2020年オーストラリアグランプリ

オーストラリアの旗 2020年オーストラリアグランプリ
レース詳細
日程 2020年シーズン第1戦
決勝開催日 中止
開催地 アルバート・パーク・サーキット
オーストラリアの旗 オーストラリア メルボルン
コース 市街地コース
コース長 5.303km
レース距離 58周 (307.574km)
ポールポジション
ドライバー
  • 該当者なし
決勝順位
優勝
  • 該当者なし
    記録なし
2位
  • 該当者なし
3位
  • 該当者なし

2020年オーストラリアグランプリ (2020 Australian Grand Prix) は、2020年のF1世界選手権の開幕戦として、2020年3月15日アルバート・パーク・サーキットで開催される予定であったが、マクラーレンのスタッフ1名が2019新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したこと[1]をきっかけに中止する形となった[2]

正式名称は「Formula 1 Rolex Australian Grand Prix 2020[3]

レース前

タイヤ
本レースでピレリが持ち込むドライタイヤのコンパウンドは、ハード(ホワイト)がC2、ミディアム(イエロー)がC3、ソフト(レッド)がC4[4]

エントリー

前年からのドライバー変更
ルノーニコ・ヒュルケンベルグに代わりエステバン・オコン2018年以来2年ぶりのF1復帰[5]ウィリアムズロバート・クビサに代わり新人ニコラス・ラティフィを起用した[6]
チーム名変更
スクーデリア・トロ・ロッソスクーデリア・アルファタウリに名称を変更した[7]
エントリーリスト
チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー パワーユニット
ドイツの旗 メルセデスAMG・ペトロナス・F1チーム 44 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン メルセデス W11 メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance
77 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ 5 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル フェラーリ SF1000 フェラーリ 065
16 モナコの旗 シャルル・ルクレール
オーストリアの旗 アストンマーティン・レッドブル・レーシング 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン レッドブル RB16 ホンダ RA620H
23 タイ王国の旗 アレクサンダー・アルボン
イギリスの旗 マクラーレンF1チーム 55 スペインの旗 カルロス・サインツ マクラーレン MCL35 ルノー E-Tech 20
4 イギリスの旗 ランド・ノリス
フランスの旗 ルノー・DPワールド・F1チーム 3 オーストラリアの旗 ダニエル・リカルド ルノー R.S.20 ルノー E-Tech 20
31 フランスの旗 エステバン・オコン
イタリアの旗 スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ 26 ロシアの旗 ダニール・クビアト アルファタウリ AT01 ホンダ RA620H
10 フランスの旗 ピエール・ガスリー
イギリスの旗 BWT・レーシング・ポイント・F1チーム 11 メキシコの旗 セルジオ・ペレス レーシング・ポイント RP20 BWTメルセデス
(メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance)
18 カナダの旗 ランス・ストロール
スイスの旗 アルファロメオ・レーシング・オーレン 7 フィンランドの旗 キミ・ライコネン アルファロメオ C39 フェラーリ 065
99 イタリアの旗 アントニオ・ジョヴィナッツィ
アメリカ合衆国の旗 ハースF1チーム 8 フランスの旗 ロマン・グロージャン ハース VF-20 フェラーリ 065
20 デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン
イギリスの旗 ロキット・ウィリアムズ・レーシング 63 イギリスの旗 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ FW43 メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance
6 カナダの旗 ニコラス・ラティフィ
ソース:[8]
追記

中止に至る経緯

2019新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による影響により、第4戦として4月19日に決勝を迎える予定であった中国GPの開催延期が2月12日に発表された[9]3月8日には本レースの翌週に開催予定であったバーレーンGPがF1史上初の無観客レースとして開催されることが決まった[10]。ヨーロッパでは特にフェラーリアルファタウリ、そしてピレリが拠点を持つイタリアで感染者が急増していたが、フェラーリ陣営は出国する手続きが認められたこともあり[11]、少なくとも各陣営現地入りすることが可能であったため、主催者は予定通りレースを開催する考えであった[12]

レース開催による感染拡大を防ぐため、水曜日恒例のイベントであるドライバーのサイン会を中止し、ファンがドライバーと接する機会を排除した。木曜日(3月12日)の午前中にチームとF1首脳陣の間で新型コロナウイルスに感染する可能性を最小限にするための対策が話し合われ、全てのテレビメディアスクラムを取りやめた[13]。一方で木曜のドライバー参加のFIA記者会見の際には、「Cash is King(現金は王様)」という皮肉が飛び出し[注 1]、開催について不安は募る一方であった。

しかし、搬入日である水曜日(3月11日)にマクラーレンのスタッフ1名が体調を崩し、検査の結果新型コロナウイルスに感染していたことが翌日判明したため、マクラーレンは本レースから撤退した[1]。これを受け、F1とFIAおよび各チームで会合が行われ[14]、翌日(3月13日)の朝9時にレースの中止が正式発表された[2]。ちなみにグランプリ中止という意味では2011年バーレーンGP[注 2]が直近となるが、この時とは状況が異なっている[注 3]。そのため、グランプリが進行している最中に中止が宣言されたのは1985年ベルギーGP以来となる。ただし、この時は金曜フリー走行実施の段階で舗装された路面が剥がれるトラブルが多発し、走れるコンディションではないというドライバーの抗議もあり中止[注 4][15]となったのに対し、今回のようにチームが現地入りしたにもかかわらず、金曜フリー走行開始前に中止となったのは史上初となる。

中止決定後

本レースの中止が決まった13日の夜、F1とFIAはバーレーンGPとベトナムGPの開催延期を発表した[16]。その後、それ以降のグランプリも中止や延期が相次いで発表されたが、いくつかのレースは完全に中止になった訳ではない。

マクラーレンのスタッフが感染した後、そのスタッフと濃厚接触していた14名のスタッフも予防措置のため2週間の隔離措置を受けることになった[17]アンドレアス・ザイドル代表は隔離されたスタッフのサポートのためメルボルンに残った。他のスタッフは順次イギリスに帰国したが、予防措置のためマクラーレン・テクノロジー・センターには出社せず、2週間自宅待機させた[18]。感染したマクラーレンのスタッフはその後回復に向かったものの、ピレリのスタッフ1名も新型コロナウイルスに感染したことが判明した[19]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ ちなみに報道ではハミルトンの発言とされているが、実際は最初にベッテルがそれを発し、ハミルトンもそれに同調して繰り返しただけであったが、マイクの不調によりベッテルの発言は聞こえず、ハミルトンの発言しか拾えなかったとされている。皮肉たっぷりの「現金は王様」発言…ハミルトンではなくベッテルの意見だったformula1-data.com(2020年3月26日)2020年7月2日閲覧
  2. ^ 2011年バーレーン騒乱の影響により中止。
  3. ^ 実際、2011年バーレーンGPは、当初は騒乱の影響で予定日での開催が中止になったという形であり、完全に中止が決定したのは当初の予定日から約3か月後の6月9日となっている。中止のF1オーストラリアGP、シーズン後半に開催の可能性? 主催者が示唆jp.motorsport.com(2020年3月9日)2020年3月15日閲覧
  4. ^ レースは当初予定の6月2日から3ヶ月後の9月15日に改めて開催されることになったが、6週で5レース開催という過密日程にチームが反対したことで、その翌週に行われる予定であったヨーロッパGPは10月6日(日付はいずれも決勝開催日)に変更された。 “急遽延期となった“もうひとつ”のF1レース:1985年ベルギーGP”. motorsport.com (2020年3月28日). 2020年3月30日閲覧。

出典

  1. ^ a b “マクラーレンF1、オーストラリアGPの参戦取りやめ。チームスタッフが新型コロナウイルス検査で陽性”. autosport web (2020年3月12日). 2020年3月12日閲覧。
  2. ^ a b “F1オーストラリアGP中止が正式発表「大多数のチームの見解によって結論」”. motorsport.com (2020年3月13日). 2020年3月13日閲覧。
  3. ^ “Australian Grand Prix 2020 - F1 Race”. The Official F1 Website. 2020年3月12日閲覧。
  4. ^ “2020年F1開幕戦オーストラリアGPのタイヤ選択が明らかに。メルセデスがソフトタイヤを最多10セット”. autosport web (2020年3月4日). 2020年3月12日閲覧。
  5. ^ “オコンがルノーと複数年契約、2020年にF1復帰へ。ヒュルケンベルグは3年で離脱”. autosport web (2019年8月29日). 2020年3月12日閲覧。
  6. ^ “ウイリアムズF1がクビサの後任としてルーキー、ラティフィを起用。全チームの2020年ドライバーが確定”. autosport web (2019年11月28日). 2020年3月12日閲覧。
  7. ^ “スクーデリア・トロロッソF1、2月14日に「アルファタウリ」へと名称変更”. autosport web (2020年2月1日). 2020年3月12日閲覧。
  8. ^ “Entry List”. FIA (2020年3月12日). 2020年3月12日閲覧。
  9. ^ “FIAとF1が中国GP延期を決定。新型コロナウイルスの状況を注視し、代替日程について検討へ”. autosport web (2020年2月12日). 2020年3月12日閲覧。
  10. ^ “F1史上初! バーレーンGPは新型コロナウイルスの流行受け無観客レースに”. motorsport.com (2020年3月9日). 2020年3月12日閲覧。
  11. ^ 朗報…マラネロ封鎖のフェラーリ、オーストラリアへの出国権限得るformula1-data.com(2020年3月9日)2020年3月15日閲覧
  12. ^ “新型コロナウイルスの影響広がる中……F1オーストラリアGPは予定通り開催へ”. motorsport.com (2020年3月2日). 2020年3月12日閲覧。
  13. ^ “新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため……豪州GPのTVメディアスクラムが中止”. motorsport.com (2020年3月12日). 2020年3月12日閲覧。
  14. ^ “F1オーストラリアGPの中止が正式に発表。F1チームスタッフの新型コロナ感染を受け”. motorsport.com (2020年3月13日). 2020年3月13日閲覧。
  15. ^ “特集:幻のレース”. ESPN F1 (2010年9月22日). 2020年3月16日閲覧。
  16. ^ “F1バーレーンGPとベトナムGPの延期が決定。2020年シーズンは「5月末スタート」に”. autosport web (2020年3月13日). 2020年3月13日閲覧。
  17. ^ “マクラーレン、スタッフ14人が2週間の隔離へ。今後の開催スケジュールにも影響?”. motorsport.com (2020年3月13日). 2020年3月17日閲覧。
  18. ^ “マクラーレンF1チーム代表、隔離スタッフのサポートのためメルボルンに残留”. autosport web (2020年3月16日). 2020年3月17日閲覧。
  19. ^ “ピレリF1のスタッフが新型コロナウイルスの検査で陽性。オーストラリアGP関係者では2人目”. autosport web (2020年3月17日). 2020年3月17日閲覧。
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