都市社会地理学

都市社会地理学(とししゃかいちりがく、英語: urban social geography)とは、社会地理学的な立場からみた都市地理学研究のアプローチである[1]

研究動向

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国で都市社会地理学の研究が盛んになったのは、公民権運動の影響である[2]。当時は社会問題に関する研究への関心が強く、人種民族集団や貧困に関する研究がよく行われた[2]。当時の人種差別社会的不平等に対する異議申し立てが研究の背景にあり、都市社会地理学ではセグリゲーションの研究などが行われた[3]。また、1980年代になると女性を取り上げた研究も増加していった[4]

その後は都市社会地理学の領域で都市問題を幅広く研究するようになり、都市交通・都市内部での人口移動ハウジングに関する研究も行われるようになっていった[2]

日本

日本では、社会学カルチュラル・スタディーズ建築学における空間論的転回の影響を受けて、都市社会地理学への関心が高まってきた[5]。また、急速なグローバル化の時代下で、1980年後半以降の日本の都市社会地理学研究は、都市コミュニティ・社会階層化・ポリティクスエスニシティ[注釈 1]といった研究に発展していった[7]。また、少子高齢化のほか、一人親家庭や単身世帯の増加に伴う対策も都市社会地理学の現代の課題となっている[8]

脚注

注釈

  1. ^ 出入国管理及び難民認定法改正に伴い日系ブラジル人技能実習生が来日したことが、エスニシティ研究の拡大の要因になっている[6]

出典

  1. ^ 神谷 2018, p. 2.
  2. ^ a b c 山下 1984, p. 312.
  3. ^ 高橋ほか 1997, p. 228.
  4. ^ 高橋ほか 1997, p. 227.
  5. ^ Taira 2008, p. 279.
  6. ^ 神谷 2018, p. 5.
  7. ^ Taira 2008, p. 287.
  8. ^ 神谷 2018, p. 6.

参考文献

  • 神谷浩夫『ベーシック都市社会地理学』ナカニシヤ出版、2018年。ISBN 978-4-7795-1243-8。 
  • 高橋伸夫、菅野峰明村山祐司、伊藤悟『新しい都市地理学』東洋書林、1997年。ISBN 4-88721-302-6。 
  • 山下清海「民族集団のすみわけに関する都市社会地理学的研究の展望」『人文地理』第36巻第4号、1984年、312-326頁。 
  • TAIRA Atsushi (2008). “A Critical Review of Recent Urban Social Geography in Japan”. Geographical Review of Japan 81 (5): 33-45. https://doi.org/10.4157/grj.81.279. 
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