第42回有馬記念

第42回有馬記念(だい42かいありまきねん)は、1997年12月21日中山競馬場で施行された競馬競走である。年齢は全て旧表記(数え年)にて表記する。

レース施行時の状況

1997年クラシック世代の皐月賞東京優駿二冠馬であるサニーブライアンが故障で休養し、菊花賞マチカネフクキタルは出走しない状況であり、4歳馬としては朝日杯3歳S勝ち馬マイネルマックス優駿牝馬以降秋華賞まで3連勝のメジロドーベル、菊花賞・ジャパンカップで5着と勝ちきれないシルクジャスティスしかいなかった。

一方の古馬世代には宝塚記念を制した後骨折していたマーベラスサンデー、ジャパンカップ2着健闘のエアグルーヴ、本レースで引退となるタイキブリザードダンスパートナーらG1ホースが顔を連ねた。

サクラローレルマヤノトップガンが引退し1997年古馬三強の最後の1頭として期待されるマーベラスサンデーとライバルと目されたバブルガムフェロー天皇賞(秋)で下しているエアグルーヴの2頭がオッズを均衡させていた。

主な前走の成績

第116回天皇賞(秋)

着順 馬番 競走馬名 性齢 騎手 着差
1着 12 エアグルーヴ 牝5 武豊
2着 7 バブルガムフェロー 牡5 岡部幸雄 クビ
3着 1 ジェニュイン 牡6 田中勝春 5馬身

7着マイネルブリッジ、11着ローゼンカバリー

第17回ジャパンカップ

着順 馬番 競走馬名 性齢 騎手 着差
1着 3 ピルサドスキー 牡6 M.キネーン
2着 9 エアグルーヴ 牝5 武豊 クビ
3着 13 バブルガムフェロー 牡5 岡部幸雄 1.1/4馬身

5着シルクジャスティス、9着ローゼンカバリー

その他:秋華賞1着メジロドーベル、エリザベス女王杯2着ダンスパートナー、福島記念1着テイエムオオアラシ、3着マイネルブリッジ、14着アロハドリーム

出走馬と枠順

天候:晴れ、芝:良馬場

・以降の内容はnetkeibaに依拠する[1]

枠番 馬番 競走馬名 騎手 単勝オッズ 調教師
1 1 インターユニーク 牡7 小野次郎 85.4(13人) 高松邦男
2 ダンスパートナー 牝6 河内洋 10.9(5人) 白井寿昭
2 3 マーベラスサンデー 牡6 武豊 3.0(1人) 大沢真
4 ローゼンカバリー 牡5 横山典弘 35.6(8人) 鈴木康弘
3 5 マイネルマックス 牡4 佐藤哲三 80.1(12人) 中村均
6 マイネルブリッジ 牡6 藤原英幸 104.8(15人) 伊藤正徳
4 7 カネツクロス 牡7 的場均 90.5(14人) 西塚安夫
8 テイエムオオアラシ 牡5 土肥幸広 31.2(7人) 二分久男
5 9 オースミタイクーン 牡7 武幸四郎 74.4(11人) 武邦彦
10 タイキブリザード 牡7 M.ロバーツ 12.2(6人) 藤沢和雄
6 11 サンデーブランチ 牡6 熊沢重文 41.4(9人) 池江泰郎
12 エアグルーヴ 牝5 O.ペリエ 3.8(2人) 伊藤雄二
7 13 マウンテンストーン 牡5 蛯名正義 64.8(10人) 小島太
14 シルクジャスティス 牡4 藤田伸二 8.1(4人) 大久保正陽
8 15 メジロドーベル 牝4 吉田豊 4.6(3人) 大久保洋吉
16 アロハドリーム 牡5 加藤和宏 125.4(16人) 岩城博俊

レース展開

  • 1997年 有馬記念(GI) | シルクジャスティス | JRA公式の動画を参照[2]

スタートからカネツクロスがハナを取る展開となりその後をタイキブリザード・インターユニーク・アロハドリーム・マイネルマックス・エアグルーヴらが追走、マーベラスサンデーがエアグルーヴをマークし、マウンテンストーン・メジロドーベルが中団を形成しシルクジャスティスがマーベラスサンデーの後方についた。ローゼンカバリー・ダンスパートナーが離れて後方の態勢であった。スローペースへと持ち込んだカネツクロスは、先行勢の上がりを前に2週目3コーナーで失速している。

2周目3~4コーナー手前でタイキブリザードが先頭に立つとエアグルーヴが内から、マーベラスサンデーが外から仕掛けると最終直線で先頭に立つ。200mあたりから藤田騎手がシルクジャスティスをスパートさせ、残り100mには4馬身詰め寄って内エアグルーヴ・中マーベラスサンデー・外シルクジャスティスの叩き合いとなり、最後はアタマ差でシルクジャスティスがマーベラスサンデーを抑えてゴールインした。

「エアグルーヴ!マーベラスサンデー!エアグルーヴ!マーベラスサンデー! さあこの2頭の争いか! シルクジャスティスもやってきた! シルクジャスティスもやってきた!エアグルーヴか!マーベラスサンデーか! エアグルーヴか!マーベラスサンデーか!シルクジャスティス!シルクジャスティス!シルクジャスティス!シルクジャスティスの末脚が炸裂したか~! シルクジャスティス~!藤田の末脚がゴール前わずかに強豪を 抑えた感じがいたします! 藤田は左手を上げています! 」堺正幸フジテレビアナウンサー

ゴール板を越えた藤田騎手は左手を挙げ、ガッツポーズで喜びを示した。「この馬が一番強い!」と信じた藤田騎手の思いがシルクジャスティスに通じての勝利であった[3]

結果

着順 馬番 馬名 騎手 タイム 着差
1 14 シルクジャスティス 藤田伸二 2:34.8
2 3 マーベラスサンデー 武豊 2:34.8 アタマ
3 12 エアグルーヴ O.ペリエ 2:34.9 クビ
4 4 ローゼンカバリー 横山典弘 2:35.3 21/2
5 9 オースミタイクーン 武幸四郎 2:35.5 11/2
6 8 テイエムオオアラシ 土肥幸広 2:35.6 1/2
7 13 マウンテンストーン 蛯名正義 2:36.0 21/2
8 15 メジロドーベル 吉田豊 2:36.0 アタマ
9 10 タイキブリザード M.ロバーツ 2:36.7 4
10 1 インターユニーク 小野次郎 2:36.8 1/2
11 6 マイネルブリッジ 藤原英幸 2:36.9 3/4
12 16 アロハドリーム 加藤和宏 2:37.0 1/2
13 11 サンデーブランチ 熊沢重文 2:38.1 7
14 2 ダンスパートナー 河内洋 2:38.8 4
15 5 マイネルマックス 佐藤哲三 2:43.2 大差
16 7 カネツクロス 的場均 2:46.7 大差

データ

1,000m通過タイム --.-秒
上がり4ハロン 49.9秒
上がり3ハロン 37.5秒

払戻

単勝 14 810 4
複勝 14

3 12

220

140 150

4

1 2

枠連 2 - 7 1,070 4
馬連 3 - 14 1,240 4

その他

  • 『カンニング竹山の土曜The NIGHT』(ABEMA)にて引退後の藤田伸二が「『この馬はG1勝てるんだよ』と言い続けながらも負け続けてきた」、「『負けたら自分をクビにしてください』っていうぐらいの覚悟で挑んだ有馬記念だった」、「殴られたりしても泣かないんですけど、ジャスティスのときだけはポロッとうれし涙が出ました。そのときは男泣きしました」、「たくさんG1勝たせてもらっているなかでも、思い出深いレースのなかの1つではあります」とコメントしている。
  • レース後、前年に続き2着となったマーベラスサンデーの武豊騎手は「勝った馬が、強かったですね」、「内を通りたくなかったので、前半は控えるつもりでした。1コーナーでうまく外へ出すことができたし、本当に、レースはスムーズだったんです。エアグルーヴをつかまえるまではよかったけれど、そこから、もうひと伸びが足りなかった。勝った馬は、それこそ凄い脚で来ましたから」、「パドックで1番人気だということは分かりました。ファンの応援は嬉しかったです。改めて、強い馬だということを実感したレース。ええ、来年はがんばります」とコメントしている[4]
  • NHK競馬中継の実況ゲストとして参加していた田原成貴は弟分の藤田騎手を応援し、「伸二、伸二、頑張れ、差せー!何とか(差)せー!」、「よしっ!」と直線で絶叫している[5]
  • 今回のレースのファンファーレでは近藤等則が奏者を務め、自身のトランペットと共に独特の演奏を披露している[6]

テレビ・ラジオ放送

参考資料

  • 1997年 有馬記念(GⅠ) | シルクジャスティス | JRA公式
  • netkeiba第42回有馬記念
  • 1997年5回中山8日( 12月 21日) 9R
  • ニュースサイトGJ「元JRA藤田伸二氏「今思えばウケる」、1997年有馬記念(G1)で“解説者”田原成貴氏が後輩の会心の騎乗にまさかの大絶叫!?
  • レジェンド騎手の藤田伸二、有馬記念の勝利の瞬間を振り返る「男泣きしました」


脚注

  1. ^ 第42回有馬記念
  2. ^ 1997年 有馬記念(GI) | シルクジャスティス | JRA公式
  3. ^ 名馬列伝 第4回「シルクジャスティス」
  4. ^ 「週刊Gallop」[要ページ番号]
  5. ^ “元JRA藤田伸二氏「今思えばウケる」、1997年有馬記念(G1)で“解説者”田原成貴氏が後輩の会心の騎乗にまさかの大絶叫!?”. ニュースサイトGJ (2021年12月23日). 2022年5月22日閲覧。
  6. ^ “世界的ジャズトランペッター・近藤等則さん急死…71歳、「スーパードライ」CM曲も”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. (2020年10月19日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/10/19/kiji/20201018s00041000736000c.html 2022年5月22日閲覧。 
  7. ^ 競馬「第42回 有馬記念」 - NHKクロニクル
日本の旗 有馬記念勝ち馬
   

国際競走指定前:
01回(1956年) メイヂヒカリ
02回(1957年) ハクチカラ
03回(1958年) オンワードゼア
04回(1959年) ガーネツト
05回(1960年) スターロツチ
06回(1961年) ホマレボシ
07回(1962年) オンスロート
08回(1963年) リユウフオーレル
09回(1964年) ヤマトキヨウダイ
第10回(1965年) シンザン
第11回(1966年) コレヒデ
第12回(1967年) カブトシロー
第13回(1968年) リュウズキ
第14回(1969年) スピードシンボリ
第15回(1970年) スピードシンボリ
第16回(1971年) トウメイ
第17回(1972年) イシノヒカル
第18回(1973年) ストロングエイト
第19回(1974年) タニノチカラ
第20回(1975年) イシノアラシ
第21回(1976年) トウショウボーイ
第22回(1977年) テンポイント
第23回(1978年) カネミノブ

第24回(1979年) グリーングラス
第25回(1980年) ホウヨウボーイ
第26回(1981年) アンバーシャダイ
第27回(1982年) ヒカリデユール
第28回(1983年) リードホーユー
第29回(1984年) シンボリルドルフ
第30回(1985年) シンボリルドルフ
第31回(1986年) ダイナガリバー
第32回(1987年) メジロデュレン
第33回(1988年) オグリキャップ
第34回(1989年) イナリワン
第35回(1990年) オグリキャップ
第36回(1991年) ダイユウサク
第37回(1992年) メジロパーマー
第38回(1993年) トウカイテイオー
第39回(1994年) ナリタブライアン
第40回(1995年) マヤノトップガン
第41回(1996年) サクラローレル
第42回(1997年) シルクジャスティス
第43回(1998年) グラスワンダー
第44回(1999年) グラスワンダー
第45回(2000年) テイエムオペラオー
第46回(2001年) マンハッタンカフェ
第47回(2002年) シンボリクリスエス

第48回(2003年) シンボリクリスエス
第49回(2004年) ゼンノロブロイ
第50回(2005年) ハーツクライ
第51回(2006年) ディープインパクト

国際競走(G1)指定後:
第52回(2007年) 日本の旗 マツリダゴッホ
第53回(2008年) 日本の旗 ダイワスカーレット
第54回(2009年) 日本の旗 ドリームジャーニー
第55回(2010年) 日本の旗 ヴィクトワールピサ
第56回(2011年) 日本の旗 オルフェーヴル
第57回(2012年) 日本の旗 ゴールドシップ
第58回(2013年) 日本の旗 オルフェーヴル
第59回(2014年) 日本の旗 ジェンティルドンナ
第60回(2015年) 日本の旗 ゴールドアクター
第61回(2016年) 日本の旗 サトノダイヤモンド
第62回(2017年) 日本の旗 キタサンブラック
第63回(2018年) 日本の旗 ブラストワンピース
第64回(2019年) 日本の旗 リスグラシュー
第65回(2020年) 日本の旗 クロノジェネシス
第66回(2021年) 日本の旗 エフフォーリア
第67回(2022年) 日本の旗 イクイノックス
第68回(2023年) 日本の旗 ドウデュース