糸部

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康熙字典 214 部首
米部 糸部 缶部
1 丿 2
3
广
4
5
6
7
8
9
10 11 鹿
12 13 14 15
16 17

糸部べきぶは、漢字部首により分類したグループの一つ。 康熙字典214部首では120番目に置かれる(6画の3番目、未集の3番目)。

概要

」字は細いを意味する。古字は2つの丸い束が連なった形であり、よりまとめられた糸の形に象る。

「糸」の字音はベキであり、常用漢字の「糸」は「絲」(音はシ、絹糸の意)の略字である。

説文解字』に「糸は細い絲」とある。長さ・重さの単位としてが一回に吐くのをといい、十忽が絲であるので、「糸」は「絲」の半分とすると、5忽の細さということになる。

ちなみに10絲が1毫、10毫が1である。

詳細は「尺貫法」および「市制」を参照

偏旁の意符としては糸や絹織物麻織物衣服は元より、刺繍染物で用いる(例:紅、緑、紺、紫)に関する事項を示す。主として左の偏あるいは下の脚の位置に置かれる。楷書では偏の位置に来るとき「小」形を3点に変形させることが多い(下記参照)。

異体字も数多く存在し、部分を変えた異体字(纏と纒)、同音の文字に変えた字体(綫と線(日本では「線」を正字とする)、繍と綉など)、一部分を省略した字(緜と綿(日本では「綿」を正字とする)など)、表外字や常用漢字の新字体とは別の拡張新字体(纖と纎、纃と緕(ちなみにこの字種は和製漢字である)など)、他の部首の異体字(襤(衣部)と繿)などが存在する。

3点と小

楷書では「糸」が偏の位置に来るときには「小」を3点にすることが多い。しかしながら、日本では当用漢字字体表において糸偏の下を「小」にする字体で提示され、3点は注意書きで「筆写(かい書)の標準とする際には、点画の長短・方向・曲直・つけるかはなすか・とめるかはね又ははらうか等について、必ずしも拘束しない」ものの方向の例としてのみ挙げられたので、教科書体も「小」を採用しており、現在、若年層では3点で書く人は少ないように思われる[独自研究?]

印刷書体(明朝体)では康熙字典体が「小」形を採用した。日本では上記のように当用漢字字体表絣6)・綿・綾および常用漢字表において「小」形を採用し、表内・表外を問わず康熙字典体に従っている。一方、中国の新字形、台湾の国字標準字体、香港の常用字字形表はこれを3点に戻している(ただし、コンピュータ上でWindowsが装備するフォント細明體・新細明體 (PMingLiU・MingLiU) は5.03版以降でないとこれに対応しておらず、それ以前の版では「小」形で表されている)。

中国の簡体字では「」のように3点を1つの横画に簡略化している。

部首の通称

  • 日本:いと・いとへん
  • 中国:絞絲旁・絞絲底
  • 韓国:실사부(sil sa bu、いとの絲部、「絲」の音訓から)
  • 英米:Radical silk

部首字

  • 甲骨文
    甲骨文
  • 金文
    金文
  • 小篆繋11:簡易慣用)
    小篆繋11:簡易慣用)

例字

詳細は「wikt:Wiktionary:漢字索引 部首 糸」を参照
画数 例字
0
1
2 紆・(糾3)
3
4 3)・紘・・索・・紊・・細・0)・・紹・・統(統6)
6 給・・絨・絮・絶・絡
7 5)・・綏
8 維・・綽・綬・・綻・綢・綴・6)・綿)・
9 緯(緯10)・)・(緩)・緘・緊・緝・(緒8)・・緻・締・編・
10 縊・目部6)・縟・縉・縋・縢・(縛)・(練)
11 ・縱(10)・・總(8)・(繁10)・縻・・縷・縺・(縫10)
12 ・織・繕・繙・繚
13 繹・繰・繪(6)・(繋11:簡易慣用)・12)・(繍11:簡易慣用)・
14 繼(7)・・辮(
15 纈・纐・・續(7)
17 纓・纔・纖(11)
21

その他

  • 「イトヘン」は証券業界用語で繊維業界やその株のことを指す[1]

出典

  1. ^ 米川明彦『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』三省堂、2002年、197頁。ISBN 9784385360669。