日本とマリの関係

日本とマリの関係
JapanとMaliの位置を示した地図

日本

マリ

日本とマリの関係(にほんとマリのかんけい、フランス語: Relations japonaises–maliennes英語: Japan-Mali relations) では、日本マリの関係について概説する。日本とマリの関係とも。概ね友好的な関係を築いている。

両国の比較

マリ共和国の旗 マリ 日本の旗 日本 両国の差
人口 2025万834人(2020年)[1] 1億2583万人(2020年)[2] 日本マリの約6.2倍
国土面積 124万km2[3] 37万7972 km2 マリ日本の約3.3倍
人口密度 17 人/km2(2020年)[4] 345 人/km2(2020年)[5] 日本マリの約20.3倍
首都 バマコ 東京都
最大都市 バマコ 東京都区部
政体 大統領制 共和制 民主制議院内閣制[6]
公用語 フランス語 日本語事実上
通貨 CFAフラン 日本円
国教 なし なし
人間開発指数 0.427[7] 0.919[7]
民主主義指数 4.92[8] 7.99[8]
GDP(名目) 174億6539万米ドル(2020年)[9] 4兆9754億1524万米ドル(2019年)[10] 日本マリの約284.9倍
一人当たり名目GDP 862.5米ドル(2020年)[11] 39,538.9米ドル(2020年)[12] 日本マリの約45.8倍
GDP(購買力平価) 475億3101万米ドル(2020年)[13] 5兆5043億3091万米ドル(2019年)[14] 日本マリの約115.8倍
一人当たり実質GDP 2,347.1米ドル(2019年)[15] 43,593.5米ドル(2019年)[16] 日本マリの約18.6倍
経済成長率 4.7%(2019年)[17] 0.3%(2019年)[18]
軍事 5億9336万5423米ドル(2020年)[19] 491億4855万米ドル(2020年)[20] 日本マリの約82.8倍
地図

歴史

1960年4月マリは現在のセネガルとともにマリ連邦としてフランスから独立。日本はこれを国家承認していたが、同年8月にはセネガルが早々に離脱し連邦は事実上解消されていた。マリも連邦からの独立という形で同年9月マリ共和国と国号を改め、再出発。日本は同年10月に改めてマリを国家承認した[3]

マリ連邦の歴史から、日本は長らく在セネガル日本国大使館マリを兼轄していたが、2008年1月バマコに在マリ日本国大使館本館を開設した。マリ側は1993年6月より北京の在中国マリ大使館が日本を兼轄していたが、2002年6月東京在日マリ大使館を開設[3]

2012年には反政府勢力アザワド解放民族運動マリ北部のトゥアレグ族が居住する地域で武力行使の後に「アザワド」の一方的な独立を宣言した(アザワド独立宣言)。日本政府はこれに対し、既存の国境の尊重という基本原則に基づいてアザワドを非難していた[21]

外交

二国間関係

マリ西アフリカ日本東アジアに位置する国家であり、地理的に遠く文化的にも接点は少ない。また日本先進国である一方マリ後発開発途上国であり、経済的な格差も激しい。治安面でも、マリは北部・中部で武装勢力が台頭しており、また2021年にはクーデターが発生するなど民主主義が揺らいでいる。そのことから交流は進んでいない。ただしマリブルキナファソチャドモーリタニアニジェールとともに「G5サヘル」という枠組みを作り、サヘル地域の安定化に努めている。日本サヘル地域の安定化はアフリカの発展のために欠かせないものと考えており、この地域を積極的に支援している[22]

日本要人のマリ訪問

2007年アマドゥ・トゥマニ・トゥーレの大統領就任式には衆議院議員西川公也が総理特使として派遣され、民主的に実施された選挙を見届けた[23]

2011年には在マリ日本国大使館開設以後、初めて外務大臣政務官として菊田真紀子マリを訪問。マリ大統領アマドゥ・トゥマニ・トゥーレ以下主要閣僚と会談を実施し、サヘル情勢や二国間関係についてを話し合った[24][25]

2019年には外務副大臣として初めて佐藤正久モーリタニアと並んでマリを訪問。マリ首相スメイル・ブベイ・マイガ(英語版)や外相カミッサ・カマラ(英語版)と会談を実施して、サヘル地域の安定化や安保理改革北朝鮮情勢などについてを議論した[26]

マリ要人の訪日

2013年には暫定大統領ディオンクンダ・トラオレ(英語版)アフリカ開発会議のため訪日し、安倍晋三首脳会談を実施。アザワド問題と関係してマリの領土一体性と憲法秩序の回復についてが議論された[27]

2018年、外相カミッサ・カマラ(英語版)が訪日。外務大臣河野太郎と外相会談を実施した[28]

2019年にはアフリカ開発会議のため訪日したマリ大統領イブラヒム・ブバカール・ケイタ安倍晋三横浜市で首脳会談を開いた。暫定的ではない、正規の大統領の訪日は初であり、サヘル地域の安定化についてが議論された[29]

経済関係

2020年マリの対日貿易は、対日輸出4.25億円、対日輸入19.08億円となっており、日本の黒字となっている。主要な輸出品はごまアルミニウムなどで、主要な輸入品はゴムタイヤ鉄鋼自動車など[3]

マリの主要援助国はアメリカ合衆国フランスドイツカナダオランダなどであり、日本は上位援助国からは外れている。ただし多額のODAは実施している。2010年以降のODAは以下の通り[3]

  • バマコ都市圏デジタル地形図作成プロジェクト(2015年)」‐技術協力。バマコおよび周辺地域のデジタル地形図などの大縮尺の地理情報の整備、および地理空間情報の整備に係る技術移転などを支援[30]
  • バマコ中央魚市場建設計画(2010年、10.27億円)」‐無償協力。安全なたんぱく質を安定的に供給するため、ニジェール川南岸地域において、魚卸売市場の整備(荷捌場などの建設、製氷機、貯氷庫などの調達)を支援[31]

文化交流

国立民族学博物館2014年、マリ文化省文化財保護局と学術協定を結び、マリの文化財の保護と研究、教育、普及に関する協力関係が築かれた[32]

カラ=西アフリカ農村自立協力会の代表としてマリの発展に尽力してきた村上一枝は東京盛岡ふるさと会の会員で、岩手県立盛岡第二高等学校の出身であった。この縁から2020年東京オリンピック・パラリンピックに際しては岩手県盛岡市がマリ選手団のホストタウンとなり、文化交流を進めた[33]。また盛岡市からの寄付でマリにはアルファベット数字を教える識字教室が設置され、その看板には「MORIOKA」と掲げられている[34]

外交使節

駐マリ日本大使

日本の旗 在マリ日本大使 マリ共和国の旗
全権大使(ダカール駐在)
  • 在セネガル/セネガンビア大使が兼轄
  • 服部五郎
  • N/A
  • 廣瀬達夫1967-1970
  • 菅沼潔1970-1974
  • 荒木外喜三1974-1977
  • 内田園生1977-1981
  • 平岡千之1981-1984
  • 山本學1984-1986
  • 大嶋鋭男1986-1989
  • 村田光平1989-1992
  • 中村武1993-1996
  • 伊藤哲朗1996-1998
  • 河村悦孝1998-2000
  • 古屋昭彦2000-2002
  • 中島明2002-2006
  • 斉藤隆志2006-2008(在セネガル大使としては引き続き2010年まで駐箚)
全権大使(バマコ駐在)
カテゴリ カテゴリ

駐日マリ大使

モスクワ常駐

  1. ギゼ某(1971年~)[35]

北京常駐

  1. カフグナ・コネ(フランス語版、英語版)(1993~2000年、信任状捧呈は1994年2月18日[36]
  2. モディド・ティエモコ・トラオレ(2000~2002年、信任状は捧呈していない)

東京常駐

  • モハマン・エルハッジ・バニア・トゥーレ - 2012年7月4日に信任状捧呈[37]
  • アヤ・チャム・ジャロ - 2018年2月16日に信任状捧呈[38]
  • モハメッド・エルモクタール(英語版) - 2020年7月2日に信任状捧呈[39]
  • ニナ・ワレット・インタルー - 2022年11月7日に信任状捧呈[40]

駐日マリ共和国大使館

  • マリ大使館正面
    マリ大使館正面
  • マリ大使館表札
    マリ大使館表札
  • 玄関にある両国国旗
    玄関にある両国国旗
  • 駐日大使を務めたアヤ・チャム・ジャロ
    駐日大使を務めたアヤ・チャム・ジャロ

脚注

  1. ^ Population, total - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  2. ^ https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL?locations=JP Population, total - Japan]世界銀行.最終閲覧日2021年7月24日
  3. ^ a b c d e マリ共和国(Republic of Mali)基礎データ.最終閲覧日2021年11月10日
  4. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  5. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  6. ^ 日本国憲法で明確に定められている。
  7. ^ a b Human Development Report 2020国際連合開発計画.最終閲覧日2021年3月17日
  8. ^ a b Democracy Index 2020.最終閲覧日2021年3月17日
  9. ^ GDP (current US$) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  10. ^ GDP (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  11. ^ GDP per capita (current US$) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  12. ^ GDP per capita (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  13. ^ GDP, PPP (current international $) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  14. ^ GDP, PPP (current international $) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  15. ^ GDP per capita, PPP (current international $) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  16. ^ GDP per capita, PPP (current international $) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年7月24日
  17. ^ GDP growth (annual %) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  18. ^ GDP growth (annual %) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  19. ^ Military expenditure (current USD) - Mali世界銀行.最終閲覧日2021年11月10日
  20. ^ Military expenditure (current USD) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年7月24日
  21. ^ マリ情勢について外務省.平成24年4月9日
  22. ^ 第2回サヘルのための連合閣僚会合における鷲尾外務副大臣ビデオ・メッセージの発出外務省.令和3年3月20日
  23. ^ マリ共和国大統領就任式への総理特使の派遣について外務省.平成19年6月1日
  24. ^ 菊田外務大臣政務官の西アフリカ諸国訪問外務省.平成23年1月6日
  25. ^ 菊田外務大臣政務官のモーリタニア,セネガル及びマリ訪問について(概要)外務省.平成23年1月14日
  26. ^ 佐藤外務副大臣のマリ及びモーリタニア訪問外務省.平成31年3月1日
  27. ^ 日・マリ首脳会談外務省.平成25年6月3日
  28. ^ 日・マリ外相会談外務省.平成30年10月6日
  29. ^ 日・マリ首脳会談外務省.令和元年8月28日
  30. ^ バマコ都市圏デジタル地形図作成プロジェクトODA見える化サイト
  31. ^ バマコ中央魚市場建設計画ODA見える化サイト
  32. ^ マリ文化省文化財保護局(マリ共和国)との学術協定国立民族学博物館
  33. ^ カナダ・マリ共和国のホストタウン盛岡
  34. ^ マリ待望の識字教室、看板に「МORIOKA」…ホストタウン契機に読売新聞オンライン.2021/08/10 05:00
  35. ^ 『昭和47年版 わが外交の近況』 第2部 各説 > 第1章 わが国と各国との諸問題 > 第9節 アフリカ地域 > 5. 西部アフリカ諸国
  36. ^ 信任状捧呈式(平成6年) - 宮内庁
  37. ^ 新任駐日マリ共和国大使の信任状捧呈外務省.平成24年7月4日
  38. ^ 駐日マリ大使の信任状捧呈外務省.平成30年2月16日
  39. ^ 駐日マリ大使の信任状捧呈外務省.令和2年7月2日
  40. ^ 駐日マリ共和国大使の信任状捧呈 | 外務省
  41. ^ 駐日外国公館リスト アフリカ | 外務省

参考文献

  • マリ共和国(Republic of Mali)基礎データ 外務省

関連項目

外部リンク

  • 在マリ日本国大使館、同 (フランス語)
  • 駐日マリ大使館 (フランス語)、同 (英語)
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二国間関係の各項目内は五十音順。

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