丹生川ダム

曖昧さ回避 この項目では、岐阜県の丹生川ダムについて説明しています。山形県の丹生川ダムについては「新鶴子ダム」をご覧ください。
曖昧さ回避 群馬県の「丹生ダム」および「丹生湖」、滋賀県の「丹生ダム」、あるいは和歌山県の「紀伊丹生川ダム」とは異なります。
丹生川ダム
丹生川ダム
左岸所在地 岐阜県高山市丹生川町折敷地
位置 北緯36度13分01秒 東経137度22分16秒 / 北緯36.21694度 東経137.37111度 / 36.21694; 137.37111
河川 神通川水系荒城川
ダム湖 五味原湖
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 69.5 m
堤頂長 227 m
堤体積 231,000
流域面積 23 km²
湛水面積 32 ha
総貯水容量 6,200,000 m³
有効貯水容量 5,300,000 m³
利用目的 洪水調節・不特定利水・
上水道発電
事業主体 岐阜県
電気事業者 中部電力
発電所名
(認可出力)
丹生川発電所 (350kW)
施工業者 大林組三井住友建設・市川工務店・TSUCHIYA
着手年/竣工年 1975年/2012年
出典 [1]
備考 2013年グッドデザイン賞[2]
土木学会デザイン賞2014奨励賞[3]
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丹生川ダム(にゅうかわダム)は、岐阜県高山市丹生川町、一級河川神通川水系荒城川(あらきがわ)に建設されたダム。高さ69.5メートルの重力式コンクリートダムで、洪水調節・不特定利水・上水道発電を目的とする、岐阜県営多目的ダムである。ダム人造湖)の名は五味原湖(ごみはらこ)という。2013年グッドデザイン賞[2]、土木学会デザイン賞2014奨励賞[3]受賞。

歴史

荒城川は、岐阜県の北東部、飛騨山脈(北アルプス)の西側斜面水源とする[4]日本三百名山川上岳に端を発し、富山湾日本海)に注ぐ宮川(神通川)の支流である[5]。宮川の流域では、1983年昭和58年)9月の台風10号や、1999年平成11年)6月の梅雨前線および9月の台風16号2004年(平成16年)10月の台風23号などによる水害土砂災害に見舞われており、荒城川では1963年(昭和38年)から治水のための河川改修事業が始まり、1989年(平成元年)には河川総合開発事業の一環として丹生川ダムの建設が着手となった[6]

丹生川ダムは、洪水調節・不特定利水・上水道を目的とする多目的ダムとして設計された[7]。まず、洪水調節については、基本高水を200立方メートル毎秒と見込み、そのうち130立方メートル毎秒を丹生川ダムでカットすることとした[8]。一方で灌漑期における渇水による被害も発生しており、住民からは取水の安定を求める声も上がっていたことから、木曽垣内頭首工地点で最大で2.3立方メートル毎秒を確保して流水の正常な機能の維持を図った[9]。また、丹生川町南西部に供給する上水道用水として0.004立方メートル毎秒、日量350立方メートルを取水できるようにした[8]

岐阜県は1975年(昭和50年)度より丹生川ダム実施計画調査に着手[10]。1989年度に建設事業に着手し、1990年(平成2年)度より工事用道路の建設を開始した[10]1992年(平成4年)度には補償協定が結ばれ、水没地からの集団移転が1993年(平成5年)度に完了[10]1994年(平成6年)度より付け替え道路の工事が着手され、2003年(平成15年)度よりダム本体工事を開始[10]2006年(平成18年)度から2010年(平成22年)6月にかけてダム本体のコンクリート打設が行われ、2011年(平成23年)10月に試験湛水を開始し、2012年(平成24年)4月に終了[10]。同年5月に竣工記念式典を執り行い、同年6月より運用に移行した[10]2013年(平成25年)にはグッドデザイン賞を受賞[2]。審査委員は景観と調和したダム本体のデザインのみならず、管理所建物や公園を含めた全体のデザインを評価した上で、ダムが持つ治水・利水機能がいかに人々にとって大切かということを示す必要があると訴えた[2]2014年(平成26年)には土木学会デザイン賞奨励賞を受賞している[3]

丹生川ダム直下の丹生川発電所は、ダム完成後の2015年(平成27年)3月20日に着工、2016年(平成28年)6月29日に営業運転を開始した。中部電力水力発電所で、ダムからの河川維持放流水(最大1立方メートル毎秒)を活用し、最大350キロワットの電力を発生する。年間発生電力量は210万キロワット時を見込む[11]

周辺

高山市中心市街地から国道158号を東へ進み、丹生川町から岐阜県道89号高山上宝線を北東へ進むと丹生川ダムに至る。ダム天端は車道になっており、左岸にあるダム管理所の周辺は公園として整備されている。ダム湖には水没した集落の名をとって五味原湖と名付けられた[7]。ダム手前で県道を外れ、荒城川に沿って上流へ向かうと丹生川ダムの直下に出る。ダム下流には温泉の荒城温泉 恵比須之湯がある。

  • 五味原湖
    五味原湖
  • 丹生川ダム管理所
    丹生川ダム管理所
  • 天端から荒城川下流を見下ろす
    天端から荒城川下流を見下ろす

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 電気事業者・発電所名については「阿多岐水力発電所および丹生川水力発電所の開発計画について」より、その他は「ダム便覧」による(2018年1月28日閲覧)。
  2. ^ a b c d 「Good Design Award 2013 丹生川ダム」より(2013年10月7日閲覧)。
  3. ^ a b c “土木学会デザイン賞2014奨励賞:丹生川ダム”. 土木学会景観・デザイン委員会. 2018年1月28日閲覧。
  4. ^ 『河川大事典』44ページ。
  5. ^ 『一級河川神通川水系 宮川圏域河川整備計画』1ページ。
  6. ^ 『一級河川神通川水系 宮川圏域河川整備計画』3 - 4ページ。
  7. ^ a b 「ダム便覧 丹生川ダム」より(2012年11月28日閲覧)。
  8. ^ a b 『一級河川神通川水系 宮川圏域河川整備計画』33ページ。
  9. ^ 『一級河川神通川水系 宮川圏域河川整備計画』7、15、33ページ。
  10. ^ a b c d e f 「『宮川上流河川開発工事事務所閉庁式』を開催します(記者発表資料)」2ページ。
  11. ^ “「丹生川水力発電所」営業運転開始について”. 中部電力 (2016年6月29日). 2018年1月28日閲覧。

参考文献

  • 岐阜県『一級河川神通川水系 宮川圏域河川整備計画』2006年12月25日一部変更、2012年11月28日閲覧。
  • 岐阜県河川課「『宮川上流河川開発工事事務所閉庁式』を開催します」2012年8月18日更新、2012年11月28日閲覧。
  • 南雲勝志・廣村正彰・横川正紀「Good Design Award 2013 丹生川ダム」日本デザイン振興会、2013年10月7日閲覧。
  • 日外アソシエーツ編集『河川大事典』日外アソシエーツ、1991年2月21日。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、丹生川ダムに関連するカテゴリがあります。

外部リンク

  • 丹生川ダム - ダム便覧
  • ダム技術センター ダムニュース No. 342(平成24年8月) 丹生川ダム竣工 -岐阜県-
  • 岐阜県 丹生川ダム
  • 大林組 丹生川多目的ダム
  • 市川工務店 丹生川多目的ダム工事
  • 土木事例 丹生川多目的ダム本体工事
  • クレアリア 丹生川ダム
  • Good Design Award 2013 丹生川ダム
  • 土木学会デザイン賞2014奨励賞 丹生川ダム
グッドデザイン建築・環境デザイン部門(2000 - 2007)
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
1994-1999/2000-2007/2008-2010/2011-2015/2015-2020/2021-
土木学会デザイン賞
2001
最優秀賞
優秀賞
2002
最優秀賞
優秀賞
2003
最優秀賞
優秀賞
特別賞
2004
最優秀賞
優秀賞
2005
最優秀賞
特別賞
2006
最優秀賞
優秀賞
2007
最優秀賞
優秀賞
2008
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
選考委員会
特別賞
2009
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
  • 地獄平砂防えん堤
2010
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
  • 由布院・湯の坪街道・潤いのある町並みの再生
  • 板櫃川 水辺の楽校
  • 景観に配慮したアルミニウム合金製橋梁用ビーム型防護柵アスレール
特別賞
2011
優秀賞
奨励賞
  • 白水川床固群
  • YKKセンターパーク及び周辺整備
2012
最優秀賞
優秀賞
  • 新四万十川橋
  • 各務原市 瞑想の森
奨励賞
  • 札幌みんなのサイクル ポロクル
2013
最優秀賞
優秀賞
  • 札幌都心における個性的なストリート文化の創造〜創成川通・札幌駅前通
  • 川内川激甚災害対策特別緊急事業(虎居地区及び推込分水路・曽木の滝分水路)
  • 長崎港松が枝国際観光船埠頭
奨励賞
2014
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
2015
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
2016
最優秀賞
  • 太田川大橋
  • 白糸ノ滝 滝つぼ周辺環境整備
  • 天神川水門
  • 上西郷川 里川の再生
優秀賞
奨励賞
2017
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
2018
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
2019
最優秀賞
  • 津和野川・名賀川河川災害復旧助成事業名賀川工区
  • 女川駅前シンボル空間 / 女川町震災復興事業
  • 花園町通り
優秀賞
奨励賞
2020
最優秀賞
優秀賞
  • 勘六橋
  • 京都市 四条通歩道拡幅事業 / 歩いて楽しいまちなか戦略事業
  • の再生と土木遺産の再現 八の字堰
  • 虎渓用水広場
奨励賞
2021
最優秀賞
優秀賞
奨励賞
  • さくらみらい橋
  • 水木しげるロードリニューアル事業
  • 線路敷ボードウォーク広場
  • 松原市民松原図書館
2022
最優秀賞
  • 川原川・川原川公園
  • 白川河川激甚災害対策特別緊急事業(龍神橋〜小磧橋区間)
  • アクリエひめじ及びキャスティ21公園
優秀賞
  • 熊本城特別見学通路
  • 利賀大橋
  • 星野川災害復旧助成事業 宮ケ原工区
  • 宇治川塔の島地区石積護岸と周辺施設群
  • 気仙沼内湾ウォーターフロント
  • 吉里吉里地区復興まちづくり
  • 﨑津・今富の文化的景観整備
奨励賞
  • 遠賀川多自然魚道公園
  • 横瀬川ダム
  • 敦賀駅交流施設「オルパーク」 / 駅前広場
  • やまだばし思い出テラス
  • 中瀬草原キャンプ場
  • 福岡市立平尾霊園合葬式墓所 山の合葬式墓所 / 山の広場
  • 柳川市民文化会館周辺の掘割景観デザイン
2023
最優秀賞
  • さいき城山桜ホール・大手前地区
  • 花畑広場(くまもと街なか広場 / 花畑公園 / 辛島公園
  • 石巻市街地における旧北上川の復興かわまちづくり
優秀賞
奨励賞
  • 竹芝デッキ 港歩行者専用道第8号線
  • 長久手市公園西駅1号公園
  • たのしむカワベ —広瀬川河畔緑地整備事業「文学館エリア」—
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