Press. p. 484. ISBN 978-0-521-57471-6. http://www.cambridge.org/us/knowledge/isbn/item1154176/?site_locale=en_US 2012年9月24日閲覧。 
  2. ^ Rogers, W. H.; Tukey, J. W. (1972). “Understanding some long-tailed symmetrical distributions”. Statistica Neerlandica 26 (3): 211–226. doi:10.1111/j.1467-9574.1972.tb00191.x. 
  3. ^ a b “SLAPDF”. Statistical Engineering Division, National Institute of Science and Technology. 2009年7月2日閲覧。

パブリックドメイン この記事にはパブリックドメインである、アメリカ合衆国連邦政府が作成した次の文書本文を含む。アメリカ国立標準技術研究所.

離散単変量で
有限台
離散単変量で
無限台
  • ベータ負二項(英語版)
  • ボレル(英語版)
  • コンウェイ–マクスウェル–ポワソン(英語版)
  • 離散位相型(英語版)
  • ドラポルト(英語版)
  • 拡張負二項(英語版)
  • ガウス–クズミン
  • 幾何
  • 対数(英語版)
  • 負の二項
  • 放物フラクタル(英語版)
  • ポワソン
  • スケラム(英語版)
  • ユール–サイモン(英語版)
  • ゼータ(英語版)
連続単変量で
有界区間に台を持つ
  • 逆正弦(英語版)
  • ARGUS(英語版)
  • バルディング–ニコルス(英語版)
  • ベイツ(英語版)
  • ベータ
  • beta rectangular(英語版)
  • アーウィン–ホール(英語版)
  • クマラスワミー(英語版)
  • ロジット-正規(英語版)
  • 非中心ベータ(英語版)
  • raised cosine(英語版)
  • reciprocal(英語版)
  • 三角
  • U-quadratic(英語版)
  • 一様
  • ウィグナー半円
連続単変量で
半無限区間に台を持つ
  • ベニーニ(英語版)
  • ベンクタンダー第一種(英語版)
  • ベンクタンダー第二種(英語版)
  • 第2種ベータ
  • Burr(英語版)
  • カイ二乗
  • カイ(英語版)
  • Dagum(英語版)
  • デービス(英語版)
  • 指数-対数(英語版)
  • アーラン
  • 指数
  • F
  • folded normal(英語版)
  • Flory–Schulz(英語版)
  • フレシェ
  • ガンマ
  • gamma/Gompertz(英語版)
  • 一般逆ガウス(英語版)
  • Gompertz(英語版)
  • half-logistic(英語版)
  • half-normal(英語版)
  • Hotelling's T-squared(英語版)
  • 超アーラン(英語版)
  • 超指数(英語版)
  • hypoexponential(英語版)
  • 逆カイ二乗(英語版)
    • scaled inverse chi-squared(英語版)
  • 逆ガウス
  • 逆ガンマ
  • コルモゴロフ
  • レヴィ
  • 対数コーシー
  • 対数ラプラス(英語版)
  • 対数ロジスティック(英語版)
  • 対数正規
  • ロマックス(英語版)
  • 行列指数(英語版)
  • マクスウェル–ボルツマン
  • マクスウェル–ユットナー(英語版)
  • ミッタク-レフラー(英語版)
  • 仲上(英語版)
  • 非心カイ二乗
  • パレート
  • 位相型(英語版)
  • poly-Weibull(英語版)
  • レイリー
  • relativistic Breit–Wigner(英語版)
  • ライス(英語版)
  • shifted Gompertz(英語版)
  • 切断正規
  • タイプ2ガンベル(英語版)
  • ワイブル
    • 離散ワイブル(英語版)
  • ウィルクスのラムダ(英語版)
連続単変量で
実数直線全体に台を持つ
連続単変量で
タイプの変わる台を持つ
  • 一般極値
  • 一般パレート(英語版)
  • マルチェンコ–パストゥール(英語版)
  • q-指数(英語版)
  • q-ガウス
  • q-ワイブル(英語版)
  • shifted log-logistic(英語版)
  • トゥーキーのラムダ(英語版)
混連続-離散単変量
  • rectified Gaussian(英語版)
多変量 (結合)
【離散】
エウェンズ(英語版)
多項
ディリクレ多項(英語版)
負多項(英語版)
【連続】
ディリクレ
一般ディリクレ(英語版)
多変量正規
多変量安定(英語版)
多変量 t(英語版)
正規逆ガンマ(英語版)
正規ガンマ(英語版)
行列値
逆行列ガンマ(英語版)
逆ウィッシャート(英語版)
行列正規(英語版)
行列 t(英語版)
行列ガンマ(英語版)
正規逆ウィッシャート(英語版)
正規ウィッシャート(英語版)
ウィッシャート
方向
【単変量 (円周) 方向
円周一様(英語版)
単変数フォン・ミーゼス
wrapped 正規(英語版)
wrapped コーシー(英語版)
wrapped 指数(英語版)
wrapped 非対称ラプラス(英語版)
wrapped レヴィ(英語版)
【二変量 (球面)】
ケント(英語版)
【二変量 (トロイダル)】
二変数フォン・ミーゼス(英語版)
【多変量】
フォン・ミーゼス–フィッシャー(英語版)
ビンガム(英語版)
退化特異
  • 円周(英語版)
  • 混合ポワソン(英語版)
  • 楕円(英語版)
  • 指数
  • 自然指数(英語版)
  • 位置尺度(英語版)
  • 最大エントロピー(英語版)
  • 混合(英語版)
  • ピアソン(英語版)
  • トウィーディ(英語版)
  • wrapped(英語版)
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