封鎖破り

封鎖破り
Les Forceurs de blocus
ドルフィン号[1]
ドルフィン号[1]
著者 ジュール・ヴェルヌ
イラスト ジュール・フェラ
発行日 1865年
発行元 P-J・エッツェル
ジャンル 海洋冒険小説
フランスの旗 フランス
言語 フランス語
形態 雑誌掲載
前作 月世界旅行
次作 ハテラス船長の冒険
ウィキポータル 文学
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封鎖破り』(ふうさやぶり、Les Forceurs de blocus)はジュール・ヴェルヌの短編小説。1865年に雑誌掲載された[2]ものに手を加えて[3]驚異の旅シリーズとして出版された。

ストーリー

時は南北戦争のただ中、海上封鎖の影響で綿花市場は停滞し、グラスゴーの綿織物工場は操業停止に見舞われ、南軍は武器や物資が不足していた。綿花貿易を営むイギリス人船主のヴィンセント・プレイフェアと甥のジェームズはこれをビジネスチャンスと見て、英国製の封鎖突破船「ドルフィン号」を使い、軍需物資の売却金で綿花貿易を再開する計画を立てる。

ドルフィン号は選り抜きのクルーとともにグラスゴーからチャールストンへ向かう。船にはクルーを装った男ジェームズと見習いのジョン・スティッグスも乗っていた。

ジェームズはハリバート家の使用人で、ジョンは実は男装したハリバートの娘ジェニーであった。ジョナサン・ハリバートはジャーナリストで、奴隷廃止論者であるためチャールストンで投獄されており、ドルフィン号は南軍のための武器をチャールストンに運ぶが、北軍による海上封鎖に巻き込まれてしまう。

いつしか二人の間には愛情が芽生え、ジェニーはジェームズに対し、この船を金儲けよりも高尚な目的のために使うよう説得する。綿花を積んだ船はチャールストンを出発し、ついに北軍の海上封鎖を突破する。ジェニーは南軍に武器を返還し、ジェームズとの愛を成就させる。

解説

封鎖突破船(1899年のイラスト)

この物語は南北戦争時における、封鎖突破船「ドルフィン号」の来歴と航海を描いている。1860年代初頭、チャールストン周辺では海上封鎖のために多くの船が失われており、史実に触発された内容となっている。

登場人物

  • ヴィンセント・プレイフェア - ドルフィン号の船主
  • ジェームズ・プレイフェア - ヴィンセントの甥、ドルフィン号の船長
  • マシュー - ドルフィン号の2代目船長
  • ジョナサン・ハリバート - ジャーナリスト、奴隷廃止論者
  • ジョン・スティッグス - 本名ジェニー・ハリバート、ジョナサンの娘

出版

『封鎖破り』は1865年10月から11月にかけて雑誌「Musée des familles(家庭博物館)」に Études de moeurs contemporaines(現代マナー研究)というタイトルで掲載されたのち[4]、1871年に驚異の旅シリーズの「洋上都市」に併録された。

日本語訳版

参考文献

  • Heinrich Pleticha, Jules Verne Handbuch, Deutscher Bücherbund / Bertelsmann. 2000.
  • Volker Dehs, Ralf Junkerjürgen,, Jules Verne. Stimmen und Deutungen zu seinem Werk, Phantastische Bibliothek Wetzlar, 2005.
  • Volker Dehs, Jules Verne. Eine kritische Biographie, Artemis & Winkler, 2005 ISBN 3-538-07208-6

脚注

  1. ^ ジュール・フェラによる挿絵
  2. ^ Titre complet: Études de mœurs contemporaines. Les Forceurs de blocus.
  3. ^ Meiko Richert: "Zur Bearbeitung der Erzählung Die Blockadebrecher". In: Jules Verne: San Carlos. Edition Dornbrunnen, 2019.
  4. ^ Cf. Piero Gondolo della Riva. Bibliographie analytique de toutes les œuvres de Jules Verne. Tome I. Société Jules-Verne. 1977.

外部リンク

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